“ちっこい”、そして“つかみ”もうまい──10時間動作のWiMAXルータ「Mobile Cube」実力検証:“WiMAX Speed Wi-Fi”レビュー(3/3 ページ)
小さく、軽く、長時間動作が特徴のWiMAXルータ「MobileCube」。付加機能こそ少ないが、市場ではライバルとなる3Gルータも凌駕する小型ボディと、スマホユーザーと親和性の高い使い勝手を実現している。
ピーク速度はほどほどだが、“つかみ”がよい
本機はWiMAXルータということで、当然WiMAXの最大通信速度そのものに期待して購入検討する人も多いだろう。今回はAtermWM3500R、URoad-8000、WiMAX+対応スマートフォンISW11Mとともに、異なる2つのエリアで実通信速度を比較してみた。速度テストサイトはピーク速度が反映されやすい傾向のある speed.rbbtoday.comを用いた。
1か所目はWiMAX強電界エリアの東京23区西部住宅地の早朝時間帯。無線/有線LAN接続ともに、本機はあまり良好でない結果となった。もっともよい値の機器の半分程度だ。それでも下り10Mbps前後を記録するのはさすがWiMAXというところで、これだけ出れば普段の利用にまったく困らないのも事実だが……。
2か所目は中電界エリアで、昼過ぎの東京23区内繁華街、公衆無線LANの電波干渉影響が比較的少ない2階店舗で測定した。ここでは差がぐっと小さくなり、誤差範囲なのだが、やはり本機の値は少し劣る傾向がある。
複数のWiMAX機器を用い、同場所、ほぼ同時間帯で計測したこれら結果から推測できることは、本機はWiMAXでピーク速度を重視していない、もしくはバッテリー動作時間を重視してルーティング能力などをある程度犠牲にしているのではないかということだ。このため、WiMAXに対して絶対的な通信速度を期待する人には向かないかもしれないが、それは考え方次第である。実際問題として下り15Mbpsを超えるほど電波状況のよいエリア、そして時間帯、利用シーンはなかなか限られている。本機はモビリティ性を重視した仕様であり、ピーク速度に関しては意図的に追求していない、それよりも……と考えてみてほしい。
ではハンドオーバー性能に関してはどうか。こちらは数値化できないので、過去に使っていた機器の傾向といくつかの機器を使い分けながら検証した筆者の体感になるが、ひとまず上記の機器含めてWiMAXルータとしては優秀な部類に入ると思う。
実は本機の開発元は日本市場向けに「egg」を提供していたメーカーだ(韓国のWiBroサービス用機器としても採用されている)。eggは常に電源入れっぱなしでガンガン運用するほどのモバイルユーザーらに「eggのハンドオーバー性能、最強」と言わしめたていたほど。筆者もこのハンドオーバー性能に惚れ、一時は“移動中用”のメインルータにしていたが、本機はその傾向・特性を引き継いでいる。同じくハンドオーバー性能の良好なURoad-8000と比べると、高速移動中に切断になるのが若干早いが、再接続は本機の方が早いね、という感じだ。
以上Mobile Cubeは、小型サイズの影響もあるのか電波の送受信能力は他機種より若干見劣りする(ピーク速度がふるわない)部分はあるが、小型ボディ+長時間動作とハンドオーバー性能の高さがそれを十分カバーしている。
本機のように“つかみ”がうまい傾向のモデルは、特定の場所(自宅やオフィス、喫茶店など)でPCで使うシーンに対し、通勤時など移動しながらスマートフォンなどとともに使うシーンが多い人に向いているといえる。
指定WiMAXプランの入会で、機器代金は実質0円からのようです
2011年末に登場した「Mobile Cube」は、UQコミュニケーションズのMVNOであるDTI WiMAXプランやhi-ho モバイルコース-WiMAXなどの入会で入手できます。キャンペーン中の指定プラン入会により端末購入代金が0円となる感じですね。(追記:ドスパラWiMAXでも入手できるようですよ)
あと、WiMAXルータには本機のライバル機種となりそうな「AtermWM3600R」も発表されました。こちらも気になるモデルですよね。追ってレビューする予定です。
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