打倒LINEは可能なのか 「+メッセージ」導入の狙いを読み解く:石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)
3キャリアが5月9日に提供開始する「+メッセージ」。+メッセージは「3キャリアが結託してLINEに対抗しようとしているのではないか」と見られがちだ。+メッセージ提供の狙いはどこにあるのか?
「打倒LINE」は可能なのか、+メッセージの今後
+メッセージの魅力として分かりやすいのは、やはり電話番号でやりとりできるところだろう。職種にもよるが、仕事でのコミュニケーションをしている相手(同僚、上司、部下、取引先など)とは、LINEの“友だち”にはなりづらいという人も、少なくないだろう。
電話番号だけでメッセージが送れるのは、いざというときに役立つはずだ。相手に電話がつながらないときでも、メッセージを送っておけるからだ。筆者も、待ち合わせにどうしても間に合わないときなどは、電車の中でSMSを送ったりすることがある。ただ、文章が途中で切れてしまったり、画像が送れなかったりと、SMSにはどうしても仕様上の古さを感じてしまう。このようなときに、+メッセージは便利なサービスになりそうだ。
実際、3社とも+メッセージをSMSの正常進化と位置付けており、「今、SMSをお使いの皆さまには、ぜひ手に取っていただきたい」(千葉氏)とアピールする。ターゲットとしては、「30代より上で、ビジネスに(SMSを)使っている方々。あとは、安心・安全を理解していただける方に訴求できると思っている」(藤間氏)。
その割にはアプリのデザインが“若い人向け”な印象も受けたが、まずは、ビジネス利用の多い、SMSユーザーに訴求していくというのが、ドコモとソフトバンクの見解だ。かつては1つのキャリア内に閉じて失敗したサービスも多かったが、+メッセージは「十分普及する余地はある」(藤間氏)。
とはいえ、やはりLINEのユーザー基盤は厚く、スタンプなどのコンテンツや、LINE Payなどの資産にもひもづいているため、+メッセージが出たからといって、ユーザーがすぐに乗り換えるとは考えにくい。また、「それなりに準備があり、提供も検討している」(藤間氏)というが、MVNOやサブブランドでのサービス提供もめどが立っていない。iPhoneユーザーに、+メッセージのアプリをどうインストールさせるのかも、今後の課題になりそうだ。
関連記事
- 「+メッセージ」はLINEユーザーにどこまで響くのか
3キャリアが提供する「+メッセージ」。3社は「LINE対抗ではない」と口をそろえるが、大きなライバルでもある。果たしてLINEユーザーにどこまで響くのだろうか? - SIMフリー端末で使える? Wi-Fiでもデータ料かかる?――「+メッセージ」で気になることを大手キャリアに聞いてみた
大手キャリア3社が5月9日、統一メッセージサービス「+メッセージ(プラスメッセージ)」を導入する。従来のSMSを事実上置き換えるこのサービスについて、気になる点を3社に聞いてみた。【一部修正】 - SMSやキャリアメールとの違いは? 「+メッセージ」でできること、できないこと
3キャリアが5月9日から提供する「+メッセージ」。SMSの後継となるサービスだが、何ができるのか? フィーチャーフォンや格安SIMでは使えるのか? 今、分かっていることをまとめた。 - ドコモ、au、ソフトバンク、SMSを進化させた「+メッセージ」を導入 RCSに準拠
ドコモ、KDD、ソフトバンクが、新たなメッセージサービス「+メッセージ」を導入する。SMSを代替するもので、全角最大2730文字のテキストを送受信できる。ファイルの送受信やビデオ電話などが可能になる。 - Googleが普及に注力 新しいメッセージング規格「RCS」って何?
「RCS(Rich Communication Services)」の普及に向けて、Googleがパートナーとの協業を強化するという。そもそも「RCS」とは何なのだろうか?
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.