サービスを拡充したが課題も多い「au HOME」/独自性が欲しかったau冬モデル:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
KDDIが7月に開始した「au HOME」を強化し、auひかり以外のユーザーも利用できるようになった。ただし製品バリエーションや料金には課題が残る。冬モデルも10機種がそろうが、auでしか買えないスマートフォンは1機種もない。
Google Homeにも対応、製品バリエーションや料金が課題か
サービス面の強化としては、Google Homeに対応したことが大きなトピックだ。7月のサービス開始時には、スマートフォン用のアプリでしか操作できなかったが、Google Homeを使えば、声で家電の操作を行えるようになる。Google Homeへの対応には、「Actions on Google」を活用している。
Actions on Googleとは、サードパーティーがGoogleアシスタント上でサービスを提供するための仕組みのこと。「Googleのサービスだけでは、全てのユーザーに役立つアシスタントは作れない」(Google 製品開発本部長 徳生裕人氏)という発想から生まれたものだ。スマートフォンにおけるアプリに近い位置付けだが、Actions on Googleは、ユーザーがインストールという作業をする必要がなく、手軽に利用できる。
au HOMEと組み合わせることで可能になるのが、家電のコントロールだ。Google Homeへの対応に合わせ、KDDIはau HOME対応機器に「赤外線リモコン 01」を追加。これを経由させることによって、エアコンやテレビの音声操作が実現する。わざわざリモコンを使う必要なく、声だけでテレビをつけてチャンネルを変えたり、エアコンの温度設定をしたりといったことができるというわけだ。
もちろん、従来通り、外出先からアプリを使った遠隔コントロールにも対応する。新たに追加される赤外線リモコン 01を活用すれば、寒い日は帰宅前にエアコンをつけておき、あらかじめ部屋を暖めておくといったことも可能になる。対応機器が増え、au HOME自体の利用価値も上がった格好だ。こうした音声操作や遠隔操作を単体でできる製品もあるが、他の機器と一緒に、かつ簡単に導入できるのはau HOMEのメリットといえそうだ。
ただし、対応製品数を見ると、まだまだできることは限定的だ。先に挙げた赤外線リモコン 01や、電気使用量を測定できる「スマートプラグ 01」が加わり、製品数は7種類に増えたが、半数以上はセンサーで、ユーザーが能動的に操作できるものは少ない。分野別に見ても、スマートロックやヘルスケア製品など、カバーしていないものが目立つ。プラットフォームとして提供していくのであれば、デバイスの拡大は急務といえるだろう。
また、月額490円(税別)という料金の負担感をどう軽減していくかも、今後の課題といえるだろう。現状のサービス内容を見ると、あまり月額料金という課金体系と相性がいいようには見えない。センサーで家の中の情報を取ったり、赤外線経由で家電をコントロールしたりするだけなら、単体で買えて、維持費もかからない製品がいくらでもあるからだ。
こうした製品群を一括で管理できるのはメリットだが、毎月料金を払う“納得感”はもっと必要だと感じた。製品購入によって割引をつける、軌道に乗るまでキャンペーンで負担をなくしたりするなど、導入にあたっての心理的な障壁を取り除く必要もありそうだ。
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