シャープ、5Gスマホのプロトタイプを公開 約3Gbpsの通信に成功
シャープが5Gに対応したスマートフォンのプロトタイプを公開した。AQUOS R3をベースにしながら、5G対応のモデムチップやアンテナを装備したもの。下り2.9Gbpsほどの通信速度を確認できた。
シャープが5月8日、新型スマートフォン「AQUOS R3」の発表に合わせて、5Gスマートフォンのプロトタイプ(以下、5Gスマホ)を参考展示した。
5Gスマホは、AQUOS R3をベースにしながら、5G対応のモデムチップやアンテナを装備したもの。AQUOS R3の部品にこれらを組み合わせているため、本体の厚さが増しているが、商用モデルを開発する際は、より薄くできるという。周波数帯は日本のキャリアに割り当てられている28GHz、3.7GHz、4.5GHzをサポートしており、1台で複数キャリアの5G通信が可能だという。
会場では、5GとLTEの基地局シミュレーターと有線接続したシールドボックスの中に5Gアンテナを装備。ここから28GHz帯の電波を発して、シールドボックスに入れた5Gスマホを遠隔操作で通信。モニターに映し出されたスマホ画面のピクトエリアには「5G」のアイコンが表示され、下り2.9Gbpsほどの速度が出ていることが確認できた。
シャープは2018年に発売した「AQUOS R2」で超広角の動画専用カメラを搭載し、AQUOS R3では15秒のダイジェスト動画を自動で作成する機能を追加するなど、動画撮影機能に注力している。5G時代でもこの方向性は継続し、通信事業本部 本部長の中野吉朗氏は、「5Gサービスインに向けて、ビジュアルコミュニケーションを革新させたい」と意気込みを語った。
気になる5Gスマホの発売時期だが、4月に国内キャリアの周波数割り当てが決まったばかりで、商用サービス開始は2020年春とまだ先のため、未定。それでも「発売タイミングはキャリアのサービスインに依存するのでコメントしづらいが、先頭集団で開発し、いち早く出したい」と通信事業本部 パーソナル通信事業部 事業部長の小林繁氏は話す。また同氏は、5G時代でも、動画のコミュニケーションを追求していくことをあらためて強調した。
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