iPhone 6s/6s Plusの新機能を支える日本企業 分解で見えたその存在感:バラして見ずにはいられない(4/4 ページ)
新機能「3D Touch」を搭載したiPhone 6s/6s Plus。新しく搭載された感圧センサーや振動で操作に対するフィードバックを行う「Taptic Engine」には日本企業の技術が欠かせなかったようだ。
早くも飛び交う次期iPhoneの情報
Apple製品の魅力は、新製品が出た直後に早くも次期製品が話題に上ることだ。次の製品を楽しみにしている人々がいる限りAppleの将来も明るいだろう。
しかし公表される数字の裏側も知る必要があるだろう。例えば販売開始後3日間の販売台数はどうだろうか。2014年のiPhone 6/6 Plusは1000万台、iPhone 6s/6s Plusは1300万台であった。表向きは好調そのものである。だがiPhone 6s/6s Plusの販売増は、日米と同じ最初の発売国となった中国市場によるところが大きく、それ以外の国における成長率が鈍化している事を示している。
これは何もAppleや新型iPhoneが原因という分けではなく、スマホを必要とする世界の人々に取りあえず1台目が行き渡り、今後は買い替えサイクルに基づく購買パターンに移行した事を示している。Appleといえども作れば作っただけ売れる時代は終わりつつあるのだ。
そんななかで、2016年に登場するであろう次期iPhoneについて、さまざまな情報が交わされている。その中でも確度の高いと判断したものを幾つかご紹介したい。
2016年の早い時期、ディスプレイサイズが4型の「iPhone 5s」相当の端末が復活するといわれている。注目は端末の筐体素材で、もし樹脂製であれば廉価モデルとして新興国向け、今と同じアルミ合金製であれば比較的高額な先進国向けと位置付けできる。
2016年秋に発売されるであろうiPhone 7(仮)シリーズは、Plusが現行の5.5型から6型に近づき、一方は現行の4.7型から5型と、ディスプレイの大型化が予想されている。5型モデルのボディは現行よりさらに薄くなるようだ。これらの予測が現実になれば、1年後のiPhoneは4型、5型、6型の3種類のサイズがそろうことになる。
プロセッサにも大きな変化があるようだ。これまではPackage on Package(PoP)と呼ばれる工法で2階建て構造を作り、1階部分にプロセッサ、2階にDRAMを実装していた。次期モデルは新工法「ファンアウト型WLP」(Fan Out Wafer Level Packaging)が採用されるとみられる。
ファンアウト型WLPとは、WLPチップ面積より広い面積に配線層を形成するのが特徴で、これまで総2階建だった構造が「平屋建てに中2階」が存在するような構造となる。この分野ではさまざまな企業が新技術を開発しており、「平屋建て+地下室付き」のような構造もある。韓Samsungは現時点でこの工法を採用する計画はなく、次期iPhoneは台湾の半導体メーカーTSMCが新プロセッサを独占的に供給する可能性が高い。
Haptics分野にも変化が訪れるようだ。iPhone 6s/6s Plusはそれぞれ異なるサイズの振動モーターが搭載されていたが、次期iPhoneは振動モーターを2個搭載するモデルが登場し、より鋭い振動でタッチへの応答を返すという。
現在は比較的鈍い振動だが、次期モデルは「カンカン」といった感じに変化するようだ。特性が異なる振動モーターを搭載することで、1つのモーターが発する振動のうち、不要な振動の周波数をもう一方のモーターで打ち消すことができる。ノイズキャンセリングヘッドフォンと同じ原理である。
外観上の最大の変化は、背面に800万画素カメラを2基搭載することだろう。2つのカメラを合わせて1200万画素相当の解像度で撮影できる。しかし画素数だけを取れば、1200万画素カメラを1基を搭載するほうがずっと安上がりだ。このためコスト以外の目的があると思われる。
予測されているのは、画像の深度情報を集めて撮影後に焦点位置を移動したり、手ブレ補正を現在の光学式からより高精度のデジタル処理にすることも可能だ。何よりも映像データの入り口が2つになるわけで、レンズを通した新しい認識機能などが加わるだろう。Siriちゃんに夕焼けを見せると「キレイデスネ〜」と感激してくれるかもしれない。
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