Android搭載、タッチディスプレイ付きの室内ドアが6月に発売 25万円前後
神谷コーポレーション湘南が、タッチディスプレイを搭載した室内ドア「FULL HEIGHT MILAOS(フルハイトミラオス)」を2019年6月頃に発売する。同社の商品を取り扱う工務店などで販売される予定で、定価は25万円前後を見込む。なぜ、ドアにディスプレイを搭載したのか?
神谷コーポレーション湘南が、4月19日、タッチディスプレイを搭載した室内ドア「FULL HEIGHT MILAOS(フルハイトミラオス)」を2019年6月頃に発売すると発表した。神谷コーポレーション湘南の商品を取り扱う工務店などで販売される予定で、定価は25万円前後を見込む。
FULL HEIGHT MILAOSのプロトタイプは、ディスプレイをスマホなどの液晶ディスプレイなどを手掛けるジャパンディスプレイ(以下JDI)と共同開発していたが、製品版では神谷コーポレーション湘南が開発を行っている。
【訂正:2019年4月23日12時36分 初出時に、「ディスプレイ部分は、スマホなどの液晶ディスプレイなどを手掛けるジャパンディスプレイ(以下JDI)と共同開発している」としていましたが、製品版ではJDIが開発に携わっていないことが判明したため、訂正致しました】
FULL HEIGHT MILAOSは、2018年8月にJDIが開催した事業戦略発表会で初披露されたもの。開発当初は80mmも厚みがあったが、神谷コーポレーション湘南が既に販売している通信機能を搭載しないドアからもアップグレードできるように、規格を統一して厚さを40mmにしたという。神谷コーポレーション湘南とJDIの2社は、以前よりドアとデジタル技術の融合を構想していた。両社の構想が早い段階から合致していたこともあり、わずか1カ月程で製品化に至ったという。
ドアなのにディスプレイやOSを搭載
ミラーの一部に約10.1型の液晶ディスプレイを搭載しており、電源を入れると、天気やスケジュール情報などを確認できる。ディスプレイの解像度は1920×1200ピクセル。ドア本体に800万画素のカメラを内蔵しており、撮影した画像や映像を他社製のアプリケーションを使うことで表示できる。
FULL HEIGHT MILAOSにはAndroid 5.1を搭載しており、Google Playからアプリケーションを入手することで、さまざまな使い方ができる。例えば、一般的な鏡では自分の後ろ姿を確認するのが難しいが、0〜5秒前のカメラ映像を再生する「時撮りカメラ」アプリを使えば、自分の後ろ姿を数秒遅れで表示することができる。他に、大画面でYouTubeを楽しむ、フィットネスアプリでお手本の動画を見ながら鏡で自分のフォームを楽しむ、といった使い方も想定している。
スマート電球のアプリケーションをダウンロードすることで、ドアから電球のオン/オフの切り替えや、明るさの調節などもできる。
FULL HEIGHT MILAOSはディスプレイとWi-Fiなどの通信機能を備えているため、ドアのヒンジ部分からでる電源コードを家庭用のコンセントにつなぐ必要がある。なお、バッテリー駆動の商品も検討しているという。
無線LAN規格はIEEE802.11b/g/nに対応し、Bluetoothは4.1をサポートする。年間あたりの消費電力は約12W。ACアダプターは100〜240Vのものに対応する。内蔵ストレージは8GB。この他、湿度と温度センサー、モノラルマイクとモノラルスピーカーを搭載している。
単なるドアでは売れない
新商品説明会には、神谷コーポレーション湘南の神谷忠重社長が登壇し、製品についての考えや今後について説明した。
神谷コーポレーション湘南は、2005年からフルハイトドアを販売しており、天井から床にかけて外枠が見えないようなデザインを積極的に取り入れてきた。神谷氏は「ただ開け閉めするドアを発売しても売れない」と話す。日本的なデザインや技術を取り入れ、独自のこだわりポイントをアピールしていくべきだとも強調した。
新商品のコンセプトについては「単なる室内ドアにとどまらず、空間全体を演出するようなドアを目指した」と説明した。
ディスプレイを搭載した理由について、「室内にある鏡は目的があることで日々使っている。ドアは何かをする導線上にある。ドア、鏡、情報の表示ができるディスプレイ、この3つを融合させることで、朝の身支度で両手がふさがっても、知りたい情報をすぐに確認できる」と述べた。今後はIoT家電との連携やAIの搭載といったこれまでのドアにはない機能を搭載していくとしている。
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