改正法の影響は? ビッグローブ有泉健社長に聞く「BIGLOBEモバイル」の今後:MVNOに聞く(3/3 ページ)
ビッグローブがMVNOサービスを「BIGLOBEモバイル」に一新し、“SIM替え”を打ち出してから2年がたった。一方で同社は100万契約未満のMVNOながら、10月1日に施行した改正・電気通信事業法の影響を受け、端末割引や長期契約の違約金などの制限が適用される。この状況に対し、同社はどのような手を打っていくのか。
ドコモと「回線貸し出しをやめる交渉」はしていない
―― 2年前の会見では100万回線という目標を掲げていました。こちらについてはいかがでしょうか。
有泉氏 就任後最初の記者会見で、2020年に100万回線で黒字化を目指すとたんかを切ってしまいましたが、回線使用料もあり、そのレベルでもなかなか黒字化するのが難しいのが実情です。今はモバイル事業がはじき出せる月額料金のストックを、何とか黒字化することをベンチマークにしています。それがどのぐらいの回線数かというと、帯域の使用料の話もあり、なかなかたんかを切りづらいのですが(笑)。
―― 回線に関しては、現状、ドコモとauの両社から借りています。一方で、ドコモは、MNOのグループ会社のMVNOに対して回線を貸し出すことについて、難色を示し始めています。以前、吉澤社長にお話をうかがった際には、やめてもらうような交渉も始めていると伺いましたが、実際にはいかがですか。
有泉氏 楽天の話として、MNOとMVNO同時進行はどうかとおっしゃっていましたが、楽天だけでなく、他のMNOとMNO傘下のMVNOについても、同じように見られていると受け取っています。ただし、現実的には、特にドコモと直接のネゴシエーションをしているということは起っていません。
―― その部分は、どうしていくおつもりですか。
有泉氏 私の認識ですが、NTTグループとは古くからの付き合いがあり、NTT東西との光コラボや、ドコモのMVNOをやってきました。確かにBIGLOBEはKDDIグループではありますが、ニュートラルな立場のスタンスを変えるつもりはありません。われわれはオープンになったものを使っていくプロバイダーで、それがひいてはお客さまのメリットになります。今の立場をまったく変えることなく、各社がオープン化するところがあれば、それをわれわれの商材に取り入れていきたいと思います。
―― au回線についてはいかがですか。速度的にはやはりそちらの方が出しやすいと思いますが。
有泉氏 最初はお客さまも様子見されていましたが、いったん使っていただければ快適度も高く、レピュテーションも上っています。タイプD、タイプAともに、デーリーの動きとして、ほぼ同数ぐらいの獲得になるまで、認知が広がって評価もされるようになってきました。とはいえ、収容しているお客さまの数が圧倒的に違うこともあり、そういった面で、速度感の違いはあると思っています。
取材を終えて:守りを固めて堅調に成長
10月1日の電気通信事業法改正を機に、BIGLOBEモバイルはその戦略を徐々に変えようとしていることがうかがえた。エンタメフリーの推進と、光回線のセット販売で守りを固めつつ、端末とのセット販売を強化する攻めにも転じるというのが同社の基本方針だ。若年層が増えるなど、エンタメフリーは守り以上の効果も着実に出ているようだ。
一方で、MNO傘下のMVNOが他のMNOの回線を使うことについては、ドコモが問題視しているのも事実。ビッグローブとしては継続する意思が強いようだが、楽天の新規参入を機に議論が本格化する可能性もあり、予断を許さない状況といえそうだ。
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