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インタビュー

“不退転”の決意で全てを見直した「Galaxy S6/S6 edge」――サムスン石井専務インタビュー原点回帰(1/2 ページ)

MWC 2015に合わせて発表された「Galaxy S6/S6 edge」。従来モデルから全てを見直し、原点回帰を目指したという同社のフラッグシップモデルについて、サムスン電子の石井専務に話を聞いた。

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 韓Samsung Electronics(サムスン電子)が「Mobile World Congress 2015」(スペイン・バルセロナ、現地時間3月2日〜5日)で発表した「Galaxy S6」「Galaxy S6 edge」は、同社が“原点回帰”をうたう意欲的なスマートフォンだ。

photophoto 「Galaxy S6 edge」(写真=左)と「Galaxy S6」(写真=右)

 一言で言えば「かっこよくて、機能も最先端」。フラッグシップモデルの王道を行く端末に仕上げられている。特にS6 edgeはディスプレイの左右両端がカーブしたデュアルエッジスクリーンを搭載しており、正面から見ると従来のスマホとは形状の違いが一目瞭然。ディスプレイの端を曲げたことで、持ちやすさや操作性の向上にもつながった。2機種とも、背面にシリーズ初となるガラス素材を採用。ガラスの下に光学フィルムを敷き、光の当たり方によって異なる表情を見せるといった工夫も盛り込んだ。

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Galaxy S6 edge最大の特徴であるデュアルエッジスクリーン
photophoto 背面にガラスパネルを採用。下に光学フィルムを敷き、見る角度によって異なる表情を見せる

 機能面では、14ナノメートルプロセスで製造されたオクタコアプロセッサを搭載し、Qi方式とPMA方式という2つの非接触充電に対応するなど、最新技術をいち早く盛り込んだ。また、サムスン電子がモバイル決済のスタートアップであるLoopPayを買収して取り入れた、「Samsung Pay」も目新しい機能だ。Galaxy S6/S6 edgeは、NFC方式だけでなく、磁気方式のカード情報を取り込み、そのまま既存のリーダ/ライターに読み取らせる方式に対応している。こうした機能の数々を惜しみなく搭載しているのも、両機種の特徴だ。

 MWC 2015で取材したサムスン電子の幹部によると、Galaxy S6/S6 edgeは日本の「ドコモとKDDIから発売される」という。4月8日には製品発表イベント「Galaxy World Tour 2015 TOKYO」の開催が予定されており、国内向けモデルの全貌はそこで明らかになる見通しだ。日本でのお披露目を控えた今、サムスン電子ジャパンの無線事業本部 専務 石井圭介氏にその意気込みを聞いた。

不退転の決意ですべてを見直した「Galaxy S6/S6 edge」

――(聞き手:石野純也) まず、石井さんから改めて「Galaxy S6/S6 edge」についてご紹介ください。

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サムスン電子ジャパンの無線事業本部 専務 石井圭介氏

石井氏 私らしく表現をすると、Galaxyシリーズはこれまで、最先端の部品、最先端のアプリケーション、最先端の技術をつぎ込んできました。日本でそれがどこまでウケたか、は抜きにしてもです。

 ただ今度のGalaxy S6/S6 edgeが違うのは、どれか1つが最先端というのではなく、要素を全部入れ替えて最先端にしているところです。サムスン電子の(グローバル市場でのシェア)トップを守り抜くという決意が表れていると思ってください。不退転の決意で、端末のすべてを見直しています。

 それはコンセプトや機能面だけでなく、モノづくりに至るまで、新たな歴史を作っていくチャレンジです。たとえばアルミニウムの強度など、お客様がすぐに気づかないところまでこだわっています。ポケットに入れた荷重で曲がってしまってはいけないので、普段使っているアルミ合金とは異なる(強度のある)型番のものを採用しました。背面がガラスだからと言って、割れやすいという言い訳もしたくありませんから、割れ耐性のある「ゴリラガラス 4」を採用しています。

 フレーム部分は本来、蒸着塗装が非常に難しいカ所です。しかしGalaxy S6/S6 edgeのサイドフレームでは、曲線を描く形状でありながら、蒸着塗装を施しました。世界的に見て、ようやく蒸着塗装が定着してきた段階なのにです。背面の光学フィルムも、ジャストアイディアではなく、日ごろから素材を集めてきたデザインチームが、ここぞとばかりに出してきたものです。

