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春商戦の先手を打ったY!mobile 楽天モバイルも“サブブランド化”で勢力拡大石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)

2018年春商戦に向けて、Y!mobileが学割や新機種を発表するなど先手を打った。MVNOの対抗馬として注目したいのが楽天モバイル。プラスワンマーケティングのMVNO事業を買収したことで、さらに勢力を拡大している。

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 格安スマホ市場の成長に急ブレーキがかかりつつある。MVNOのユーザー数が伸び悩みを示しており、プラスワンマーケティング(以下、POM社)のMVNO部門が楽天に売却されるなど、統廃合も進んでいる。対照的に勢いを増しているのが、大手キャリアのサブブランドだ。特にソフトバンクが展開するY!mobileは認知度も高く、いわゆる格安スマホ市場で3割から4割程度のシェアを誇る。

 サブブランドでは、KDDI傘下のUQ mobileがこれを追う構図だ。一方で、MVNOは統廃合が進み、勝ち負けが明確に見え始めてきた。Y!mobileやUQ mobileなどのサブブランドに対抗できるのは、楽天モバイルなどごく一部のMVNOに限られそうだ。今回の連載では、春商戦に向け、先手を打ったY!mobileの取り組みや、ここに対抗する楽天モバイルの戦略を掘り下げていきたい。

Y!mobile
冬春モデルとタダ学割で他社に先駆けるY!mobile
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POM社買収でサブブランド化が進む楽天モバイル

料金、端末、サポートが三拍子そろったY!mobile

 Y!mobileの戦略は、通信事業者としてある意味王道といえるものだ。シンプルで安価な料金を用意し、端末をそろえ、サービスを充実させるという、基本に忠実な施策を発足以来続けてきた。ソフトバンクでこの事業を統括する、執行役員 プロダクト&マーケティング統括 ワイモバイル事業推進本部 本部長 寺尾洋幸氏は、「『MVNOをたたくために大手キャリアがやってきた』と書かれることもあるが、実際はわれわれが先。お客さまに寄り添うよう、少しずつ改善をしてきた」と語る。

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料金、端末、サービスなどを徐々に磨いてきたY!mobile
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Y!mobileの戦略を語る寺尾氏

 料金はS、M、Lの3段階で1980円(税別、以下同)からとして、分かりやすさを重視。端末もラインアップをあえて絞り、iPhoneとAndroid Oneという2本のシリーズを柱として打ち立て、ユーザーから見たときの分かりやすさを演出する。もともと人気の高かったiPhoneはもちろん、Android Oneも「1つのムーブメントが作れた」(寺尾氏)。大手キャリアが販売するAndroidスマホの中で、上期に販売数1位になったのもY!mobileの「Android One S2」だった。

Y!mobile
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安価で分かりやすい料金に加え、Android Oneを導入して、端末も充実してきた

 また、ユーザーがSIMカードだけを契約する比率も、徐々に上がってきているという。これは、主に家電量販店がSIMロックフリー端末とY!mobileのSIMカードをセットにして販売しているためだ。その比率は「全体の2〜3割に向かっている」(寺尾氏)と、ボリュームが大きくなってきた。裏では、SIMロックフリー端末メーカーに対し、周波数やネットワークサービスに対応するための「ガイダンスを出すようになった」(同)。こうした取り組みが功を奏し、VoLTEなど、Y!mobileのサービスに対応するSIMロックフリー端末も徐々に増えている。

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SIMロックフリースマホの取り込みにも、本腰を入れ始めた。Y!mobileとの組み合わせでは、Huawei端末が、特に人気だという

 同時に、ウィルコムとイー・アクセスから受け継いだ店舗網を生かし、家電量販店や併売店を含めた販売拠点は、4000を超えるようになった。Y!mobileブランドを冠するショップも約1000店舗あり、文字通り、MVNOとは桁違いだ。「お客さまの困ったこと、迷ったことに丁寧に答えられるよう、体制を整えてきた」(同)。

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Y!mobileショップは1000店舗に上る。取り扱い拠点も4000を超えた

 ショップスタッフには、Googleの育成プログラム「Android Ambassador」の取得を促し、2月に60人だったスタッフは、11月に350人まで拡大。年度内には倍増に近い、600人までAndroid Ambassadorを増やしていく方針だ。

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ユーザーにAndroidやAndroid Oneの魅力を伝える、「Android Ambassador」も拡大中だ
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