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「IPv6」とMVNOの関係MVNOの深イイ話(1/3 ページ)

携帯電話における「IPv6」の利用率が、2017年9月以降一変し、10月には25%にまで向上しました。何が起きたのでしょうか。そもそもIPv6とは? キャリアやMVNO、スマートフォンとの関係は?

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IIJmioでIPv6の利用が急増中?

 筆者の所属するIIJでは、個人向けのMVNOサービスであるIIJmioで「IPv6」の提供を2012年から行っています。実はこの後に紹介する通り、IPv6の利用は各所で叫ばれているものの今まで全く利用が進んでおらず、IIJmioでもIPv6利用率(ある瞬間に同時に接続している人の中でIPv6を利用している人)は2%〜3%程度にとどまっていました。

 ところが、2017年の9月以降この状況が一変し、同年10月にはIPv6利用率が25%に達しました。どうしてこのようなことが起こったのでしょうか。

IPv6って?

 スマートフォンのデータ通信機能ではインターネットと同じ通信技術が使われています。インターネットでは、ネットにつながったコンピュータを識別するために「IPアドレス」という番号を使っており、スマートフォンにも同様に一台一台にIPアドレスが割り当てられています。

 ところが、いままで主流で使われてきたIPv4という方式では、このIPアドレスの数が十分ではなく、全世界のPCやスマートフォンにそれぞれ異なるIPv4アドレスを割り当てることができなくなってしまいました。インターネット技術者の間で「IPv4アドレス枯渇」と呼ばれている状況です。

 このため、NTTドコモ、au、ソフトバンクのスマートフォン向け通信サービスでは、複数のスマートフォンでIPv4アドレスを共有し、IPv4アドレスを節約する仕組み「CGN」(Carrier Grade NAT)を利用しています。MVNO各社でも、多くの会社が同様の仕組みを利用してIPv4アドレスを節約しています。

 このような状況を抜本的に解決するために導入が進められているのが、IPv6です。IPv6ではIPv4と比べて多数のアドレスが利用できるため、アドレス節約技術を利用する必要はありません。IPv6の導入については、インターネット関係各社だけでなく、日本の政府(総務省)も高いモチベーションを持って取り組んでいます。また、AppleがAppStoreで配信するアプリについて、IPv6対応を求めているというニュースを耳にされた方も少なくないと思います。

大手キャリアでのIPv6

 スマートフォンでIPv6を利用するためには、通信サービスのIPv6対応と、スマートフォン本体(OS)のIPv6対応という、2つの条件が整う必要があります。

 大手携帯電話会社の携帯電話網は、おおむねLTEの設備更新と同じ頃にIPv6対応が進んでいたようです。しかし、各社のスマートフォン向け通信サービスである、ドコモのspモード、auのLTE NET、ソフトバンクのウェブ使用料はIPv4でしか提供されておらず、IPv6を利用することはできませんでした。IPv6を利用するためにはデータ通信用の異なるサービスを契約する必要があったのです。

 また、スマートフォン本体は、AndroidとiPhone(iOS)共にOSとしてはIPv6に対応しているものの、大手キャリアから発売された機種については、IPv6機能が無効化されているという事態が長らく続いていました。これは恐らくキャリアのスマートフォン向け通信サービスがIPv6を提供していなかったためだと思われます。

IPv6

 このように、大手キャリアについてはIPv6を利用できない期間が長く続いていたのですが、世界的なIPv6推進の動きもあり、スマートフォン向けの通信サービスでも順次IPv6に対応していくという方針が2016年末に3社から発表されています。

 例えばドコモでは、2017年夏ごろからspモードでもIPv6対応が開始され、それに合わせて2017年夏以降に発売されたスマートフォンではIPv6対応が利用できる状態で出荷されるようになりました。2015年夏以降に発売されたスマートフォンでは、利用者が設定変更することでIPv6利用可能になります。

 このような対応により、2018年は大手キャリアでのIPv6の利用が伸びることが期待されます。

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