低価格スマホで若者から支持 モトローラがSIMフリー市場で“安定”している理由:SIMロックフリースマホメーカーに聞く(2/2 ページ)
ミッドレンジの「moto g6」と「moto g6 plus」、エントリークラスの「moto e5」を日本で投入するモトローラ。日本でのシェアは安定しているという。SIMフリー市場での戦略をダニー・アダモポウロス社長に聞いた。
MVNOとの提携やピュアAndroidも特徴
―― 最近はMVNOがセット販売に積極的で、全体的に見ると、セット販売比率が増えていると聞きます。モトローラではいかがでしょうか。
アダモポウロス氏 多くの端末を取り扱っていただいているコアとなるMVNOは少数です。NTTレゾナント(NTTコミュニケーションズ)、BIGLOBE、IIJ、楽天で、これまではそういったところに対応してきました。一方で、moto e5を投入したいい点として挙げておきたいのが、戦略的に多くのMVNOと投入計画を立てられたことです。諫早ケーブルテレビ、Nifty、DMM、BIGLOBE、IIJと組むことができ、MVNOとの関係は拡大しています。これに基づき、次のステージに行こうとしているところです。
―― モトローラは戦略的にAndroidへのカスタマイズを最小限に抑えていますが、この“ピュアAndroid戦略”はどう評価されているのでしょうか。
アダモポウロス氏 いい点として、日本市場ではピュアAndroidが少ないことが挙げられます。日本にはGoogleの「Pixel」もありません。近いところでは、Y!mobile(のAndroid One)があるのかもしれませんが、キャリアの製品ではないスマートフォンとしては、ほぼ唯一のクリーンなAndroidを提供しています。
もちろん、セキュリティのアップデートは定期的に行っていますし、Oreo(Android 8.0)へのアップデートもmoto z2 play、moto zで実施しました。その他の端末へのアップデートも計画にあります。こういった点からも、日本市場では非常に歓迎されていると見ています。
海外で好調の理由、日本キャリアへの復帰は?
―― 今回投入された製品はエントリーとミドルレンジでしたが、zシリーズについてはいかがですか。
アダモポウロス氏 先ほどのコメントとも関連してきますが、その国に最も適切なポートフォリオを選択しなければなりません。moto z2 playはmoto zと比べても、驚くほどよく売れました。フラグシップは2機種なければいけないというのではなく、1つに統合した形で投入することにしたからです。このmoto z2 playの後継機についても継続的に検討していますが、新たな決定をした際にはお知らせしたいと考えています。
―― グローバルでは、moto z3 playが発表されました。
アダモポウロス氏 moto z3 playは、日本の発表会の前日に、メキシコとブラジルで発表されました。数週間のうちに何か発表があるかもしれませんが、これ以上は申し上げられません。
―― メキシコとブラジルで発表ということですが、海外での状況は今、どのようになっているのでしょうか。
アダモポウロス氏 Motorolaブランドに対して投資をし続けてきた結果、いい成果が出ています。レガシーなブランド(Lenovoブランドのスマートフォンなど)は全てクリーンにして、Motorolaのみに投資できる状況になったのが一因です。南米では消費者の方々に支持していただき、市場成長率が11%なのに対し、40%の成長ができました。市場の成長率を超えることができたのです。ブラジル、アルゼンチン、パナマで伸びていて、メキシコではシェア1位になりました。
欧州は出荷台数の50%がアクティベートされている状況で、非常にうまくいっています。またインドでは、AmazonやFlipkartと取引してオンラインのプレゼンスを強めていましたが、オフラインではロードサイドや駅の近くに店舗も展開しています。このキオスク的な店舗を「moto hub」と呼んでいて、400店舗開設しました。これを行うことで、ブランドを直接アピールでき、消費者の方々も分からないことを聞きにきたり、修理に出したりといったことができます。
さらに、北米でも、SIMフリー市場では1位で、さまざまなチャネルに販路を広げています。リテールチャネルだけでなく、オペレーター(キャリア)でも取り扱っていて、過去5、6年でもっとも広い範囲をカバーできるようになりました。
―― 最後に、現状はSIMフリー市場でのラインアップを強化しているところだと思いますが、日本でのキャリア市場はどうお考えでしょうか。
アダモポウロス氏 今のところは、やはり競争が非常に激しい状況で、iPhoneが依然として強いとみています。もちろん、キャリアとの話し合いは引き続き行っていますし、われわれのポートフォリオが日本のキャリアにピッタリ合うというのであれば、関係をさらに深めていきたいと考えています。
取材を終えて:フラグシップ新機種の発売にも期待
モトローラにとって、moto e5は販路を広げるための戦略商品だったことがうかがえる。MVNO専売モデルとして2万円前後で発売され、販売台数を伸ばしたHuaweiの「nova lite 2」のような事例もあり、ここに対抗する端末という見方もできる。実際、moto e 5のコストパフォーマンスは高く、スマートフォンデビューを検討している人には、最適な1台といえそうだ。
一方で、モトローラといえば、やはりmoto modsというイメージが強い。フラグシップモデルが不在だと、メーカーとしての印象も弱くなってしまうため、moto z3 playの発売にも期待したいところだ。
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