京セラ、ソーラーパネル搭載の試作スマホを披露 「2017年の商品化目指す」:Mobile World Congress 2016(1/2 ページ)
京セラは、透明なソーラーパネルをディスプレイに重ね、持っているだけで充電できるAndroidスマホの試作機を披露した。国内・海外の携帯電話事業を今後どうするのか、MWC2016で聞いた。
京セラはMobile World Congress 2016(スペイン・バルセロナ、現地時間2月22日〜25日)で、ソーラーパネルを搭載したAndroidスマートフォンの試作機を披露した。また同社通信機器経営戦略部長の能原隆氏が、このモデルの狙いと今後の事業展開について答えた。
京セラは2015年に日本で16モデル、米国では11モデルを市場に投入。米国ではVerizon、AT&T、T-Mobile、Sprintの4大事業者に納入しており、特に2015年はAT&T向けの端末が多かったという。機種別では、5.7型の「Dura Force XD」、業務用フィーチャーフォン「Dura XE」、AT&TのプリペイドブランドであるCricket、GoPhone向けに1機種ずつ、計4機種を納入した。
さらに、米国向けモデルをベースにカナダで2機種を展開。2014年に取引を開始したBell Mobilityに続き、Telusにも納入を開始した。また、ヨーロッパでは2015年からドイツとフランスでSIer経由でSIMロックフリー端末を1機種づつ出している。これらは法人向けがメインで、メーカーや建設事業者などに導入されているという。
2015年に日本でトピックとなった端末は、ハンドソープで洗えるスマホ「DIGNO rafre」だ。「おかげ様で評判がよく、洗えるスマホという文化を提案できた」(能原氏)と手応えを感じている様子。KDDI(au)は主婦層をメインターゲットにしたが、「若い男性も洗えることに興味を示している」という。
また“次世代のフィーチャーフォン”として、新しいプラットフォームを採用したフィーチャーフォンの展開も開始した。ソフトバンクとY!mobile向けの「DIGNOケータイ」、au向けの「GRATINA 4G」がそれで、AT&TとカナダTelusに納入したDura XEも該当する。
米国はスマートフォンへのシフトが日本よりも早かったが、日本と同様にフィーチャーフォンユーザーが一定数残っている状況で、この状態は当分変わらないと見られている。「北米の事業者からもいろいろなお話をいただいており、彼らもフィーチャーフォンの新製品を継続的に投入するのではないか。京セラとして、そこに積極的に寄与していきたい」(能原氏)。
新しい取り組みの一方で、京セラが長年取り組んでいるのがタフな環境でも使える高耐久モデルだ。「頑丈な」「武骨な」といった意味の「Rugged」というコンセプトを掲げ、法人だけでなくコンシューマーにもアウトドアやスポーツにからめてマーケティングしている。市場は着実に伸びており、2014年期と比較して2015年には7割の伸び率を示したという。
端末はフィーチャーフォン、スマートフォン、ファブレットを展開。今後も「ラインアップを強化し、軸足は高耐久モデルに置いていくような形」(能原氏)になるという。
高耐久モデルを主軸に据える中で、いくつかの技術検討も行っている。その1つがソーラーパネルだ。フランスのベンチャー企業SunPartner Technologyと共同で、同社の太陽光発電パネル「Wysips CRISTAL」を採用した試作機を作った。2015年のMWCでもTORQUEをベースとした試作機を出しているが、今回は性能が上がり、3分の発電で1分の通話が可能というスペックを実現した。
発電効率は、太陽光パネルの透過率とトレードオフとなる。透明度を下げれば発電効率は上がるが画面は暗くなり、透明度を上げると画面は明るくなるが発電効率が下がる。単独で見ている分には、それほど感じないが、他機種と比べると画面はやや暗く見える。「今現在は85%の透過率になっているが、最終的に商品としてどこに決めるかを検討している」(能原氏)
能原氏は、この太陽光発電パネルを「高耐久モデル戦略の1つのテクノロジーとして、今後商品化に向けて検討したい」と語り、2017年中には製品を出したいとの意向を示した。「興味を持ってくれるところがあるなら」と日本向け端末に搭載することも検討するという。
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