中国移動のTD-LTEサービスが正式に開始:山根康宏の中国携帯最新事情(3/3 ページ)
中国移動は12月18日からTD-LTE方式による4Gサービスを正式に開始した。同社の4G開始で、中国にも高速な無線インフラがようやく全土に広がろうとしている。
迎え撃つ中国電信、中国聯通の動きは
2014年1月の中国各地は、旧正月(1月31日)を前にして街中に華やかな飾り付けが増えている。それに加えて今年は中国移動の「4G」の広告もあちこちで目立っている。4Gで一気に先行を図ろうとする中国移動に対し、中国電信、中国聯通はどのように対抗しているのだろうか。
まず、中国電信は4G免許交付直後の2013年12月10日に4Gサービスの新ブランドを早くも発表している。3Gサービスの「天翼」に対して「4G天翼」と4Gをアピールする分かりやすい名称にしている。また、上海や広州など主要都市には早くも4Gサービスの広告が目立ち始めている。中国電信は2013年に100億元をかけLTEテストネットワークの構築を行い、夏には南京市で一般消費者向けのデモも行った。
2014年のLTE関連の投資額は457億元(約7920億円)の予定で、2014年中には数都市でサービスを開始するだろう。なお、中国電信は2014年8月開催の「南京ユースオリンピック」で通信関連スポンサーとなっており、同イベントで4Gサービスを大々的に提供する予定としている。中国移動がTD-LTEの免許交付を待たずに商用テストサービスを開始した前例があることから、中国電信もFDD-LTEをテスト名目で提供する可能性はありそうだ。
2社が4Gサービスで具体的な動きを見せている中、中国聯通は3Gサービスの強化と「4G」のアピールで対抗を図ろうとしている。2013年秋に中国移動が広東省でTD-LTEテストサービスを開始したのに対し、中国聯通は同省全土にすぐさま下り最大42MbpsのDC-HSDPA高速サービスを提供した。また、4G時代を見据えた「中国聯通G時代」というキャンペーンも開始した。これは無料データ利用分を“Mバイト”ではなく“Gバイト”単位とし、最大12Gバイト/年をユーザーに贈呈し、さらには音楽や動画の定額サービスを提供し、4G時代を先取りできると訴求している。
広東省では営業所に早くも「4G」の表記を出すことで消費者をひきつけようとしている。中国聯通としてはTD-LTEのネットワーク投資をしつつ、FDD-LTEの免許が下りれば端末も基地局もグローバル展開しているものをすぐ導入することが可能であり、現時点では「焦らず、じっくりと準備」という状況なのかもしれない。
中国政府は、2013年の早い時期にTD-LTEの免許を交付し、中国移動もより早い時期にサービスを開始できたかもしれない。しかし、準備不足で始めてしまったTD-SCDMAの反省を生かし、今回は慎重なスタートとなった。準備期間が長かったこともあり、2014年はTD-LTEの商用化が一気に広がるだろう。LTE関連企業の動きが活発になるだけではなく、高速通信を生かした新たなサービスも生まれてくるかもしれない。今年の中国はLTE需要が大きく拡大する1年になりそうだ。
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