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auとUQのモバイルルーターが「下り1.2Gbps」対応 無視できない注意点ありふぉーんなハナシ(1/2 ページ)

auとUQコミュニケーションズが、下り最大1237Mbps(理論値)の通信に対応するルーター2機種を発売しました。理論値とはいえ下手な光回線よりも高速なので魅力的ですが、注意点もあります。

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 既報の通り、KDDI、沖縄セルラー電話とUQコミュニケーションズは1月25日、下り最大1237Mbpsの通信に対応するWi-Fi(無線LAN)ルーターを発売しました。

 理論値とはいえ、下り通信速度が1Gbps(125MB/秒)を超えるということは感慨深いものがあります。KDDIと沖縄セルラー電話のニュースリリースでは、対応機種の1つ「Speed Wi-Fi HOME L02」の紹介文にこんな事を書いています(太字は筆者加工)。

コンセントにつなげばすぐに高速インターネットアクセスが可能なホームルーターが、ギガビット通信対応 (LANケーブル接続時) に (注6)。話題の4K、8Kによる高画質動画も快適な視聴を実現

 4K(3840×2160ピクセル)や、その倍の8K(7680×4320ピクセル)の動画を快適に見られるということは、とても素晴らしいこと……なのですが、無視できない注意点もいくつかあります

(記事中の通信速度は特記のない限り全て理論値)

2機種
下り最大1237Mbps対応の「Speed Wi-Fi NEXT W06」と「Speed Wi-Fi HOME L02」

注意点1:ハイスピードプラスエリアモードじゃないと使えない

 まず、今回発表されたW06とHOME L02が対応する「下り最大1237Mbps」は、「ハイスピードプラスエリアモード」時における最高通信速度です。

 このモードは元々、「WiMAX 2+」のエリアを補完するために「au 4G LTE」の電波も利用するために用意されていましたが、電波を束ねる「キャリアアグリゲーション(CA)」を使って、より高速な通信を実現するためにも使われるようになりました。

 今回、auとUQが達成した「下り1237Mbps」という速度も、WiMAX 2+とau 4G LTEのCAによって実現しています。

速度の仕組み
WiMAX 2+とau 4G LTEの電波を同時利用することで高速通信を実現

 このハイスピードプラスエリアモード、利用月のみ月額1005円(税別)が課金される有料オプションです(申し込み不要)。ただし、UQコミュニケーションズとそのMVNO(auを除く、以下同様)が提供する料金プランでは、3年契約プランに加入(変更)することを条件にオプション料が免除されます。

 端的にいえば、スピードを上げるには、追加でお金を払うか、縛りをキツくする必要があるのです。

3年契約
UQコミュニケーションズとMVNOが提供するプランであれば、3年契約を受け入れることでハイスピードプラスエリアモードを無料で使える

注意点2:「通信制限」が厳しい

 ハイスピードプラスエリアモードでは、データ通信制限が厳しいことも忘れてはいけません。

 このモードでの通信には、月間7GBの高速通信容量制限が掛かっています。このモードでの通信容量が7GBを超過すると、当月内の通信速度が上下最大128kbpsに制限されてしまいます。いったんこの速度制限対象になると、WiMAX 2+単独で通信する「ハイスピードモード」でも同様に速度制限がかかるので、要注意です。

 auでの契約分については、別途「エクストラオプション」を契約していれば速度制限を気にせず利用できますが、料金は2GBあたり2500円(税別)で、2GBごとに自動課金されるので「使いすぎ」に気を付ける必要があります。

エクストラオプション
auでの契約分については「エクストラオプション」を契約しておくと速度制限はかからなくなるが、2GBごとに2500円が自動課金されるので要注意

 UQとそのMVNOの契約分については、月が変わるまで速度を回復する手段がありません。最近は動画以外のWebコンテンツもリッチ化が進んでいることを考えると、128kbpsではかなりストレスがたまるはずです。

 厳しい通信速度制限を避けるには、7GBを使い切る前にハイスピードモードに切り替えるか、必要な時だけハイスピードプラスエリアモードをオンにすることが重要です。

 先日発売された下り1237Mbps対応ルーターは、設定したしきい値に達すると通信をハイスピードモードに自動切り替えする機能も備えています。このような機能がないルーターでも、契約事業者のWebサイト(「My au」や「my UQ WiMAX」など)で通信量をチェックできますし、データ量をチェックする機能、あるいはデータ量がしきい値に達したらアラートを出す機能を備えるルーターもあります

LTEアラート
「Speed Wi-Fi NEXT W03」「Speed Wi-Fi NEXT W04」はハイスピードプラスエリアモードでの通信量がしきい値に達するとアラートを出す機能を備えている(要ソフトウェア更新)

 一方、先述のハイスピードプラスエリアモードに関わる制限に掛からない限り、ハイスピードモードには月間容量制限はありません

 ハイスピードモードでも、理論上の最高通信速度は下り558Mbps(69.75MB/秒)、上り30Mbps(3.75MB/秒)ありますから(機種による)、電波状況が良好であれば、4K・8K動画は厳しくとも、フルHD(1920×1080ピクセル)の動画をストリーミングで見る程度であれば十分実用できます。

 しかし、ハイスピードモードに設けられていないのは、あくまでも月間容量制限。実はハイスピードモードまたはハイスピードプラスエリアモードで直近3日間に10GB通信すると、18時頃から翌2時頃まで大幅な通信速度制限がかかるのです。制限時の通信速度は1Mbpsと、ハイスピードプラスエリアモードの月間7GB制限よりも緩和されていますが、動画を高画質で楽しむには少し厳しい速度には変わりありません。

 ただし、この制限の対象になったとしても昼間は制限が行われません。なので、「休日の昼間にストリーミングで映画を高画質で楽しむ」という使い方なら問題ありません。

 UQコミュニケーションズも「YouTube」における参考値を出していますが、「高画質でストリーミング動画を流しっぱなしにする」という使い方をしない限り、「3日間で10GB」の制限にかかることはあまりないでしょう。

 むしろ、問題はスマホやPCのソフトウェアのアップデートが立て続けに発生するケースです。筆者の経験上、こちらの方が動画視聴よりも容量をガンガン消費します。WiMAX 2+ルーターを使う場合は、アップデートにも注意が必要です。

制限
ハイスピードモードまたはハイスピードプラスエリアモードで直近3日間で10GB通信した場合は、18時から翌2時まで上下最大1Mbps程度の通信速度制限がかかる
目安
UQコミュニケーションズが参考値として示している「YouTube」を楽しむ際の容量
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