iPhone 6s/6s Plusの新機能を支える日本企業 分解で見えたその存在感:バラして見ずにはいられない(2/4 ページ)
新機能「3D Touch」を搭載したiPhone 6s/6s Plus。新しく搭載された感圧センサーや振動で操作に対するフィードバックを行う「Taptic Engine」には日本企業の技術が欠かせなかったようだ。
その“haptics”を実現するためiPhone 6s/6s Plusに新しく搭載されたのが、Appleが「容量性センサー」と呼ぶタッチ圧力を検出するセンサーだ。
通常のタッチパネルセンサーは縦方向と横方向のタッチ位置を検出するもので、iPhone 6s/6s Plusは液晶を一体化した「インセル方式」を採用している。インセル方式はノイズに弱くなり、コストも上がるが、独立したタッチパネルが不要で薄型化に有利な方式だ。このインセル方式の液晶パネルの真下に、深さ方向(圧力)を検知する独立した容量性センサーがある。
ディスプレイの下は金属板で覆われており、分解の過程で筐体からディスプレイを分離しただけでは容量性センサーは見えなかった。底面の板を取り外すと、ようやく金属板に貼りついた容量性センサーが現れた。
その外観を観察すると、タッチパネル制御ICの裏側から無数の配線が伸び、縦方向に太い空隙、横方向に細い溝が形成されており、縦12段、横8列の四角いブロックを形成している。
それぞれが静電容量を検知する素子で、指でやや強くディスプレイを押した際に生じる指とディスプレイの密着面積の広がりを検出して圧力として認識していると思われる。ディスプレイ自体は非常に薄く、たわむほど力を加えると壊れてしまう。
そのためこのセンサーは指がタッチパネルを押す圧力そのものではなく、指とセンサーの間を流れる電流量が押す強弱や速度で変わることを計測しているのであろう。
iPhone 6sはiPhone 6と比較すると14グラム、iPhone 6s PlusはiPhone 6 Plusから20グラム重量が増えた。この重量増加は新しく搭載された部品が占めている。Taptic Engineは振動モーターとしては大型で重く、容量性センサーは素子が載るフレキシブルプリント基板は1〜2グラムと軽いが、それを保持する金属板が重いためだ。
感圧センサー、モーター、放熱機構に国産技術
新機能の開発には困難が伴う。そんな時に頼りにされるのは日本メーカーだ。今回の容量性センサーに部材供給や組立で関係した企業は、JX日鉱日石金属、日本メクトロン、新日鉄住金化学、日米合弁の東レ・デュポンなど、ほとんどが日本企業である。またTaptic Engineの主要メーカーの1つは日本電産だ。
これ以外にも日本企業の製品が随所で採用された。最多と思われるのは、村田製作所の積層セラミックコンデンサー(MLCC)で、極小サイズの「0402」は216個使われている。また同社の製品は通信部の小型部品を高密度実装するディプレクサ(アンテナ共用器)やアンテナに近い通信機構(フロント・エンド・モジュール)にも採用されている。
ドイツのEpcosを買収したTDKの製品も、特定の信号を通過させるフィルタとして搭載されている。これらの超小型部品は通信に必須の部品であり、対応周波数が増えると部品数も一緒に増えていく。
センサー分野では、これまでApple向けの牙城を死守してきた旭化成に代わり、アルプス電気の地磁気センサーが採用された。特徴は使用開始にあたって端末を「8」の字に振る補正動作が不要になったことだろう。
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