売りたくても売れない――販売店を襲う「Huawei問題」:元ベテラン店員が教える「そこんとこ」(2/2 ページ)
最近世間を騒がせている、米商務省のHuawei(ファーウェイ)に対する事実上の禁輸措置。携帯電話販売店にも大きな影響を与えています。この記事では、この問題を携帯電話販売店の立場から見ていきます。
既存機種への不安も高まる
連日Huaweiについて報じられていることもあり、記事執筆時点では販売を停止していない既存の製品についても不安の声を聞きます。とりわけ「将来のOSバージョンアップやサポートがどうなるか?」という点に対する不安は多いようです。
日本法人であるファーウェイ・ジャパンは「アフターサービスに影響はない」という声明を発表しているものの、根拠に乏しく、現時点ではアフターサービスがどうなるかは、率直にいって不透明なままです。
「HUAWEI P20 lite」のように、発売から約1年が経過し価格のこなれてきたモデルは、最新を求めないユーザーにとってはより買いやすい選択肢。販売する側にとっても、特価を打ち出しやすく、どんなユーザーが手に取ってくれるかを熟知しているので売りやすいモデルでもあります。
単に後継モデルが販売できないだけなら、お手頃感の増した先代モデルをそのまま販売することもできます。しかし、今後サポートがどうなるか予断を許さない状態だと、「無責任に売ることはできない」と考え、ユーザーに勧めづらくなってしまいます。
この考えは、買う側も同じ。いくら安く購入できても、今後のソフトウェア更新やOSバージョンアップがどうなるか分からないと考えたら、他のメーカーのスマホを選ぶか、問題が解決するまで買い替えを見送るという判断をするでしょう。
携帯電話販売店のスタッフからは、既にHuaweiのスマホを使っているユーザーからのこんな相談が日に日に増えているという話も聞きます。
「自分のスマホは、今後も安心して使っていけるのか?」
「2年契約で買ったのに、途中で使えなくなりそうなら、他の機種に交換してもらえないのか?」
過去、筆者自身が現場に立っていた時、発表時に注目を集めた機種が事実上の発売中止となったことがありました。
厳密にいうと、この事例は「型番を変更して再発表」だったのですが、発表された当初と比べると仕様が大きく変わり、事実上の別機種となってしまいました。そのため、予約していたお客さまから「楽しみだっただけに残念」「その機種じゃないと駄目だった、失望した」と言われ、悔しい思いをしました。
「発売延期」「発売中止」の責任はメーカーにあるのか、取り扱うキャリアにあるのか、はたまた両者から離れた場所で「政治的な都合」が働き、モノはあっても売れなくなってしまったのか……真相は分かりません。ただ、形はどうあれ「欲しいもの」「買うはずだったもの」が手に入らないというショックは図りしれません。
今回の騒動で、国内の携帯電話市場におけるHuaweiの存在感の大きさが浮き彫りになりました。当面の間はユーザーも販売スタッフも戸惑う状況が続きそうです。
スマホを含む携帯電話にあまり詳しくないユーザーの間では、米商務省の措置の詳細を知らないままに「Huaweiってメーカーは買ってはいけない」とネガティブなイメージを持つ人が増えているとも聞いています。販売店の立場からすると、台数を売らなければならない中で、そのキーとなるHuaweiスマホの発売延期や先行き不安は、そのまま販売台数の減少につながります。
ただ、先述の通り、Huaweiの“穴”を埋めることはそう簡単なことではありません。だからこそ、一刻も早い問題の解決が、2019年の夏商戦において重要になることは間違いありません。
ライター:迎悟
キャリアショップも家電量販店も併売店も経験した元ケータイショップ店員。携帯電話が好き過ぎた結果、10年近く売り続けていましたが、今はライター業とWeb製作をやっています。
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