端末割引を制限する意図は? Huaweiとの取引は? ドコモ株主総会の質疑応答(3/3 ページ)
NTTドコモは6月18日、第28日提示株主総会を開催。同社の吉澤和弘社長が事業報告をするとともに、株主からの質問を受け付け、役員が答えた。総務省で議論されている解約金や端末割引、新料金プラン、5G、Huaweiとの取引などについての質問が挙がった。
5Gプレサービスは具体的にどう提供される?
―― 5Gのプレサービスの例として、ラグビーワールドカップの説明があったが、具体的にどのように実施されるのか。例えばラグビー場に行かないとそのサービスを享受できないのか?
森健一取締役 ラグビーワールドカップでいよいよプレサービスが始まる。ラグビーの会場は全国で12箇所あるが、5Gエリアになるのがそのうち8会場を予定している。この8会場において、プレサービス用に準備した端末を用いて、5Gの高速大容量(のサービスを利用できる)。あるいはそのちょっと面白い形の端末も予定しているので、マルチの画面でいろんな映像が楽しめる――そういったものを展開しようと思っています。
また、中継で大画面でラグビーの会場そのものが伝わるように、パブリックビューイングという形で会場以外にもいくつかの場所でサービスを予定している。具体的な場所については、決まり次第Webサイトなどでご案内差し上げたい。もうしばらくお待ちいただきたい。
―― MR(Mixed Reality)の話があったが、eスポーツについてはドコモとしてどう考えている?
森氏 eスポーツについては、5Gの盛り上がりとともに、日本でも盛り上がってくるだろうと見ている。中国や欧米諸国では、多くのゲーマーの方に楽しまれている。ギャラリーとしてネットを通じて参加する人も非常に多い。グローバルレベルで流行しているコンテンツだと思う。私共としてもしっかり事業の中で、お客さまに楽しんでもらえるように、取り込んでいきたいと思っている。
具体的に言うと、今年(2019年)の頭にeスポーツ大会では、5Gを使って高速程遅延を生かした実証実験をやらせていただいた。これからもいろんな会場で、同時にたくさんの方が楽しめるような環境ができると思う。われわれもしっかり取り組んでいきたい。
Huaweiとの取引はどうなる?
―― Huaweiとの取引規模と内容はどのくらいなのか。また、今後の見通しや対応についてどのように考えているのか?
阿佐美弘恭副社長 大変申し訳ないが、販売実績などについては公表していないのでお許しいただきたい。Huaweiを取り巻く環境についてご説明すると、端末を調達するベンダーとして非常に株主さま、ひいてはお客さまにもご心配をかけていると思う。やはり、米国からかかっている規制によって、同社のデバイスの取り扱いについては慎重に取り組んでいる。
新製品については予約の停止をしている。これまで購入していただいたものについては、現在提供しているソフトウェアに関しては不備がないので、提供を続けている。ただし、米国の状況も刻々と変わってきているので、私共もその辺の様子をしっかり見ながら、お客さまに迷惑が掛からないような対応をしていきたい。
d払いはちゃんともうかるのか?
―― d払いについて、どこまで将来性を見込まれているのか。ぶっちゃけどこまでもうかるビジネスなのか疑問。スタートは比較的早かったはずだが、利用者をあまり見かけない。現状はどうなっているのか?
森氏 d払いの将来性は、私はあると思っている。取り扱い店舗は拡大していて、現時点でもともとやっていたdカードやiDと合わせて現在100万箇所で決済に使用できる。3年後の2021年には2倍の200万箇所にしていこうと、もっと拡大を進める取り組みをしているところ。また、コード決済は、今いろいろな事業者が取り組んでいる状況で、私共としても認知度の向上にもしっかり取り組んでいきたい。
もうかるのかについては、手数料のビジネスなので、1トランザクション、1決済あたりで手にする利益額は非常に小さいが、利用者が拡大して多くのトランザクションが出てくると、確実に収益に結びついてくる。また、マーケティングソリューションという観点で、いろいろなお客さまの購買履歴が貴重なマーケティングデータになる。もちろんプライバシーは十分守らせていただいた上で、お店側の売り上げ向上を狙う施策展開のコンサルテーションなどは、新しいビジネスとして展開をしたい。トータルで7000万の会員の皆さまにもっとご利用しやすい形でお届けしたいと思っている。
また、秋にd払いのアプリが大きくリニューアルされる。これによって銀行口座からチャージをして、お客さま同士で送金ができるようになる。ポイントも送り合えるようになる。このように新しいウォレットとしてのサービスへとさらにバージョンアップするので、ますます使いやすくなるかと。
さらにミニアプリも備える。いろいろ飲食店の方と、クーポンのサービスなどを会員の皆さまにお届けしているが、従来なら他のアプリを立ち上げなくてはいけなかった。d払いアプリのなかにミニアプリという形で表示できるようになったことで、1つのアプリケーションのなかでますますお得に使えるようになる。こういうような新しいサービス展開も考えている。
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