iPhone 6s/6s Plusの新機能を支える日本企業 分解で見えたその存在感:バラして見ずにはいられない(3/4 ページ)
新機能「3D Touch」を搭載したiPhone 6s/6s Plus。新しく搭載された感圧センサーや振動で操作に対するフィードバックを行う「Taptic Engine」には日本企業の技術が欠かせなかったようだ。
メイン基板に収まらない部品を載せるのがフレキシブルプリント基板(FPC)だ。その名の通りフレキシブルで折り曲げが自由で、狭い筐体内で折り紙のように複雑に畳まれて所定の場所に部品を配置する。その多くが日本メーカー製だ。
充電・外部接続用のLightningコネクタを備える最も大型のFPCは端末下部にあり、これは日本メクトロンの製品。500万画素のインカメラと通話用マイクなどを搭載した端末上部のFPCには、リンゴマークの下に住友グループのロゴがある。もう1つのマイクとフラッシュ用LEDを備えた端末脇の細いFPCは台湾のFlexium Interconnectのものだ。
端末の高性能化が進むと電子部品が発する熱も増える。特に熱くなるのが2階建て構造になっている「A9」プロセッサーとDRAM(メインメモリ)だ。フル稼働した場合の温度は70度に達することもある。
このスポット熱を素早く逃がさないと、周囲にある熱に敏感な電子部品はすぐに故障してしまう。そこで登場するのがカネカの炭素黒鉛を加工した熱拡散シートだ。炭素は天然に存在する元素の中で最も放熱効率が高く、銅箔やマグネシウムよりもスポット熱を早く拡散できる。iPhoneはディスプレイ部と基板、バッテリーを金属版で仕切っているが、金属板の基板側はほぼ全面にこのシートが貼付されている。
カメラのスペックアップを支えるメモリの進化
性能面で大きく変わったのがカメラとメインメモリだ。カメラは従来の800万画素から1200万画素になった。メーカーはソニー製と推定される。iPhone6s Plusにはアルプス電気が供給する光学手ブレ補正機構も引き続き搭載されている。
また両モデルとも4K動画の撮影に対応した。フルHDと比較し4倍の解像度となるが、使われるデータ量も多くなり、プロセッサとカメラの橋渡しをするメモリは一度に大容量データを転送しなくてはならない。そのメモリ容量は1Gバイトから2Gバイトに増量された。
またメモリの規格も、DRAMのLow Power DDR3 SDRAM(LP DDR3)からLow Power DDR4 SDRAM(LP DDR4)になり、大幅な省エネとデータ転送量増大を実現した。各モデルのバッテリー容量は従来モデルより100mAh〜200mAh減っているが、プロセッサやメモリの省エネ化で減少分を補っているようだ。
気になる原価は?
iPhone6s Plusの原価はおよそ248ドル(約2万9780円)。先代と比べ約20ドルの上昇である。実際には統合され使わなくなった部品もあるので、個々の部品のコストアップ分を足すと20ドルを超えるだろう。なお原価は本体の部品コストのみであり、組立・付属品・流通コストなどは含まれていない。
コストアップの要因になったものを幾つかご紹介する。まず新搭載の容量性センサーは検知部のFPC単体は2ドル程度と推定されるが、貼付されている金属板、ディスプレイと接着するためのべゼル、メイン基板と接続するためのケーブルとコネクタ、タッチパネル制御ICなどを含めるとトータルコストは9ドル前後と推定される。
DRAMは1Gバイトから2Gバイトへ容量アップしたことで約7ドルのコストアップ。アウトカメラも800万画素から1200万画素になり、部品価格は約9ドル上昇したとみられる。
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