“スマホの次”を担うものは?――通信4社の2018年年頭所感
NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、UQコミュニケーションズの4社が2018年の年頭所感を発表した。2017年は大手3キャリアがMVNO対抗で“攻めた”年だった。2018年はどんなチャレンジをしていくのだろうか。
NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、UQコミュニケーションズの4社が2018年の年頭所感を発表した。
2017年は大手3キャリアが“攻めた”年だった。ドコモは低価格の「シンプルプラン」、半永続的に月額1500円を割り引く「docomo with」を提供。KDDIも利用するデータ量に応じて料金が変動する「au ピタットプラン」、ギガ単価の安い大容量プラン「au フラットプラン」を提供。サブブランドの「UQ mobile」も好調だ。ソフトバンクはサブブランドの「Y!mobile」を強化。これらの施策が功を奏してMVNOへの流出が減りつつある。
一方、端末は3社がiPhoneやXperiaを扱い、同質化が進んでいる。ヒット端末の筆頭がiPhoneという状況も変わらない。今後はAI、IoT、ロボットなどの新領域でいかに差別化を図れるかが注目される。2019年〜2020年に商用サービス化を予定している次世代通信「5G」の準備も着々と進んでおり、2018年にはさらに具体的なサービス像が見られるかもしれない。
NTTドコモ:beyond宣言の成果をユーザーに届ける
ドコモの吉澤和弘社長は、2018年は「beyond宣言(2020年以降を見据えたドコモの中期戦略)の成果を続々とお客さまにお届けする年」にしたい、と述べる。
このbeyond宣言をさらに確実に実行するために、以下の3つを推進する。
- 継続的なお客さま還元、1人1人に寄り添った「お得・便利」の提供の実現
- 最先端のテクノロジーを活用した、ユーザーや世の中のさまざまなスタイルの革新
- あらゆるユーザー接点を連携させた、安心、快適な利用のサポート
2018年春にはAIエージェントのサービスを本格提供する予定。また、普及率が6割を超えたスマートフォンへの移行をさらに加速させるために、1月から「ドコモスマホ教室」を拡充する。
パートナー向けには、以下の3つを推進する。
- 5G時代の新たな利用シーンの創造を目指した「5Gトライアルサイト」の拡大、5G時代を先導するネットワークの高度化
- AI、IoT、ドローンなどの先進技術を活用した社会的課題や地方創生に向けたソリューションの協創
- 「+d」による協創をさらに拡大する
4月には、マツモトキヨシホールディングスとの「+d」による新たなマーケティング施策を開始する予定。IoT分野では、コマツらと設立した建設業界向けの新プラットフォーム「LANDLOG」のビジネスを本格化させる。
KDDI:au経済圏での流通総額2兆円超を目指す
KDDIの田中孝司社長は、「“変革”に挑み続ける1年にしよう」を2018年のテーマに掲げる。2018年は中期計画の最終年に位置付けられ、「国内通信事業の持続的成長」「au経済圏の最大化」「グローバル事業の積極展開」の取り組みの集大成を目指す。
田中氏は社員に向けて、以下の3つを推進する。
- 常にお客さま第一に考える
- 新たな成長に向け、この1年をやり切る
- 「ジブンゴト化」と「スピードアップ」
1つ目についてはまだ道半ばで、ユーザー体験価値(CX)のさらなる向上を目指す。2つ目をやりきった先にある目標として、営業利益の年平均成長率7%、au経済圏での流通総額2兆円超を目指す。3つ目については、今まで以上に「スピードアップ」して課題に対処していかなければ、成長はおろか淘汰(とうた)されるので、「ジブンゴト化」と「スピードアップ」を強く意識してほしいと呼びかけた。
ソフトバンク:「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」で新しい価値を提案
ソフトバンクグループの孫正義代表は、人工知能が人間の能力を超える「シンギュラリティ」の世界では、ビジネスの在り方やライフスタイルを根幹から変え、新しい事業の機会が創出される、と述べる。
このような未来に向けた1つの解として、ソフトバンクグループは2017年に「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」を設立。ここでの投資先企業とソフトバンクグループの主要事業がより密接にコラボレーションすることで、新しい価値を提案し、世界中で起こっている変革をさらに進めていく。
UQコミュニケーションズ:UQ mobileとWiMAX 2+をさらに普及させる
通信キャリアとしてはWiMAX、MVNOとしてはUQ mobileを提供しているUQコミュニケーションズは、2017年8月に創業10周年を迎えた。
UQ mobileは、UQスポットの拡充、「UQ家族割」の提供、iPhone SE、6s、Androidの端末拡充が2017年の大きなトピック。
WiMAX 2+サービスは、速度制限の緩和、3年プラン加入によるLTEオプション料の無料化、下り最大558Mbpsへの高速化が2017年の大きなトピック。
2018年の意気込みについて野坂章雄社長は、ユーザーの利便性と満足度を向上をさせて、UQ mobileとWiMAX 2+サービスをさらに普及させるとともに、社員のスキルと能力向上により生産性を上げていく「UQの働き方改革」をいっそう推進していく、と述べた。
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