内蔵ストレージが1TB! Smartisanの「Nut R1」を北京で見てきた:山根康宏の海外モバイル探訪記
中国のSmartisanは、他社にはない製品を中国で販売しています。2018年6月に発表された「Nut R1(堅果R1)」も、Smartisanだけの特徴を持った製品です。何と内蔵ストレージ容量に1TBもの大容量モデルが用意されているのです。
日本で知られていないスマートフォンメーカーは中国にまだまだ存在します。独自の世界観で製品展開しているSmartisan(スマーティザン)もその1社です。以前は日本市場への参入も視野に入れ、SNSでの日本語情報発信も行っていましたが、その話も立ち消えてしまいました。現在は中国向けに、他社にはない製品を毎年販売しています。
2018年6月に発表された「Nut R1(堅果R1)」も、Smartisanだけの特徴を持った製品です。何と内蔵ストレージ容量に1TBもの大容量モデルが用意されているのです。1TBといえば、無料のクラウドストレージサービスよりもはるかに大きい空間です。これだけの容量があればクラウドを使う必要はなく、身の回りのデータ全てを端末本体に保存できてしまいそうです。
Smartisanのスマートフォンには、もともと2つのラインがありました。ハイエンドモデルは「T」シリーズ。Smartisanの中国語の「錘子」は金づち、ハンマーの意味。同社のロゴはその形を模した「T」の文字になっています。Tシリーズはスマーティザンの顔となるメインラインの製品だったのです。
その後、Xiaomiの「RedMi(紅米)」に端を発する中国国内の格安端末ブームを受け、1000元を切る低価格ラインとしてミッドハイレンジのチップセットを採用した「Nut (堅果)」シリーズが追加されます。アプリアイコンをタイル状に並べるUI(ユーザーインタフェース)の「Smartisan OS」の使い勝手もよく、このNutシリーズはよく売れたようです。その反面、Tシリーズの売れ行きは鈍ったようで、「Mシリーズ」へと改名されたものの1世代で終わってしまいます。
NutシリーズがSmartisanを代表するモデルとなってからも、プロセッサはSnapdragon 600番台を使った製品ばかりでした。しかしミッドハイレンジモデルではなかなか他社との競争に勝てません。そこで今回のNut R1の投入に合わせ、TシリーズやMシリーズを完全に廃止し、Smartisanのスマートフォンのブランド名はNutシリーズに1本化されたのです。
新たにSmartisanをけん引することになるNut R1は、Snapdragon 845の採用はもちろん、メモリは6GBまたは8GBと大容量。さらにはストレージが前述したように最大1TBのモデルも用意されます。しかしさすがに1TBモデルは価格が8848元(約15万円)と高く、バリエーションとして64GB、128GBのモデルも販売されます。
さてSmartisanの直営店は数があまり多くなく、先日上海を訪問したときは繁華街の南京東路そばのお店が撤退していました。今回北京の電脳街、中関村を歩き回っていたところショップを発見。店内はNut R1を大々的にアピールしていたものの、展示機は充電中で特徴的なUIは試せませんでした。また1TBモデルはまだ出てきていないようで展示はなし。とはいえ、展示されていたメモリ6GB/ストレージ128GBモデルと外観は変わりません。
Nut R1の本体仕上げは高級感あふれるもので、高価な端末にふさわしい外観です。背面は鏡面仕上げでTのロゴが映えますね。ディスプレイは6.17型、カメラは2000万画素+1200万画素、フロントは2400万画素とかなりの高スペック。6GB/128GBモデルの3999元もお買い得な価格でしょう。
本体の側面には別カラーのラインを入れることで、単調になりがちな外観にアクセントを加えています。単純な1色仕上げにしないのは過去のモデルも同様で、このあたりは同社CEO羅永浩氏のデザインへのこだわりが現れています。
高速CPUに大容量ストレージを搭載したことで、簡易PCとしての利用も視野に入れているようで、大型ディスプレイを備えたドッキングステーションも発売されます。中国のスマートフォン市場はHuawei、Xiaomi、OPPO、Vivoの4社の力がさらに強さを増しています。1TBモデルでSmartisanはどこまで対抗できるのか、注目したいところです。
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