「代理店の端末値引き」「最安値を強調する広告」 モバイル市場の公正競争で残る問題点:ワイヤレスジャパン 2018
ワイヤレスジャパン 2018の「携帯電話販売代理店向けビジネスセミナー」に、野村総合研究所 コンサルティング事業本部 パートナーの北 俊一氏が登壇し、「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」でまとめられた報告書のポイントを解説した。
ワイヤレスジャパン 2018の「携帯電話販売代理店向けビジネスセミナー」に、野村総合研究所 コンサルティング事業本部 パートナーの北 俊一氏が登壇し、「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」でまとめられた報告書のポイントを解説した。
「サブブランドつぶし」とささやかれた検討会だが、北氏は「ドコモのMVNOばかり増えたことが原因」と解説。KDDIとソフトバンクは、MVNOに対抗するためにY!mobileとUQ mobileでユーザーの流出を防いだ。しかし「そのやり方に対してMVNOから疑義が出ることになった。この疑義は晴れていない」(北氏)。親会社からサブブランドへの優遇、いわゆる「ミルク補給」があるのではという疑義については今後も注視される。
Y!mobileはソフトバンクと同じ電波を使っているのに、安い料金で利用できる。これについては「不当廉売ではないかということで、どちらかというと独禁法に関わる問題」(北氏)。これも引き続き検証されるが、より難易度が高い問題だと語った。
北氏が「最大の問題」と指摘したのが、端末販売の適正化だ。キャリアによる端末補助については総務省がチェックするが、「代理店さんが勝手に安くすることについては、今のガイドラインや法律でコントロールできない。ここは独禁法による規制しかない」とし、総務省と公取委がしっかり連携することが重要だと語った。公取委が代理店の「提供に要する費用を著しく下回る価格」を定義できないなら、「電気通信事業法の改正、あるいは韓国型総量規制に移行する」(北氏)のがよいという。
さらに北氏が懸念しているのが、最安値だけを強調する「有利誤認的な広告」だ。
「UQ mobileもY!mobileも、MVNOよりもつながる価値を価格としてお客さんに提示しなくてはいけないのに、MVNOと同じだけ安いといっている。最安値で契約するには多くの条件があり、これは有利誤認。ショップスタッフにとっても大きなストレス。業界の自浄作用を期待して見てきたが、無理なようだ」と北氏は語り、総務省や消費者庁に厳しい対応を望んだ。
関連記事
- 携帯電話の「2年縛り」と「4年縛り」 総務省は何を問題視している?
携帯電話の「2年縛り」と「4年縛り」の問題がクローズアップされている。2年縛りは長く携帯キャリアが実施してきた施策だが、あらためて何が問題なのか? そして4年縛りとは? - サブブランド優遇、2年縛りなど各種問題点の結論は? 総務省が“報告書”を公開
総務省は4月20日、「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」の第6回を開催。過去5回に渡る討議の論点がまとめられた「報告書(案)」が公開された。今回の会合では報告書(案)の内容が説明され、構成員が意見交換を行った。 - モバイル通信市場の「公正競争」促進には何が必要? 総務省の検討会が論点整理
2017年度内に開催されると思われた「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」の第5回会合が、年度をまたいで4月9日に行われた。総務大臣への提言にむけた論点整理が行われたが、その「論点案」は多岐に渡る。 - 定期契約の“自動更新”が競争を阻害? 大手キャリアの考えは?
大手キャリアの基本プランは、1〜3年の「定期契約プラン」が基本だ。このプランの「自動更新」について、一部のMVNOが「他社への乗り換えを妨げとなっている」と主張している。当の大手キャリアはどう考えているのだろうか? - 「サブブランド」優遇 してる? してない?――KDDI、UQ、ソフトバンクが説明
大手キャリア(MNO)やそのグループ企業が運営する、いわゆる「サブブランド」と呼ばれる通信サービスに対して、一部MVNOから批判が噴出している。総務省が主催する会合において、当事者たちが反論した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.