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予断を許さない“Huawei問題” 日本市場に与える影響は?石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)

米商務省から事実上の禁輸措置を受けた結果、日本でも、主にHuawei端末の販売に影響が出始めている。5月24日に発売される予定だった「P30」「P30 lite」は、多くの販路で発売が延期になった。なぜこのような事態になったのか? 今後の影響も含めて考察する。

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新端末の開発は不可能か、部材調達では日本企業への影響も

 現時点では、主要な部品メーカーや、OSを提供するGoogle、さらにはプロセッサのライセンスを提供するArmまでもが取引を停止している状況だ。部品は制裁の影響が及ばない国のものに置き換える手はあるが、プロセッサやOSなどは、事実上の寡占状態になっているため、代替を探すのが難しい状況だ。Huaweiの場合、Qualcomm製のSnapdragonはほとんどの端末で採用されていないため、既存のプロセッサを利用する手はあるが、新規開発ができなくなると、端末の進化が止まってしまう。

Huawei
Huawei端末に搭載されるプロセッサの「Kirin」は、傘下のHiSiliconが設計しているが、QualcommのSnapdragonやAppleのAシリーズと同様、Armのライセンスに基づいて開発されたものだ

 新端末の開発が不可能になれば、日本メーカーの悪影響も避けられない。他メーカー同様だが、特にハイエンドモデルになればなるほど、日本製のパーツは多くなる。Huaweiは、コアサプライヤーとして、ソニー、富士通、三菱電機、パナソニックなど11社の名前を挙げており、カメラのセンサーや通信モジュール、電子部品などを調達している。その金額は、2018年実績で7000億円強。新規端末の開発ができなければ、これが消し飛んでしまう恐れもある。

Huawei
日本の部品も多く採用されている。売りとなるカメラもセンサーはソニー製で、両社は緊密に連携しているという

 もちろん、これは日本だけの話ではなく、制裁を決めた当の米国をはじめ、影響は世界的に広がっている。呉氏はP30、P30 liteの発表会で、「(米国の制裁は)誰の利益にもならない」としながら、「Huaweiと業務提携している米国の会社にも巨額の損失をもたらし、10万人に及ぶ雇用や、グローバルのサプライチェーンの相互の信頼を破壊する」と語っていたが、株価などには、既に影響が出始めている。Huaweiはスマートフォンの進化をけん引してきた1社なだけに、早急な解決を期待したいところだ。

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