環境さえ整えば「決済」も変わる――JapanTaxiが目指すタクシーの未来(後編)(2/4 ページ)
国内のタクシー配車アプリとして高いシェアをほこる「JapanTaxi」。このアプリには「JapanTaxi Wallet」というコード決済機能も内包しているが、開発元のJapanTaxiは社外のコード決済サービスへの対応も積極的に進めている。前編に引き続き、同社のCMO(最高マーケティング責任者)から話を伺った。
国内向けコード決済も拡充へ 決済方法は「できるだけ多く」
―― 御社のソリューションでは、コード決済を含めていろいろな支払い方法に対応しています。その過程で課題として浮かび上がったことはありますか。
金氏 コード決済という観点では、日本国内向けサービスへの対応を進めることが課題です。
中国では弊社のタブレット端末も対応しているAliPayとWeChat Payでシェアを二分しているような状況ですが、日本では「LINE Pay」「メルペイ」「PayPay」……と、いろいろな企業からさまざまなコード決済サービスが出てきています。今年(2018年)は、ある意味で「ペイメント戦争」みたいな様相です。
弊社としては、いかにお客さまが利用する(コード決済)サービスに対応し、対応サービスを増やしていくかという点が課題となります。特に東京のお客さまは、ITリテラシーの高い人が多く、「どんな(決済)サービスに対応しているか」ということを気にされること人も多いですから、できるだけ多くのコード決済サービスに対応していきたいと思っています。
―― コード決済への対応を強化する、ということでしょうか。
金氏 コード決済を含めて、さまざまなお客さまに対応できるように、多様な決済方法を利用できるようにしたいと考えています。
―― 先ほど、御社のJapanTaxi Walletは乗車中に決済を済ませてしまいたい人に使われている、という話がありました。
Origami Payを含めて、他のコード決済では降車前決済を実現できないのでしょうか。
金氏 現状ではJapanTaxi Walletのみ対応していますが、コード決済事業者から要望があれば弊社としても対応していきます。ただ、降車前決済に対応する場合、決済事業者側でもシステムの改修など対応が必要になるので、最終的には決済事業者さんの経営戦略次第ということになります。
既に(JapanTaxi Walletを)提供している弊社としては、降車前決済対応は(利用促進を図る上で)大事な要素だと考えているので、対応サービスを増やしていきたいです。
日本の課題「現金主義」は楽観視
―― 紙幣の偽造が困難だったりATM(現金自動預払機)の台数が多かったりすることも手伝って、日本は「現金主義」とも言われています。御社のJapanTaxi Walletも含めて、コード決済機能は普及するのでしょうか。
金氏 これから変わっていくと思っています。
日本が現金主義となった理由の1つとして、現金しか使えない場所が多いという面があります。今でも「タクシーでは現金しか使えない」と思っているお客さまは意外と多いです。タクシーでのカード決済は、東京ならほぼできるようになりましたが、地方ではまだ使えない地域も少なくありません。
環境さえ整えば、人は変わっていくと思います。それを体感できたのが弊社のタブレット端末を使ったコード決済機能です。JapanTaxi WalletやOrigami Payなど、対応しているコード決済機能を使われるお客さまは、当初の想定の数倍いたのです。
先ほどのタブレット端末側における操作フロー変更の話ともつながりますが、ユーザーは(決済サービスが)使えるようになったら想像以上に速いスピードで使うようになります。環境整備が重要なのです。
お客さまの中には「(カードで)払えなかったら恥ずかしい、迷惑をかける」という理由で確実に払える現金で支払うという人もいるのですが、コンビニエンスストアではそういったためらいなくSuicaを含む電子マネーを使う人が多いですよね。「確実に支払える手段である」ということになれば、コード決済などに切り替える(使い始める)人が一気に増えると思います。
日本において、何かが劇的に変わる時は、意外とハードウェア頼みな面(決済端末や決済用カードの普及に依存する面)もあるかもしれません。
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