検索
連載

iPhone XS/XS MaxはiPhone 8並みに売れるのか? 3キャリアの販売戦略から読み解く石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)

9月21日にiPhone XS/XS Maxが発売された。2018年はiPhoneの主要な販路となるキャリアの販売方法にも変化が起こり、ソフトバンクがauに続いて「分離プラン」を導入した。この影響がどう出るか。初週の売れ行きを見ながら考察していきたい。

Share
Tweet
LINE
Hatena

iPhone XS、XS MaxのライバルはiPhone 8? XRはロングセラーの可能性も

 一方で、日本市場ではグローバルとやや動向が異なり、3モデルの中ではiPhone 8の売れ行きが際立っていた。その状況はiPhone XS、XS Max発売後も変わっていないようだ。GfKの調査に基づいた9月17日から23日までのランキングを見ると、1位から3位を各キャリアのiPhone 8が独占しており、iPhone XS、XS Maxの中で最も販売台数が多いソフトバンクのiPhone XS(256GB版)でさえも4位という結果だ。

iPhone XS
依然として売れ続けているiPhone 8
iPhone XS
初週のデータでは、3キャリアのiPhone 8が3位までを独占

 4位以下はiPhone XS、XS Maxで占められており、iPhoneブランドの強さは健在であることはうかがえるが、このランキングからは、「Appleのライバルは1年前のApple」という構図も見て取れる。キャリア別のランキングでもこの傾向は同じで、各社とも1位は64GB版のiPhone 8。それを追う形で256GBのiPhone XSが2位にランクインしている。64GB版のiPhone 8は、店舗によっては「実質0円」どころか「一括0円」なっていることもあり、さすがの新機種もこれには及ばなかったようだ。

iPhone XS
キャリア別データでは、各社ともiPhone XSの256GB版が2位につけている

 もっとも、上記データの集計期間はiPhone XS、XS Max発売前の4日間を含んでおり、7日間の販売期間があったiPhone 8が有利に働く側面もある。同様に携帯電話端末の販売動向を集計している調査会社BCNの「BCN+R」に掲載された記事によると、初日からの販売台数については、iPhone 8、8 Plusのときとほぼ同じ傾向を示しているという。

 GfK、BCNのどちらも規模の大きなキャリアショップをデータが集計対象に入っていないため、必ずしも実態が反映されているわけではない点には注意が必要だが、iPhone XS、XS Maxの発売イベントでドコモの吉澤和弘社長が「予約状況は去年(2017年)と比べて大体同じ」と語っていたように、キャリアでもおおむね、2017年と同等かややそれを上回る販売実績を上げられているようだ。

iPhone XS
iPhone XS、XS Maxの予約状況は例年並みだというドコモの吉澤氏

 同時刻に開催されたため、筆者は取材できていないが、ソフトバンクの代表取締役副社長執行役員兼COO、榛葉淳氏も「予約の状況は例年並みに順調」と語っていたことも、各種データを裏付ける。

 ただ、この初速が続き、iPhone XS、XS Maxの2機種が1年間売れ続けたiPhone 8並みになるかは未知数の部分もある。日本市場では24回や48回の割賦払いが主流だ。これによって初期費用の負担感が軽減されるうえに、分割にすれば月ごとの支払いは数千円になるため、比較的高額なハイエンド端末でも購入がしやすくなる。

 一方のiPhone XS、XS Maxは、ともに最低容量のモデルが10万円を超えてしまっているため、割賦販売法が適用される。その結果、審査が詳細になり、収入やローンの残高によっては、分割払いで購入できないケースもある。いわゆる“審査落ち”だ。もちろん、一括で支払う選択肢は残るが、10万円を超える代金を割賦なしで払うのは負担感が大きい。対するiPhone XRは価格も128GB版までは10万円を下回り、iPhone XS、XS Maxよりも割賦が組みやすい。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る