イタリアの天才デザイナーが手掛けた美しいケータイ Telit「G83」(懐かしの海外ケータイ)
過去の懐かしい製品を振り返る「懐かしの海外ケータイ」。今回はイタリアのメーカー、Telitが携帯電話を販売していた時代の名機「G83」をご紹介します。G83は優雅な曲線のラインが美しいボディーデザインの携帯電話です。
海外メーカーの携帯電話を1500台以上所有する筆者のコレクションから、過去の懐かしい製品を振り返る「懐かしの海外ケータイ」。今回はイタリアのメーカー、Telitが携帯電話を販売していた時代の名機「G83」をご紹介します。
Telitとはイタリアの通信機器メーカーです。現在はIoT関連モジュールなどを手掛けていますが、今から10年以上前にはコンシューマー向けの携帯電話も製造していました。その中にはNECが中国で出していたODMメーカーの製品なども含まれますが、純粋に自社開発した携帯電話はイタリアらしいデザインに優れた製品がそろっていたのです。
2004年に発売した「G83」は優雅な曲線のラインが美しいボディーデザインの携帯電話です。握りやすく、デザインと使い勝手を両立した優れた形状といえます。テンキーも単純に数字を並べるのではなく、最下段のキーは本体上部からのカーブラインをそのまま受けるようなフォルムになっています。
G83のデザインを手掛けたのはイタリアが生んだ天才デザイナー、ジョルジェット・ジウジアーロでした。彼のデザインした自動車はどれもが流れるようなフォルムに包まれ、しかも使い勝手も考えられた「美しい工業製品」でした。G83の十字キーを囲むように配置された、一体型の左右のコマンドキーと発着信キーの鋭利なデザインは自動車のデザインからインスパイアされたようにも見えます。
実際に持ってみると、本体の厚さが20mmもあるにもかかわらず、側面のカーブの部分が手のひらにうまくフィットして持ちやすく感じられます。押しにくそうに見える10キーも片手でうまく操作できます。また背面のカメラは真ん中に自分の顔を写すミラーがあるので自撮りがしやすそうです。もちろん画質はVGAで今となってはおまけ程度のカメラですが、自分を撮影するのも楽しかったことでしょう。
背面のカバーを開けると、内部の構造もどことなくメカニカルというか、自動車のエンジンルームを思わせる形状をしています。もしかするとジウジアーロは外観だけではなく内部までもデザインを手掛けたのかもしれません。バッテリーやSIMを交換するときも美しさをそのまま感じさせる、ジウジアーロのデザイン設計哲学がG83には詰まっているのです。
Telit G83の主なスペック
- メーカー:Telit
- 発売年:2004年
- 通信方式:GSM
- サイズ:約45(幅)×108(高さ)×20(奥行き)mm
- 重量:約90g
- その他:VGAカメラ、カラーディスプレイ(128×160ピクセル)
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