「FeliCaはクラウドとの連携が必須」「キャリア市場にも進出する」――Huawei呉波氏に聞く、2018年の展望:SIMロックフリースマホメーカーに聞く(1/3 ページ)
日本のSIMロックフリー市場でトップを走るHuawei。2017年12月には「Mate 10 Pro」と「Mate 10 lite」を発売した。Huawei自身は2017年をどう総括し、2018年はどんな戦略で臨んでいくのか?
Huaweiにとって、2017年は「躍進の1年」だった。novaシリーズ、P10シリーズ、Mate 10シリーズを立て続けに投入し、SIMロックフリースマートフォン市場でシェアを拡大。MM総研が発表した2017年度上期の「国内携帯電話端末出荷概況」によると、シェアは26.1%で1位を獲得。2位で22.7%のASUSを大きく引き離し始めている。端末別に見ると、P10と合わせて発売したP10 liteがヒット。キャリアのスマートフォンまで含めた全端末の販売ランキングで首位に輝く週もあったほどだ。
そんなHuaweiが、2017年の締めくくりとして投入したのが、AI対応チップの「Kirin 970」を搭載した、「Mate 10 Pro」だ。同モデルはHuawei初となる18:9の有機ELディスプレイを採用したフラグシップモデルで、防水・防塵(じん)仕様も備えた1台となる。同時に、HuaweiはMate 10 liteも発売。Mateシリーズのブランド力を、ミドルレンジモデルへ波及させようとしている様子もうかがえる。
では、Huawei自身は2017年をどう総括し、2018年はどんな戦略で臨んでいくのか。Mate 10 ProとMate 10 liteの反響を振り返りつつ、今後の展望を語ってもらった。インタビューには、日本の端末部門を統括する、Huawei デバイス 日本・韓国リージョン プレジデントの呉波(ゴ・ハ)氏が答えた。
SIMフリー市場が主流になりつつある
―― 2017年を振り返っていただくと、どのような1年でしたでしょうか。
呉氏 今年(2017年)の初めにも申し上げたことですが、2017年はSIMフリー市場が大きく躍進した1年になりました。上期、下期で分けた場合、上期は特に進展の速度が速かったですね。下期は、大手キャリアが低価格プランを出した影響を少なからず受けていますが、それでも上期と比べると、プラスの状況になっています。年間で、SIMフリースマートフォンは300万台規模になっていると見ています。
市場全体を見ると、年間のボリュームは約2600万台ですが、そのうちの半分がiPhoneだとすると、残りの1300万台がAndroidになります。あくまでも単純な計算ですが、そのうち300万台がSIMフリーのAndroidだとすると、日本では、Android全体の25〜30%がSIMフリースマートフォンだということになります。日本のSIMフリー市場は、もはやニッチマーケットではなく、主流のマーケットになっているといえるのではないでしょうか。おかげさまで、弊社もその流れに乗ることができ、まずまずの実績を打ち出せました。
2017年を振り返ると、発表会でたびたびご紹介しているように、BCN、GfK、MM総研の全てで、弊社がナンバー1になっています。P10 liteも売れていて、販売ランキングトップ10で唯一のAndroidになっています。BCNのデータですが、P10 liteは、12月4日から週で1位になることができました。これは、全てのスマートフォンの中でです。スマートフォン以外では、タブレットでも満足いく実績を打ち出すことができました。
今年も12月28日に納会をやる予定ですが、そこでは「今年も生き残ることができた」という話をすると思います。来年(2018年)はまたゼロからスタートしたつもりで頑張ろうということです。
約10万円でもMate 10 Proは売れている
―― 12月にはMate 10 Proも発売されました。反響はいかがでしたか。
呉氏 Mate 10 Proは、全てのチャネルにおいて、われわれの予想を上回る結果になっています。実は、Mate 10 Proは、SIMフリー市場で初めて10万円という価格帯に挑んだ端末です(税込で9万6984円)。この価格帯において成功したメーカー、端末は今までありませんでした。Mate 10 Proは、数々の家電量販店やディストリビューターから、そのような固定観念を打ち破った商品だといわれています。
―― 一部では、品切れも起こっていました。
呉氏 予想以上の反響があり、一部店舗では在庫が切れてしまったようです。各店舗の在庫までは、メーカーが口出しすることはできません。ただ、店舗側も慎重に計画を立てていたはずです。品薄や在庫がないといった報告を受け、速やかに改善に取り組み、できるだけ数を確保できるよう、弊社も協力しています。Mate 9のこともあった(一時品切れが続出し、購入できない事態になっていた)ので、用意は万全にしました。
―― AI対応のチップセットや、カメラの進化、防水・防塵への対応など、いろいろな特徴がありますが、どういった機能が売りになったとお考えですか。
呉氏 過去2〜3週間分のVOC(ヴォイス・オブ・カスタマー=顧客の声)を読みましたが、Mate 10 Proをお買い上げいただいた一番の理由が、最新世代のライカカメラです。カメラは(これまでと同じ)ダブルレンズではありますが、レンズのF値がどちらも1.6になっています。
ライカのカメラ用レンズで、F1.6だと、100万円ほどしますからね(笑)。iPhoneもダブルレンズになっていますが、片方がF1.8で、もう一方がF2.2で、どちらも弊社ほど明るくすることができていません。両方ともF1.6という数値は、革新的だったと自負しています。
次に消費者の皆さまに受け入れられているのが、パフォーマンスです。例えば操作性ですが、非常にスムーズで、バッテリーの持ちもいい。さらに、電波をキャッチするまでの速度も速く、滞りなく通信ができます。そういったところまで含めたパフォーマンスが評価されています。
Twitterでは、弊社の発表を見て、すぐに秋葉原のヨドバシカメラに行き、写真を撮ったという声も上っていました。撮ってみたら、仕上がりが自分の持っているデジカメよりもよく、操作性が高いので、すぐに気に入って買ったそうです。他にも、実際に手に取って、操作してみて欲しくなったという声は多かったですね。
もちろん、VOCはいいことばかりではありません。いただいた意見はきちんとフィードバックして、次世代の製品で、より多くの消費者ニーズを満たしていきたいと考えています。われわれから見ると、日本の消費者も、SNSを通じてどんどん自分の声を上げるようになってきています。昔はVOCも1日十数件でしたが、今では数百になり、読むのも追い付かないほどです。製品が売れているというのは、ブランドも認めていただいたことを物語っています。
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