愚直に“便利とお得”を追求 ファミリーマートが「FamiPay」を始めた理由:モバイル決済の裏側を聞く(3/3 ページ)
「ファミペイ」アプリが、開始1カ月で300万ダウンロードを突破するなど好調だ。ファミリーマートは既に他社の決済サービスを提供しているが、なぜ自社で新たな決済サービスを提供することにしたのか。競合他社のキャンペーン施策にはどのように対抗していくのか。
ユーザビリティを取るかセキュリティを取るか
最後に、ファミペイが同業者であることから避けて通れない質問として、既にサービス終了を宣言した「7pay」について聞いてみた。やはりセキュリティ関連の議論はアプリ開発中からずっと続いていたようで、ユーザビリティを取るかセキュリティを取るかが焦点となった。植野氏らマーケティングサイドの人間はUI重視で間口を広げる方向で、金融部門はセキュリティを重視する方向で意見を交わし、最終的に現在の形に落ち着いたという。SMSによるデバイス認証のみで、現金+ハウスクレカの組み合わせは、7payが抱えていた問題をそのままスルーできたわけで、結果として判断は正しかったということになる。
だが植野氏は「安全宣言なんてものは永久に来ませんし、セキュリティレベルを上げるように努力していきます。監視はしますし、実際に問題が起きた場合にどのようにジャッジするか、必要であれば緊急対策委員を立ち上げる内部ルールを作っています」と述べる。
「機能面もなるべくシンプルに見えるように工夫していて、普段使わない機能はなるべく表に出ないようにしています。また『eコマースボタンを設ける』のような意見もありましたが、ファミリーマートの決済アプリで不要だと思うものはリンクで済ませるなど、いろいろ工夫しています。スターバックスのアプリが『コーヒーをおいしく提供するためのもの』であるように、あくまでファミリーマート店舗での買い物を“便利”で“お得”にすることが重要なのです」(植野氏)
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