改正法の影響は? ビッグローブ有泉健社長に聞く「BIGLOBEモバイル」の今後:MVNOに聞く(2/3 ページ)
ビッグローブがMVNOサービスを「BIGLOBEモバイル」に一新し、“SIM替え”を打ち出してから2年がたった。一方で同社は100万契約未満のMVNOながら、10月1日に施行した改正・電気通信事業法の影響を受け、端末割引や長期契約の違約金などの制限が適用される。この状況に対し、同社はどのような手を打っていくのか。
端末ならBIGLOBEという色がなかった
―― 先ほど端末を強化するというお話もありました。こちらについては、具体案は何かありますか。
有泉氏 通信料金と端末価格の分離の話があり、お客さまの利用も長期化していきます。その中で、SIMフリーや中古端末という選択肢が出てきて、もう1回お客さまが見直しをかけるフェーズに入ってくると見ています。私もSIMフリー端末をBIGLOBEモバイルの回線で使っていますが、最近は端末のプロセッサの性能が上がっていて、MVNOの回線でも動画の品質が悪くない。端末のパフォーマンス向上に、事業を助けてもらっている側面もあります。これまでは、SIMカードのみをハイライトしていましたが、これからは端末セットに力を入れていきます。
―― とはいえ、セット販売自体はこれまでもありました。
有泉氏 はい。していました。ただ、Webが中心で端末ならBIGLOBEという色はありませんでした。既に始めてはいますが、これからはネットはもちろんのこと、量販店や併売店、あるいは中古端末の販売店とも一緒に、セット販売を強化していきます。
―― そういった店舗では端末を単体で扱っていますが、いわゆるBIGLOBE端末ということではないということですね。
有泉氏 量販店で売れるSIMフリー端末があったとき、そこでBIGLOBEモバイルをレコメンドしていただいたり、中古端末にBIGLOBEモバイルのSIMカードをセットして売っていただいたりといったことを、トライアルとして実施しています。
―― BIGLOBE自身でラインアップを拡大するということもあるのでしょうか。
有泉氏 まだ最終的に(P30、P30 liteを)出せていませんが、Huaweiさんがああいう状況になってしまったこともあり、それに代わるSIMフリー端末として、市場の受けがいいものを加えていきます。また、日本製、特にシャープ端末は非常に引きが強く、この路線も続けていきます。他にも、まだ出せていない海外製品はラインアップに加えていきたいですね。
―― iPhoneも取り扱っていますが、いかがですか。
有泉氏 出てはいますが、扱っているラインアップの中では、他とほぼ同等ぐらいという印象で、飛びぬけているわけではありません。格安SIMとセットでとなると、比較対象のスコープを広げるのではないでしょうか。それだけiPhone以外の端末も、パフォーマンスが上がっているということで、自分の実感としてもそれはあります。
独自ショップの計画はなく、量販店などをパートナーにする
―― 量販店などが中心とのことですが、ユーザー層が広がる中で、顧客接点として独自のショップを持つMVNOもあります。こういった取り組みはお考えでしょうか。
有泉氏 以前からそうですが、独自のショップは持っていません。販路の中心は自社のWebショップになります。ただ、ご指摘の通り、MVNOに詳しい方は一巡して、キャズムを超え、今はマジョリティー層に移っている段階です。そういう方々に、ネットだけで販売するのはやはり厳しい。フェーストゥフェースで説明して、買っていただく場は増やさなければいけないと考えています。ただ、独自ショップの計画はなく、量販店などをパートナーにしていく計画です。リアルなショップを求められているところはあるかもしれませんが、事業オペレーション上、どうしてもWeb中心になってしまうところはあります。
―― auショップを活用するということはありえますか。
有泉氏 モバイルに関しては、まだそういうところまで行っていません。希望としてはリアルな接点でという思いはありますが……。ただし、固定回線についてはauショップで扱っています。法制度が変わり、KDDIグループでファンを増やしていく取り組みも出てくると思います。
―― au IDもオープンになりましたが、これを活用していく計画はありますか。
有泉氏 私どももBIGLOBE IDでオペレーションをしていますが、これからは、au IDを持っていただくようにすることも事業計画として考えています。au経済圏などのお客さまに使ってほしいものについては、環境を作っていく取り組みを進めていきます。
―― 増税もあり、au Payやau WALLETなど、キャッシュレス関連のサービスはユーザーにはオススメしやすいかもしれません。
有泉氏 私たちには「Gポイント」がありますが、このポイントをau WALLETのポイントに変換することができます。そういう形で、au WALLETやau Payの原資として使えます。キャッシュレスの原資になるということは、もっとハイライトしていきたいですね。
―― 2年前の発表会では、動画視聴時などの帯域制御を最適化し、体感をよくしていくという取り組みを発表されていました。こちらについては、何か変更点はありましたか。
有泉氏 その技術は、MVNOは帯域があまり取れないところで、どのぐらい快適にできるかという例として紹介しました。バッファリングで帯域を取り、動画の再生中は他の方に帯域をアサインするというもので、体感上は途切れないよう、動画を再生できる技になります。この技術も、もちろん進化させなければいけないと考えていて、今、技術陣がリファインをかけようとしているところです。
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