「捕まえる」存在から「寄ってくる」存在に――JapanTaxiが目指すタクシーの未来(前編)(2/3 ページ)
最近「JapanTaxi」というタクシー配車アプリが注目を集めている。このアプリを開発したJapanTaxiとは、どのような会社なのか。アプリによってタクシーの利用動向に変化はあったのか。同社のCMO(最高マーケティング責任者)に話を伺った。
サービスを他社にも開放→社名も変更
金氏 最初のアプリは日本交通専用で、「日本交通のファンを増やす」という目的を持っていました。「いちいち電話でタクシーを呼ぶのが面倒」というお客さまが(スマホで)簡単に呼ぶ、といった使い方が多かったです。
その後、2012年に日本交通以外の提携事業者のタクシーも呼び出せる「全国タクシー配車」アプリを開発し、機能拡充やサービス改善を順次進めていきました。
そして、海外(企業との提携)も視野に、もっとアグレッシブに日本の交通の未来を変えていこう、ということでちょうど3年前(2015年)の8月1日、社名を現在の「JapanTaxi」に変更しました。
社名変更前の弊社は「システムインテグレーター」という感じで、開発系のエンジニアが多く在籍していました。社名変更を機に、(スマホの)アプリやサービスを熟知している人たちをメンバーに加え、現在の形態に変わりました。
―― ということは、最近入社された人が多いのですか。
金氏 そうですね。弊社のメンバーの大半はここ3年以内に入社しています。元々(IT関連企業の多い)六本木や渋谷あたりで働いていた人が多く、オフィスのある紀尾井町はある意味で新鮮なようです(笑)。
―― 2012年の段階で「全国タクシー配車」と「日本交通タクシー配車」アプリが併存するようになったわけですが、同業他社のタクシーも呼べるアプリを開発したのはなぜなのでしょうか。
金氏 地方のタクシー事業者の社長さんが、川鍋(社長)に「うちもアプリ配車をやりたいから(アプリを)ちょうだい!」と言ってきたことがきっかけです。タクシー事業者(の経営者)は、そもそもアプリ開発に詳しいわけではなく、アプリを受け渡しすればすぐ使えると思っていたようです。
ユーザーの利便性を考えるなら、「アプリをプラットフォーム化して、みんなで(他のタクシー事業者も)使えるようにした方がいい」ということで生まれたのが、全国タクシー配車アプリとなります。
他事業者のタクシーを呼べるのにアプリ名に“日本交通”と付いているのはおかしいので、別アプリとして提供することになったのですが、1つのアプリでいろいろなタクシーを呼び出せる便利さから、全国タクシーアプリの利用者比率は次第に増えていきました。
最終的に、日本交通タクシー配車アプリは全国タクシーアプリに吸収する形で(2017年8月31日をもって)統合しました。
アプリ利用者の「1割弱」が外国人旅行客
―― 突然ですが、プロフィールに氏名を登録をせずにJapanTaxi Walletを使ったところ、運転手さんの情報端末に「ガイコクジン」と表示されてしまったことを思い出しました(笑)。
実際に訪日外国人旅行客にもJapanTaxiアプリは使われているのでしょうか。
金氏 以前と比べて増えてはいますが、利用者全体の1割に少し満たない程度です。
―― 少し満たないとはいえ、利用者が100人いたら10人近くの外国人の方が使っているんですね。
金氏 現在のJapanTaxiアプリは「日本語」「英語」「韓国語」「中国語(簡体字・繁体字)」に対応しているので、訪日旅行客の多くはカバーできるようになっています。
広報担当者 (JapanTaxi Walletに対応するタクシーに搭載している)お客さま用のタブレット端末も、アプリと同じく日本語、英語、韓国語と中国語の表示に対応しています。
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