スマホ向け無料通話・メッセージアプリの現状を探る(後編):世界的な競争はこれから(3/3 ページ)
スマホの普及とあわせて利用者が急増中の無料通話・メッセージアプリ。そのインパクトはモバイル業界全体に及んでいるが、その影響はまだ出始めたばかりだ。
無料通話・メッセージアプリの本格競争はむしろこれから
日本では、LINEが海外で急速に普及するなどして1億3000万会員を抱えたことから、“LINEが世界市場を制覇する”という声も多く聞かれるようになった。だが前編でも触れた通り、スマートフォン向け無料通話・メッセージアプリの市場は急速に立ち上がっただけに、世界各地で同種のアプリが現れて急速に会員を集めるなど、競争はまだ始まったばかりという状況なのである。
事実、LINEより多くの会員を抱えているアプリもいくつか存在する。先に触れたWhatsApp Messengerは、有料ながら欧米を中心に数億人のユーザーを集めているといわれているし、中国で普及している「WeChat」も2億ユーザーを抱える巨大サービスだ。また音声通話が主体のViberも、欧米や東南アジアなどの市場で1億7500万もの会員を獲得している。
専用の無料通話・メッセージアプリが競争を繰り広げる一方で、すでに高い人気を博しているネットサービスが、スマホ向けに同等の機能を提供してライバルになるケースも出てきた。代表的なのが、10億以上のSNS会員を抱えるFacebookだ。
Facebookは4月18日、iOS版のFacebookアプリをアップデートした際、LINEのスタンプ機能に相当する「Stickers」機能を搭載した。また1月には、米国など一部の国で無料通話機能を提供するなど、スマホ向けのコミュニケーション機能を大幅に強化している。さらにAndroid向けには、Facebookのサービスを利用しやすくするホームアプリ「Facebook Home」を提供するなど、スマホ市場での存在感を急速に高めようとしている。
グローバルに展開する大手以外にも、ベトナムの「Zalo」のようにローカル市場で人気を獲得しているアプリもいくつか存在するし、グリーが昨年12月に海外で提供開始した「Tellit」(旧・GREE Messanger)が、欧州やアジアの一部で存在感を発揮するなど、新興勢力もまだ入り込む余地があるだろう。
かつてiモードは、プッシュ型キャリアメールでユーザーからの絶大な支持を得て、モバイルビジネスの一大プラットフォームとして成功した。モバイルサービスで最も基本的な要素・機能であるコミュニケーション用途で主導権を握れば、今後大幅な成長が見込まれるスマホ市場でプラットフォームとしての存在価値を高めることができる。
日本だけでなく世界で、無料通話・メッセージアプリ同士によるコミュニケーションの座を巡る争いが、一層激しくなっていくことは間違いないだろう。
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