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iPhone XS/XS MaxはiPhone 8並みに売れるのか? 3キャリアの販売戦略から読み解く石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)

9月21日にiPhone XS/XS Maxが発売された。2018年はiPhoneの主要な販路となるキャリアの販売方法にも変化が起こり、ソフトバンクがauに続いて「分離プラン」を導入した。この影響がどう出るか。初週の売れ行きを見ながら考察していきたい。

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 9月21日に「iPhone XS」「iPhone XS Max」の2機種が発売され、2018年の“iPhone商戦”の幕が開いた。本誌でも既に多数の記事が公開されているため改めて振り返る必要はないかもしれないが、機械学習の処理を担う「ニューラルエンジン」を大幅に強化した「A12 Bionic」の採用や、明暗差の大きな場所で効果を発揮する「スマートHDR」、DSDS(デュアルSIM/デュアルスタンバイ)対応やeSIMの採用などが、シリーズ共通の強化点といえる。

iPhone XS
9月21日に発売されたiPhone XS(左)とiPhone XS Max(右)

 一方でラインアップとしてiPhoneを見たときにも2017年からの変化がある。2017年は従来路線を踏襲した「iPhone 8」「iPhone 8 Plus」の上に、新シリーズとして「iPhone X」を置いたのに対し、2018年はiPhone Xの直接的な後継機を5.8型と6.5型の2サイズに分け、その下に「iPhone XR」を置いた格好だ。

iPhone XS
10月26日にはiPhone XRの発売も控える

 iPhone XRをどう見るのかは見方が分かれるが、価格を考えると、iPhone 8の系譜を受け継ぎつつ、デザインや核となる機能をiPhone Xシリーズにそろえたモデルといえる。この端末構成に加えて、iPhoneの主要な販路となるキャリアの販売方法にも変化が起こった。ソフトバンクが、auに続いて「分離プラン」を導入したことがそれだ。これらの影響がどう出ているのか。初週の売れ行きを見ながら、考察していきたい。

ラインアップの変化はAppleの収益にも貢献

 iPhone Xの発売が11月になった2017年とは異なり、2018年は、価格面や機能面で上位モデルに位置付けられるiPhone XS、XS Maxが先に店頭に並んだ。iPhone XRを含めたラインアップ全体を見ると、より高価格なモデルの割合が増えたことになり、2017年並みの販売台数を維持できるのであれば、Appleにとっては平均購買単価の底上げにつながる。

iPhone XS
iPhone XS
2018年のiPhoneは、3モデル構成になった。2017年より、さらに高価格なiPhone XS Maxが追加されているのも大きな違いだ

 実際、従来2モデル展開だったiPhoneを3モデルに増やし、上位モデルとしてiPhone Xを導入したことで、Appleの収益は大きく向上した。その影響が最も強く表れる2018年度第1四半期(2017年10月から12月)の決算では、iPhoneの売上高は615億7600万ドルと、前年同期の543億7800万ドルを13%も上回っている。

 対する出荷台数はほぼ横ばいで、1%減にとどまっている。Appleはモデル別の比率までは公開していないが、これはiPhoneのラインアップを3モデル構成に変えた結果と見ていいだろう。AppleのCEO、ティム・クック氏がiPhone XS、XS Maxを発表した際に「iPhone Xがナンバー1のスマートフォンになった」と語っていたように、価格を引き上げながらも売れ行きは好調だったiPhone Xの貢献は大きいはずだ。

iPhone XS
iPhone Xがナンバー1のスマートフォンになったと語るクック氏

 2018年は同じ3モデルだが、iPhone XSの上にiPhone XS Maxを用意し、逆にiPhone 8、8 Plusの後継にあたるモデルはiPhone XRの1機種に絞ることで、より高価格帯へとシフトしている。価格帯の高いモデルでユーザーのニーズを満たすことを考えると、iPhone XSに加えてiPhone XS Maxを用意した判断は正しい。成熟期を迎え、今後の急拡大が見込めないスマートフォン市場の中で成長するための戦略ともいえる。

 ただし、iPhone XRの発表時にAppleの上級副社長、フィリップ・シラー氏は「たくさんのお客さまに使っていただきたいもう1つのiPhone」と語っていたように、Apple自身もiPhone XS、XS Maxだけで全てのニーズを満たせるとは考えていないことがうかがえる。特に2018年はiPhone XS、XS Maxでユーザーが二分されるため、単体で見たときの販売台数はiPhone XRの比率が最も高くなるといったシナリオも考えられそうだ。

iPhone XS
iPhone XRは「もう1つのiPhone」としてシラー氏が発表した
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