「LINEモバイル」でソフトバンク回線を使うメリット、MVNO業界に与える影響は?:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)
ソフトバンク傘下になったLINEモバイルが、ソフトバンク回線を使った通信サービスを開始。ドコモ回線を使ったサービスとは何が違うのか? MVNO業界にどのような影響を与えるのだろうか?
ソフトバンクと資本・業務提携を結び、同社傘下になったLINEモバイルが、7月2日にソフトバンク回線を使ったサービスを開始した。これまで提供していたドコモ回線のサービスも継続。ドコモとソフトバンク、2つの回線から好きな方を選べる、マルチキャリアMVNOへと進化した。
ソフトバンク回線の提供は、LINEモバイルにとって大きなリブランドだったのと同時に、ソフトバンク側の視点から見ると、7月2日からLINEモバイルが2つ目のサブブランドになったことを意味する。ここでは、改めてその発表内容を振り返りつつ、業界に与える影響を考察していきたい。
料金はドコモ回線から据え置き、データフリーは提供予定
ソフトバンク回線を選べるようになったLINEモバイルだが、「シンプルであること、お客さまにとって分かりやすいこと」(LINEモバイル 嘉戸彩乃社長)を重視し、料金はドコモ回線と同一にした。MVNOからMNOからネットワークを借りる際の接続料は、ドコモよりソフトバンクの方が割高だが、ソフトバンク回線はMVNEを間に挟んでいないこともあり、値上げせずに同一料金を実現できたという。
月1GBまで利用できる「LINEフリープラン」の場合、音声通話対応で料金は1200円(税別、以下同)。LINEに加えて、TwitterやFacebook、Instagramの通信量がカウントから除外される「コミュニケーションフリープラン」は、音声通話対応で3GB、1690円から。コミュニケーションフリープランでは、容量を3GB、5GB、7GB、10GBから選択することができる。LINE MUSICがここに加わる「MUSIC+プラン」も提供される。
ただし、嘉戸氏が「間に合わなかった。間に合わせるためには何月になるという話があったとき、そこまで待つかを考え、待たないでやろうと決意した」と言うように、データフリーの提供はサービス開始に合わせることができなかった。ソフトバンクの子会社化から約3カ月と期間が短かったためだが、代わりにソフトバンク回線のみ、7月、8月の2カ月間はデータ容量を2倍にする。データ容量2倍という数値は、データフリーとして消費されている割合を考え、ユーザーが不利益を被らないよう設定されたという。
一方で、データ容量を使い切ってしまったときも「(対象サービスは)ずっと速度制限なしで使い続けることができる」(嘉戸氏)というように、部分的にはデータを識別する仕組みが導入されていることがうかがえる。ソフトバンク回線でデータフリーが始まるのは2018年秋ごろの予定だが、対象となるサービスをよほどヘビーに使っているのでない限り、あまり気にする必要はないだろう。
また、ドコモ回線とソフトバンク回線の切り替えも2018年8月末まで無料にして、7月6日からサービスを始めた。同様のサービスはmineoやBIGLOBEなどが提供しているが、料金プランやオプションなどを引き継いだまま回線を変更できるのは、マルチキャリアMVNOならではといえる。
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