販売数1万台を突破 カード型ケータイ「NichePhone-S」はなぜ売れたのか?:SIMロックフリースマホメーカーに聞く(3/3 ページ)
クラウドファンディングを経て、一般発売した「NichePhone-S」。機能をそぎ落としてほぼ通話に特化したことで、カード型のサイズを実現。既に販売台数は1万を突破。なぜシンプルなケータイがここまでヒットしたのか?
ユーザーは必ず付いてきてくれる
―― まさに、端末の名前そのものの市場をついたということですね。というか、なぜ、こんな直球ストレートな名前にしたのでしょうか。
曲氏 そのままですね(笑)。これだけニッチなので、そこにはこだわってニッチという言葉を使いました。日本人が呼びやすい名前でもあります。Sには、「Small」や「Simple」といった意味を込めています。
―― ニッチといいながらも、2色のカラーバリエーションはあります。
曲氏 どこまで受け入れられるか確信がなかったので、むしろ2色に絞りました。黒と白は受け入られやすい色ですし、デザインをしていたとき、まずはシンプルなものというコンセプトがあったので、そのシンプルさを強調する色を採用しています。
―― 絞ったということは、逆にレッドなどをクラウドファンディングにかけてみてもいいかもしれません。
曲氏 それも、やってみたいですね(笑)。
―― 販売してみて、実際、どのような層に売れているのでしょうか。
曲氏 30代、40代で、男性が多いと思います。この層は、昔フィーチャーフォンを使っていた人たちです。逆に今の20代は、学生時代からスマホだったので、こういうケータイはいらないのではないでしょうか。
今の時代は、流行しているものだけでなく、自分でやりたいものを開発していくことも重要です。今後も、昔を懐かしめるものはやっていきたいですね。待っているユーザーは、必ず付いてきてくれると信じています。
取材を終えて:「愛着」が成功につながった
ODMのレファレンスモデルをカスタマイズすれば、簡単にスマホを発売できるようになり、SIMロックフリースマートフォンの売り場も拡大した。こうした状況が、スマートフォンの開発、販売に参入するメーカーを後押ししており、実際、日本で販売される端末のバリエーションは一気に広がった。一方で、そのほとんどがスマートフォンで、テンキーを備えたケータイは珍しい。
そんなニッチといえる市場にあえて取り組んだ背景には、曲氏のフィーチャーフォンに対する愛着があった。クラウドファンディングで成功を収めたのは、氏の思いに共感する人が多かったからかもしれない。フューチャーモデルは、今後、よりとがった次世代機を開発する予定もあるという。詳細はまだ明らかになっていないが、今後の展開にも注目したい。
関連記事
- どれくらい小さい? カードサイズのSIMフリーケータイ「NichePhone-S」を試す(前編)
クラウドファンディングによる先行販売を経て、家電量販店などでも販売が始まった「NichePhone-S」。どれくらい小さいのか、チェックしてみよう。 - 実用にはどう? カードサイズのSIMフリーケータイ「NichePhone-S」を試す(後編)
クラウドファンディングによる先行販売を経て、家電量販店などでも販売が始まった「NichePhone-S(ニッチフォンS)」。カードサイズのケータイは「実用的」なのか、実際に使って確かめてみよう。 - カードサイズのSIMフリー携帯「NichePhone-S」、11月10日に一般販売開始
薄型軽量のSIMロックフリー携帯電話「NichePhone-S」が、11月10日に一般販売される。家電量販店などで購入できる。通話やテザリングなどに機能を絞っている。 - カードサイズのSIMフリー携帯電話「NichePhone-S」クラウドファンディングで先行販売
フューチャーモデルは、独自開発したSIMフリー対応の携帯電話「NichePhone-S(ニッチフォン-S)」のクラウドファンディングサイトを通した先行販売を開始。厚さ6.5mm、重量38gの端末で、テザリング機能やBluetoothも利用できる。 - 「The 電話」の使い勝手は? シンプル過ぎるケータイ「Simply」をじっくり試す
Y!mobileブランドのセイコーソリューションズ製ストレートケータイ「Simply(シンプリー)」がいよいよ8月に販売された。VoLTEに対応し、通話利用がメインの人向けの端末だが……え、本当にそれだけ? 気になる使い勝手をさまざま面から確認した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.