「ニーズが無い」から6年 中古端末のSIMロック解除で思うこと:5分で知るモバイルデータ通信活用術(3/3 ページ)
中古端末に対するSIMロック解除制限が、事実上撤廃されました。一見すると良いことばかりに見えますが、まだ課題が見え隠れしています。
「SIMロック解除×海外SIM=ハッピー」とは限らない
SIMロック解除がしやすくなると、他キャリアのSIMカードを使いやすくなるわけですが、あくまでも他キャリアのSIMカードが“使える”ようになるだけで、通信にまつわる問題がこれで全て解決する訳ではありません。
筆者は、主にドコモのFOMAケータイ、モバイルルーターを含めてたくさんの端末のSIMロックを解除して、海外渡航時に海外キャリアのSIMカードを入れて使ってきました。「海外のSIMカードを入れて通信料金を抑える」という使い方は、SIMロックフリーの恩恵の1つであると考えられています。
しかし、SIMロックを解除した端末で他キャリアのSIMカードで使うと、“想定外”の挙動をすることが多数ありました。
例えば、ドコモのFOMAケータイには「アクセスポイントモード(テザリング)」をサポートする機種がありましたが、この機能は国際ローミング中に利用できません。「それは端末がローミング中だと検知しているからでは?」と思うかもしれませんが、SIMロックを解除して現地のSIMカードを挿しても「国際ローミング中のため利用不可」というメッセージが表示され、利用できませんでした。
また、iPhoneを除くドコモのスマートフォンは、他キャリアと比べて早い時期からSIMロック解除が可能でしたが、テザリングを有効にするとAPN(パケット通信の接続先)を強制的に専用のものに切り替える仕様となっていました。
そのため、ドコモ契約者でも「spモード」を契約していないとテザリングが不可能だったことはもちろん、ドコモ回線を利用するMVNOサービスのSIMカードや海外キャリアを含む他キャリアのSIMカードでもテザリングが利用できませんでした。
2016年5月以降に発売された機種ではこの制限は撤廃されていますが、SIMロックを解除してもキャリア固有の仕様が動作を妨げる可能性があることは念頭に置いておく必要があります。
「データ通信用端末ならこんな苦労はないのでは?」と思われがちですが、そんなことはありません。
かつて、ドコモのモバイルルーターをSIMロック解除して海外で使った際に、どうしても接続できないというトラブルが発生しました。このルーターは渡航先の通信周波数帯(Band)に対応しており、スペック上は通信できないはずがないのです。
「SIMカードのプランがおかしいのかな?」「実はLTEエリアじゃないのかな?」とか、いろいろと可能性を考えたのですが、端末自体が国際ローミングに非対応であることが原因だと突き止めました。
幸い、このルーターには国際ローミングに対応するソフトウェア更新が配信されており、現地からの帰国フライトの直前にそれを適用することで通信できた……なんてこともありました。
今、SIMロック解除にまつわる問題はほぼ解決されつつありますが、SIMロックを解除した端末が別キャリアが使っているBandに対応しているとは限らないという問題はしばらく残るかもしれません。もっとも、この問題はSIMロックフリー端末でも起こりうるのですが……。
「中古端末のSIMロック解除が可能である」ことと、「全ての機能が他社回線で利用できる」ことは、必ずしもイコールではないことに注意しましょう。特に、古い機種は。
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