改正法の規制対象になる「mineo」 分離プラン時代に仕掛ける次の一手とは?:MVNOに聞く(3/3 ページ)
10月1日に施行された改正電気通信事業法では、mineoも規制対象になる。同社は最低利用期間を撤廃した他、長期利用特典も停止し、年度末までに新たな制度を検討するという。10月以降、どのような戦略でサービスを強化していくのか。
端末ラインアップも拡充させる
―― 先ほど、端末を充実させるというお話がありましたが、もう少し具体的にお話ください。
福留氏 端末のラインアップ(拡充)は、料金分離が追い風になると見ています。そういう意味で、ラインアップは増やしていきたい。現状はシャープとHuawei、ASUSにiPhoneと大きく4種類ですが、ここにないメーカーも含め、品ぞろえは充実させていきます。エントリーモデルからミドルレンジまで、一通りそろえていきたいと考えています。
―― 今までは扱っていなかったメーカーも増えるということですね。
藤井氏 メーカーを絞っているわけではなく、広く採用していきたいと考えています。その際に重視しているのは保守体制で、ご対応いただけるメーカーであれば採用していいという方針を持っています。また、大量には購入できないので、その辺も1つの条件ですね。
―― Xperia Aceも導入しましたが、これはユーザーからの要望が多かったのでしょうか。
藤井氏 アイデアファームレベルではちょくちょく出ていました。
福留氏 やはり国内メーカーを強くお求めになる方は、一定程度います。
―― 契約数などの動向はいかがですか。
福留氏 着実に契約数を伸ばしています。8月時点で116万契約で、鈍化はしているものの、着実に伸びています。2018年度末と、ちょっとデータは古いですが、市場シェアは8.7%で5位につけています。
契約者属性で言うと、以前は30代、40代のリテラシーが高い男性がかなりの割合を占めていましたが、一巡して女性も増えてきました。最近では、男性6割、女性4割の比率で、マジョリティー層も徐々に増えています。シニアも増えていて、男性だと60代が10%強、女性が6%程度です。
シニア世代に向けたWebの動画を配信したり、9月末までのキャンペーンとして60歳以上の方が申し込まれたら訪問サポート無料、もしくは3000円のギフト券をプレゼントしたりする試みもしてきました。主婦層向けには、小冊子を作っています。
共創アンバサダーでは42の提案、サポートアンバサダーは11人が参加
―― アンバサダー制度を導入しましたが、こちらについてはいかがでしょうか。
福留氏 ともにサービスを作っていく共創アンバサダーは、6月に開設して、既に42の提案について意見交換を実施しています。新サービスの仕様をたたいていただく意見交換の場を、東京で2回、大阪で2回実施しています。
サポートアンバサダーは、ビデオチャットを使ったサポートだけでなく、格安スマホ相談会でのリアルサポートも実施しました。ユーザー側の立場で、色がついていない意見を言っていただけるということで、非常に好評です。こういう使われ方をするのであれば、逆にmineoは適していないというような意見も言っていただいています。こちらの人数は、引き続き増やしていきたいですね。
この格安スマホ相談会だけでなく、オフ会やファンの集い、王国イベントなど、オフラインでの取り組みは進めています。つい先日もオフ会を実施しましたが、ここでもさまざまな改善提案をいただきました。
―― 共創アンバサーは、一般には出ていない社内の数字も開示すると聞きました。実際には、どのような提案があるのでしょうか。
福留氏 アプリの使い勝手の改善提案のようなものから、もっと根本的なものまで、幅広く検討いただいています。われわれの収支構造も含めて開示しているのが特徴ですが、これはそうしないと、どうしてもコスト度外視の提案になってしまうからです。こういったところにお金がかかってくるといったことを開示しながら、われわれと同じ立場でご提案いただくのが、共創アンバサダーの特徴です。
―― やられている方に失礼かもしれませんが、サポートアンバサーはサポートのプロではありません。トラブルが起ったりはしていないのでしょうか。
福留氏 今のところ起こっていません。テキストだけだと分からないところを、ビデオチャットで実際に会話できてありがたいという声をいただいています。
―― 人数はまだ足りていないのでしょうか。そこまでして報酬はないのでしょうか。
福留氏 今は11人で、数もちょっとずつ増やしていかなければと思っています。
藤井氏 報酬という意味では、サポートしていただいた方の評価によって、端末をプレゼントするという制度にはなっています。ただ、アンバサダーの方にお話をうかがうと、「端末目当てでこんな苦労はしないよ」とおしゃっています。文字通り、アイドルに対するファンと同じような感覚で、育てたい、助けたい、世話を焼きたいという思いでやってくださっていると考えています。
取材を終えて:mineoの独自性をどこまで高められるか
2018年に100万契約を突破したmineoだが、契約者数の伸びは鈍化している。9月にはサブブランド各社も値下げの発表をしているため、影響がどう出るかも未知数だ。電気通信事業法の改正によって、長期利用特典に制限が加わったのも打撃といえる。一方で、エココースやアンバサダー制度など、mineoにしかない取り組みには、さらに磨きがかかった印象を受ける。2月ごろの投入を予定する新サービスも含め、今後は料金の安さだけでない独自性をさらに高めていく必要がありそうだ。
関連記事
- mineoがMNP転出時の解約金を撤廃 長期利用特典は見直しへ
オプテージが2019年10月1日以降、MVNOサービス「mineo」の解約金を撤廃する他、長期利用特典を見直す。MNP転出に伴う解約金を、現在の9500円から0円とする。現在提供している長期利用特典は停止し、2020年3月をめどに、新たな施策を始める。 - 「Xperia Ace」の販路拡大 IIJmio、mineo、goo Simseller、nuroモバイルが取り扱い
MVNOサービスのIIJmio、mineo、goo Simseller、nuroモバイルが、「Xperia Ace」を取り扱う。カラーはブラックとホワイトの2色。いずれもSIMロックフリーで販売される。 - 契約解除料無料で月額300円から mineoが「お試し200MBコース」を9月2日から提供 エココースも正式サービスに
mineoが月額300円から利用でき、契約解除料もかからない「お試し200MBコース」を9月2日から提供する。同日からは特定時間帯の通信速度を抑制する代わりに月額料金を割り引く「エココース」も正式サービス化する。 - mineo、期間限定で制限時の速度を500kbpsか1Mbpsに
オプテージは、MVNOサービス「mineo」で通信速度制限を大幅に引き上げる「mineoスイッチ増速ウィーク」を実施。期間中は速度を200kbpsに制限することでデータ容量を消費しない「mineoスイッチ」を500kbps/1Mbpsに増速する。 - 「報酬はいらない」の声が多数 mineoが“アンバサダー制度”を始める狙い
サブブランドが勢力を伸ばす影響で、個人向けMVNOの多くが苦戦を強いられている。ケイ・オプティコムの「mineo」もその1つだ。こうした状況を打破しようと、同社はユーザーがサービス創出やサポートに参加する「アンバサダー制度」を開始する。その狙いを聞いた。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.