春商戦の先手を打ったY!mobile 楽天モバイルも“サブブランド化”で勢力拡大:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
2018年春商戦に向けて、Y!mobileが学割や新機種を発表するなど先手を打った。MVNOの対抗馬として注目したいのが楽天モバイル。プラスワンマーケティングのMVNO事業を買収したことで、さらに勢力を拡大している。
4機種に増やしたAndroid OneとiPhone、タダ学割で春商戦を戦う
好調な動きを受け、Y!mobileは春商戦に向け、Android Oneのラインアップを拡大。「お客さまが選べるデザインの幅を増やす」(寺尾氏)ため、ミドルレンジの「X」シリーズと、ローエンドの「S」シリーズにそれぞれ2機種ずつ、新モデルを追加した。ユーザーの選択肢の幅を広げるだけなく、「1つのメーカーに絞ると、地政学的なリスクもある」(同)というように、Y!mobileにとってもリスクヘッジになるようだ。
ミドルレンジのXシリーズには、HTCの「Android One X2」と、京セラの「Android One X3」を用意。X2は、Android Oneとしては初のHTC端末で、握って操作できる「エッジ・センス」や、ノイズキャンセリングといったHTCの独自機能も搭載する。おサイフケータイにも対応するなど、多機能なのが魅力だ。京セラのX3は耐衝撃性を強化。指紋センサーやおサイフケータイなどにも対応する。
対するSシリーズは、シャープの「Android One S3」に加え、京セラの「Android One S4」の2機種。どちらもおサイフケータイには対応せず、スペックも低いが、そのぶん買いやすい価格設定になっているのが特徴だ。
料金プランは据え置きだが、春商戦は「タダ学割」で戦っていく。学割開始時期も前倒しにして、若年層の取り込みを狙う。2年間続く2017年の学割と異なり、値引き自体は3カ月間に限定(12月に加入した場合のみ4カ月間)したが、S、M、Lのどれを選んでも、それが丸々無料になるのがメリットといえる。さらに、データ容量2倍オプションも、通常は2年間だが、タダ学割の対象者については、次回の機種変更まで継続する。
また、3カ月間の料金が無料になることで、「最初にどれがいいのか分からないときに、まず大きいプランに入っていただける。きっちりご理解いただくことで、使いやすさを上げていくことができる」(寺尾氏)という。安さと同時に、料金プランを選べる安心感も重視したというわけだ。
春商戦に向け、得意とする端末や料金をさらに強化してきたY!mobile。学割開始時期も12月に早め、他社を出し抜いた格好だ。寺尾氏が「UQ mobile、楽天モバイルはライバルだが、一歩先に進まないと沈んでしまうのはあっという間」と語っていたように、前倒しの学割には、競合他社をけん制する狙いもある。こうしたフットワークの軽さが、Y!mobileの今の勢いにつながっている。春商戦では、Y!mobileの存在感がますます大きくなりそうだ。
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