「ゆうちょPay」を使ってみた どんなメリットがある? 不満点は?(3/3 ページ)
ゆうちょ銀行は5月8日にコード決済サービス「ゆうちょPay」を開始した。スマホアプリからQRコードを提示すれば、ゆうちょ銀行の口座から決済金額が即時引き落とされる。早速使ってみたので、利用方法や所感をまとめた。【訂正】
キャッシュアウトが便利
ゆうちょPayの特筆すべき機能として、東急電鉄の券売機から現金を引き出せる「キャッシュアウト」がある。これは東急線の駅券売機にQRコードを読み込ませることで、現金を引き出せるというもの。使用できるのは首都圏の一部エリアに限られてしまうが、現金が手元になくATMもすぐには見つからないようなシーンで活躍する。
同機能は初期状態ではオフになっているので、初回利用時には設定をオンに切り替えよう。
初期設定が済んだら再度キャッシュアウトを選択し、引き出したい金額を選択して操作を進める。券売機の前でこの操作を行うと時間がかかってしまうので、慣れるまではQRコードを表示させてから券売機に並ぶのがいいだろう。
QRコードを表示できたら、東急線の駅にあるQRコードリーダー付きの券売機で操作する。スマートフォンに表示されたQRコードをかざせば、指定した額の現金が引き出される。なお、キャッシュアウト機能で出金できるのは1万円札のみだ。
キャッシュアウト機能に関して注意したいことは2点ある。1つは、東急線であっても「こどもの国線」など一部路線は対応していないこと。もう1つは利用可能時間が5時〜23時に制限されていることだ。つまり、終電間際は利用できない。
キャッシュアウト利用時の手数料は、2019年6月30日まで無料。7月1日から2020年1月3日までは100円(税別、以下同)。それ以降は、平日8時45分〜18時が100円、上記以外が200円となる。
LINE Payと合わせてスマホからの出金手段として覚えておこう
本音を言うと、レビュー用にゆうちょPayを数回使用した後は、数あるスマホ決済サービスのうち、あえてゆうちょPayを使おうという気持ちにはならなかった。そもそも、ゆうちょ銀行を連携するとしても、他のコード決済サービスの方が利用可能な店舗は多い。
最大の利点といえる郵便局での支払い対応は、2020年2月から徐々に展開する予定であり、まだ当分先の話だ。また、現時点では個人間送金にも対応しておらず、他に特筆すべき機能はない。先着100万人に現金500円がプレゼントされる「ゆうちょPayデビューキャンペーン」は実施されているが、定番のコード決済アプリ群と比べるとやや地味だ。支払い時の大規模な還元キャンペーンはないため、すぐに使い始めるためのモチベーションに欠ける印象がある。
【訂正:5月27日17時55分】初出時、「ゆうちょPayデビューキャンペーン」の対象人数を「先着100人」としていましたが、正しくは「先着100万人」です。おわびして訂正いたします
一方、東急線を通勤や通学などに利用しており、キャッシュレス生活になじんだゆえに現金をつい忘れてしまうような人にとっては、駅の券売機をATM代わりに現金を引き出せるのは貴重な機能だ。エリアが限られるために、万人向けとは決して言えないのが残念だが、いざというときにスマートフォンだけで現金を取り出せる手段用として重宝する。
現金を引き出せるスマホ決済サービスとしては、全国のセブン銀行ATMから出金可能な「LINE Pay」も挙げられる。キャッシュレスを徹底する際には、コンビニではLINE Pay、東急線ではゆうちょPayから現金を引き出せるようにしておき、シーンごとに賢く使うといいだろう。該当エリアに住んでいる人は、ゆうちょPayもキャッシュカード代わりに登録しておくことを勧めたい。
関連記事
- なぜゆうちょ銀行がスマホ決済に参入するのか? 「ゆうちょPay」の狙いを聞く
2019年5月、ゆうちょ銀行が提供する「ゆうちょPay」がスタートする。口座数だけで約1億2000万という巨大銀行グループの動向が気になる人は多いだろう。ゆうちょPayが参加するGMOペイメントゲートウェイの「銀行Pay」や、そもそも狙いを聞いた。 - ゆうちょ銀行のコード決済「ゆうちょPay」、開始時期が「2019年5月」に
ゆうちょ銀行が、2019年5月に「ゆうちょPay」を開始する。ゆうちょ銀行の口座と直結したコード決済サービス。郵便局や対応店舗の他、銀行でも利用可能にする予定。 - 銀行口座直結の「Bank Pay」、2019年秋に開始 1000以上の金融機関が対応予定
日本電子決済推進機構(J-Debitの推進団体)が、新たなスマホ決済サービス「Bank Pay」を2019年秋に開始する。ユーザーがスマートフォンアプリに表示したバーコードを読み取ってもらうことで、対応する銀行口座直結で決済ができる。1000以上の金融機関が順次対応する。 - りそな銀行が3月に「りそなウォレット」開始 口座直結のスマホ決済
りそな銀行と埼玉りそな銀行が、2月25日にスマホ決済アプリ「りそなウォレット」を提供する。QRコードを使い、りそな銀行の口座直結で支払いができる。3月から対応店舗で利用可能になる予定。 - みずほ銀行など約60社が参加――デジタル通貨プラットフォーム「J-Coin Pay」始動 3月サービス開始
みずほ銀行がコード決済機能や送金機能を備えるデジタル通貨プラットフォームを開発。同行の他、約60の金融機関が3月から順次サービスを開始する。【追記】
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.