“PayPay効果”で加盟店申し込みが急増 LINE Payが2018年につかんだ手応え:モバイル決済の裏側を聞く(2/3 ページ)
2018年はさまざまな決済サービスが登場して市場が盛りあがったが、「LINE Pay」にも追い風となった。PayPay効果で認知度が大きく上がり、加盟店の申し込みも急増したという。キャンペーンも積極的に打ち、「マイカラー」制度も改良した。
「マイカラー」制度の認知向上も目指す
キャンペーンの狙いは、ユーザーにアクティブにLINE Payを使ってもらうためだが、その意味ではLINE Payに2018年から導入された「マイカラー」制度も見逃せない。これは「使えば使うほどポイント還元が増加する」というインセンティブプログラムの代表的存在だ。
同社では2018年10月にマイカラーの決定条件を緩和し、「送金人数」という枠を撤廃して純粋に決済金額のみでカラーのランクが判定されるようになった。この拡充や利用状況について長福氏は「LINE自身が持っているMUSICなどさまざまなサービスと連携させることは当然考えられますが、サービス連携は人それぞれに合う、合わないがあるため、まずはマイカラー制度自体の認知を高めることを重視したい」と説明する。決済金額だけで“お得度”の変化が明確に現れるため、制度を理解してより活用してもらいたいという。
利用者からのフィードバックとして「LINE Payの決済履歴がメッセージで飛んでくることの満足度が高い」というのも収穫だった。
一般に、銀行振込などでは電話番号や名前など最低限の個人情報が付与されるだけで、あくまでお金の受け渡しという機能のみに特化している。現金書留で送るという方法もあるが、元来「送金」という行為にはいろいろなバックグラウンドがあるはずなのに、驚くほどシンプルに処理が完了されてしまうという味気なさがあった。
その点、チャットを介して送金が可能なサービスでは、会話の中で送金が行われるという流れがあり、送金という行為に添えた何気ない一言が大きな意味を持つ。これを改めて認識できたのが「発見」というわけだ。
PayPayの存在はどこまで意識している?
「2018年を通してメディアの皆さまに取材をいただいて、そのたびに『(PayPayを含む競合各社について)一緒に市場を広げていくパートナー』だと説明しています。これは今も変わりません。勝つことも重要ですが、今やはりやらなければいけないのは、2020年の東京五輪、2025年の大阪万博という流れがあって、日本がキャッシュレス化していくなかで協力していかないと『現金の呪縛』からは逃れられません。どちらかといえば、こちらの方がチャレンジです。2018年の1年間を走ってみて思ったのは、敵は競合ではなく、むしろマーケットをどう変えていくかという部分にあるということです」(長福氏)
とはいえ、PayPayがクレジットカードの不正利用の件で何度もニュースに取り上げられ、2018年末から2019年初頭にかけて「アプリ決済は危ないのでは?」という疑念に包まれたのは、ロケットスタートを狙っていたPayPayにとっても、これを機会にアプリ決済の認知が広がると考えていた業界全体にとっても大きなマイナスだったと考える。これについて長福氏に尋ねたところ、次のような率直な感想が返ってきた。
「PayPayの(クレジットカード不正利用の)件は想定内でした。いろいろなプレーヤーが増えて、サービスをずっとやっていって、小さい問題をいくつも重ねていくなかでトラブルが取り上げられるというのは、当然起こり得ると思います。比較的小規模な事業者であることは想定していましたが、それがまさかPayPayさんとは思いませんでしたが……」(長福氏)
パートナーという面を強調する同氏だが、この点に関しては業界全体で安全性をアピールしていかなければいけないと述べる。通常のインターネットサービスと比べ、今回提供されるのは決済であり、「安心安全」を守るのが何より重要なのだという。
今後のキャンペーンについても、ライバルや周囲の環境を意識せずにマイペースで続けていくという。PayPayは100億円キャンペーン第2弾を発表したばかりだが、どちらかといえば華々しさの目立った第1弾と比べ、第2弾は「細く長く」を意識した内容になり、登録したユーザーに比較的長い間使ってもらえることを重視している。LINE Payについても「(消費税増税に向けたポイント還元がスタートする)10月1日以降を狙った局所的なキャンペーンというよりも、1年を通じて広く認知キャンペーンを展開していくことを考えています」と同氏は説明する。
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