バッテリーだけじゃない、新「ZenFone Max」の進化 「Zen SIM」の狙いは?:SIMロックフリースマホメーカーに聞く(2/3 ページ)
ASUS JAPANが、3月15日に「ZenFone Max(M2)」と「ZenFone Max Pro(M2)」の2機種を発売した。さらに、これら2機種に合わせて「ASUS Store Akasaka」および直販サイトで契約できる「Zen SIM」のサービスを開始した。新機種とZen SIMの狙いを聞いた。
Max ProとMaxのすみ分けは?
―― 確かにこの価格差なら、より高機能なProを選びたくなります。ZenFone Max(M2)はどうしていくおつもりですか。
阿部氏 これは恐らく弊社だけではないと思いますが、安い方は時間がたつと浮上してくる傾向があります。ZenFone Max Pro(M2)は、写真などで見ても見た目がいいことが分かります。一方で、ZenFone Max(M2)はパワーアップしているものの、今までのモデルと比べて極端に違うかというと、そうではありません。こういう商品は、実際にお店に出てきたときに上ってくると思います。
リー氏 狙い通りといえば狙い通りですが、想定外のこともありました。反響が意外なほどよかったんです。
―― 意外なほど(笑)。ちょっと過小評価しすぎでは。
リー氏 もちろん、期待感はありましたが、それを上回っている感触です。
―― それは、なぜだとお考えですか。
阿部 1つには、発表会での露出が効いたことがあると思っています。先ほど申し上げた通り、今まではナンバリングモデルやとがったモデルを出すときにしか、発表会をやっていませんでした。それ以外はプレスリリースを出しておしまいということも多かったと思います。ナンバリングモデルほど大々的にやったわけではありませんが、露出をしっかりしたことの効果は出たと思います。
テン氏 製品の発表時期もあると思っています。この2つの製品を出したことで、1万円台から12万円台のものまで、きっちりそろったので、エンドユーザーが自分に合ったセグメントのものを選べるようになったのは大きいですね。
―― フルラインアップの端末がそろったのはいいのですが、一方で台湾の本社では、ハイエンドに注力するという方針が出ています。今後、Maxシリーズは継続していけるのでしょうか。
リー氏 いち社員として受け取っているメッセージは同じで、ハイエンドに注力していく方針は浸透しています。ただ、われわれ(ASUS JAPAN)は、Maxシリーズが今後も出てくることは期待していますし、要望も上げています。
阿部氏 今後がどうなるかは特に決まっていませんが、Maxも世界的に展開しているシリーズです。ハイエンドに注力といっても、どこまでをハイエンドというのかもあると思います。国によっては、Snapdragon 660でも十分ハイエンドに入ることもありますからね。
テン氏 まずは、5月16日の(ZenFone 6が出ると思われる)発表を楽しみにしていてください。
バッテリーだけじゃない、カメラも進化
―― 次に、それぞれの端末のことをもう少し伺いますが、今回はカメラも強化したのも特徴だと思います。
阿部氏 今までは、五角形のグラフを書くと、バッテリーのところだけが突出して伸びている感じでしたが、今回はAIカメラも搭載できました。今までのMaxシリーズと比べると、何も考えずにキレイな写真が撮れます。
リー氏 Proに関しては、ソニー製のセンサーも使っています。
―― やはりソニー製は引きが強いのですか。
阿部氏 センサーだと圧倒的なシェアですし、差別化を図れるところだと考えています。単純な話ですが、Proの方が画素数も小さい。センサーの名前をいわないと、何で画素数が小さいのとなってしまうところもあります。また、ZenFone Max(M2)は深度測定用のカメラが200万画素ですが、ZenFone Max Pro(M2)は500万画素という違いもあります。
―― 深度測定用のカメラは深度を取るだけで、実際の画像を生成する際には使っていないですよね。ここの画素数の違いには、どういう意味があるのでしょうか。
阿部氏 理論的には、ボカシの処理の速度が上がります。解像度が上がるぶんだけ、深度を取得しやすくなるからです。体感できるレベルかどうかはなかなか難しいところではありますが、内部理論でいうとそんな感じになります。
―― どちらも大容量バッテリーを搭載している割には薄いのですが、これはなぜでしょうか。
テン氏 バッテリー技術の進化があり、物理的にバッテリーが小さくなっていることがあります。基板の配置なども工夫しています。
阿部氏 例えば、ProはWi-Fiが、IEEE 802.11b/g/nだけで、acは入っていません。acを入れると、その分アンテナのスペースを取られてしまうからです。それぞれの機能に優先順位を設定して、そのぶん大きなバッテリーを入れているという側面もあります。
―― ユーザーが気付きにくい部分でのトレードオフがあるということですね。確かにWi-Fiの規格よりバッテリーを取る人にはその方がよさそうです。
関連記事
- 最長約1カ月の連続待ち受け 大容量バッテリー搭載のミドルハイスマホ「ZenFone Max M2」「ZenFone Max Pro M2」日本上陸
バッテリー容量に定評のあるASUSの「ZenFone Max」シリーズ。その最新モデルが日本でも登場する。いずれもmicroSDスロットが独立したデュアルSIMモデルで、国内3キャリアのVoLTEを同時待ち受け(DSDV)できる。 - ASUSから「ZenSIM」登場 IIJmioの音声SIMを独自ブランドで販売
ASUS JAPANが、IIJmioの音声SIMを発売。同社の直販限定で提供する。サービス開始記念のキャンペーンも実施する。 - ASUSが「ZenFone 6」を5月16日に発表へ ノッチレスのデザインに?
ASUSが、次期スマートフォン「ZenFone 6」を、2019年5月16日に発表することを公式動画で予告している。新しい提案をする旨のメッセージを出している。同社はMWC19 Barcelonaでは新製品を発表していない。 - ASUS、5000mAhバッテリー搭載の「ZenFone Max Pro(M1)」発売 約3万円
ASUS JAPANは、12月21日にSIMフリースマホ「ZenFone Max Pro(M1)(ZB602KL)」を発売する。最長35日間(4G通信時)の連続待ち受けが可能な5000mAhバッテリーを搭載し、2つのSIMスロットとVoLTEが使えるDSDVに対応。「ZenFone Live(L1)(ZA550KL)」も同日に発売する予定だ。 - ASUSはなぜ日本でゲーミングスマホを投入するのか? 「ROG Phone」の狙いを聞く
ASUSは、ゲーミングに特化したスマートフォン「ROG Phone」を発売した。両手持ちした際にゲームのコントローラーのように人差し指で操作できるなど、ゲームの操作感にもこだわって開発された。同社が日本でROG Phoneを投入する狙いを聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.