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インタビュー

「AQUOS sense2」「AQUOS R2 compact」開発の舞台裏 シャープがSIMフリー市場を攻める理由SIMロックフリースマホメーカーに聞く(2/3 ページ)

2018年にヒットした「AQUOS sense」の後継モデル「AQUOS sense2」がSIMロックフリー端末として登場。「AQUOS R2 compact」もSIMロックフリー版の投入を検討している。シャープはなぜSIMフリー市場を重視するのか?

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3万円台を実現できた秘密は?

―― ここまでの機能で3万円台だと、率直に言って安いと感じます。この価格を実現できた秘密は何かあるのでしょうか。

林氏 特に秘密はありません(笑)。他のモデルもそうですが、価格をあらかじめ設定して商品企画をしています。そのため、そぎ落とさなければならないところは、徹底的にそぎ落としています。部材レベルでもそうですし、構造もそうで、技術者の英知がちりばめられたものになっています。

 後は台数もありますね。開発段階で台数を想定するのは非常に難しいのですが、ある程度まとまった数を想定しながらモノ作りをすることで、部品の単価も下がってきます。このゾーンの商品はわれわれだけでなく、競合も非常に多く厳しい市場なので、そこは徹底的に意識しました。

小林氏 よく言っていることですが、価格もスペックの一部です。お金をかければよくできるのは当たり前なので、いかにこの価格で実現するかを考えました。

林氏 AQUOS senseのときは、キャリアがAQUOS sense、SIMフリーやMVNO向けがAQUOS sense liteとチャネル別に商品を分けていましたが、今回はAQUOS sense2一本でいきたいと考えています。SIMフリー市場のユーザーは価格に対して厳しい目をお持ちなので、以前はデザインで若干の差別化をしてAQUOS sense liteとして売り出しましたが、市場環境も変化しています。それに対応して、今回はAQUOS sense2一本でいくことにしました。

―― この価格帯でおサイフケータイにしっかり対応している端末は、他にありません。その意味で、差別化もきちんと図れている気がします。

林氏 金属筐体で(おサイフケータイを)やるのは大変でした。いわゆるフラグシップモデルではないので、オーッと言われるようなチャレンジはありませんが、普通に使っているだけだと気付かないような工夫は入れています。

Android 9にもアップデート予定

―― 前回からUSBもType-Cになりましたが、AQUOS sense2でもそれは踏襲しています。ミドルレンジでは切り替えが早かったと思いますが、これはなぜでしょうか。

林氏 あれもお金をかけたところで、長い間使っていただくために、Type-Cに切り替えました。このモデルは、5V、3Aで15Wの充電に対応しています。充電の仕方も工夫して、インテリジェントチャージというものを入れました。最近は2年でなく、3年ぐらい使う人も増えているので、そこを意識した設計にしています。

小林氏 インテリジェントチャージとは、温度など、さまざまな要因で充電を調整する調整弁のことです。できるだけ短い時間で充電したいと思うかもしれませんが、温度が上がっていたりすると、電池をいじめることがあります。そこの微妙な調整をしていて、1年使っても電池の容量が90%ぐらい残るようになっています。90%というと、「そんなに減るの?」と思われるかもしれませんが、従来の半分ぐらいになっています。

林氏 長く使うという意味では、最大2回のOSアップデートとセキュリティアップデートも提供していきたいと考えています。電池がなくなったから買い替えなければいけないということは減らしていきたい。電池や通話、Wi-Fiなどの自己診断をする機能も搭載しています。

小林氏 細かな違いですが、電源キーを長押しすると、故障の診断をするメニューが出て、今、林が申し上げた診断ができます。何らかの不備がある場合は、シャープにログを送信できるようになっています(※この機能はSIMロックフリー版のみ対応)。

―― 発売時点ではAndroid 9 Pieではありませんでしたが、アップデートも予定されているという理解でよろしいでしょうか。

林氏 発売のタイミング的に、どうしてもAndroid 9 Pieにする環境が整っていませんでしたが、遠くない時期にアップデートして、2回のバージョンアップはきっちりやっていきたいと考えています。

―― ちなみに、OSバージョンアップしたとき、ナビゲーションキーの仕様はどうしていくおつもりですか。

小林氏 ナビゲーションキーは、基本的に選べるようにしています。「ホーム」「バック」「タスク」になっている場合は、OSを上げてもそのままで、細長いバーには自分で切り替える仕組みです。逆に新しく出荷するモデルは、(Android 9 Pie)標準の細長いバーが出るようにしています。

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