 そこにプラスして、販売の仕方、例えば店頭での見せ方、コマーシャルの仕方にとどまらず、アフターサービスに至るまで改革を起こして挑戦していきます。製品そのもののハードとソフトを見直しただけでなく、プロセスまで全部見直しました。

―― 販売面をどのように強化するのか、もう少し詳しく教えて下さい。

石井氏 Galaxy S6/S6 edgeには、ライフスタイルを先取りする機能が搭載されています。今までの販売戦略を延長して製品が売れることも立派ですが、これからはGalaxy S6/S6 edgeが持つ先進性にもっと広がりを持たせたい。お客様にGalaxy S6/S6 edgeのある未来を現実的にイメージしていただく、実感していただくことが求められています。

 我々には、「Galaxy SHOP」という量販店さんの店頭にあるショップインショップが17店あります。まずここではきちんとした展示をしようと思っています。それに加えて、多くの方がスマホをお買い上げになるキャリアショップにも、きちんと力を入れていきます。

 今はまだ全てを話せませんが、こちらで決めたことで言うと、私たちは日本のメーカーさんに学び、全国の都道府県の人数と同じくらいのラウンダー(店舗巡回員)を置いて活動をしています。これを今回、数倍の数百人に増やしました。2014年12月に決め、4月上旬に研修が終わったところです。

 ライフスタイルを先取りしたご提案をするためには、流通の皆様と商品トレーニングをしなければなりません。展示の場所も確保し、体制を形作らないといけない。そういった思いも込め、日本メーカーがやったことのない規模でラウンダーを採用しました。ちょうど先週、研修も終わったところです。この数百人は恒久的に販売に携わる予定です。一過性ではなく、常時配備し、お客様の多いときには販売の応援もする予定です。

―― サムスンとして、日本市場に強く関わっていく意思があるということでしょうか。一部、海外メディアの情報に端を発した日本撤退報道もありましたが、そういうことはないということですね。

石井氏 そうした事実はまったくありません。撤退のような言葉を気軽に使われると、非常に困ります。むしろこちらが、そんな話が一部であると聞いて驚きました。

 サムスン電子ジャパンの本社を移転したのは、今までバラバラだった無線関連の各部署を一カ所に集約するためです。交通の便はもちろん、最新の設備でいい仕事ができるように――という意図で移ってきています。ここ(インタビューは飯田橋の新社屋で行われた)はワンフロア800坪もある広いビルで、こうした物件は都内にはなかなかありません。また現在のビルは2014年にできたばかりで、以前よりも家賃が高いですから(笑)。

 2020年の東京五輪では、サムスン電子がメインスポンサーを務めます。選手団全員が持つのが弊社の製品です。そのとき、「(日本で)シェアがトップじゃありません」とは言えないと思います。日本のお役に立つためにも、腰を据えて、確固たる地位を築くスタートを切らなければなりません。

―― グローバルで発表されてからの、反響はいかがでしたか。

石井氏 発表の仕方も含めてですが、iPhoneとの対立構造の中で語られることが多いですね。世界には中国のXiaomi(小米)や、インドのMicromaxなども台頭してきていますが、このランクの商品(ハイエンドなフラッグシップモデル)が語られるときに出てくるのは、うちとAppleだけです。ハードウェア的にうちが常にリードしてきたのは事実ですが、個々の機能まで事細かに比較して発表したことはなかったですから、その印象が強かったのでしょう。

 Galaxy S6 edgeを手に取っていただいた感想で意外に多いのが、「軽い」という声です。次に多いのが、「薄い」だったり「小さい」だったりというもの。握った瞬間、今までと違うことは実感していただけるようで、あるキャリアの方には店頭で購買行動を誘引できる珍しい製品とまで言っていただけました。

 また、日本では、アクセサリーメーカーの反響もすごかったです。自社できちんと用意するものとは別に、今までだと新製品が出たとき、100から150ぐらいのアイテムがそろっていました。ところが、今回は事前に450、発売日には600ぐらいがそろいそうな勢いです。これだけあれば、量販店さんでの棚の量が変わってきます。やはり、バルセロナでの発表の影響が大きく、売れると思っていただけたのだと思います。

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