ソフトバンク秋冬モデルの戦略を解説 ハイエンドが多く、ミッドレンジが少ない理由は?:石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)
ソフトバンクは秋冬モデルで、他社も導入している「Xperia 5」「AQUOS zero2」「AQUOS sense3 plus」に加え、2画面端末になる「LG G8X ThinQ」をそろえた。これらに加え、同社が強烈にプッシュしているのが「Pixel 4」「Pixel 4 XL」だ。秋冬商戦に対する同社の戦略を聞いた。
「初のXperia」と購入補助を最大限生かす「Libero S10」を導入するY!mobile
これに対し、Y!mobileは「下期からは分離プランを前提にしたラインアップを組んでいく必要がある」(常務執行役員 プロダクト&マーケティング統括 Y!mobile事業推進本部本部長兼サービス企画本部長 寺尾洋幸氏)と、電気通信事業法の改正に合わせ、戦略的に端末を取りそろえた。もともとY!mobileでは、Android Oneを主軸に型落ちのiPhoneやHuaweiなどの廉価モデルを販売していたが、秋冬モデルでは同ブランド初のXperiaとなる「Xperia 8」をラインアップに加えた。
Xperia 8はミドルレンジのスマートフォンで、海外で販売される「Xperia 10」をベースにしながら、おサイフケータイや防水などの“日本仕様”に対応したモデル。Y!mobileでの価格は、4万円台半ばに抑えられている。
Xperiaを導入したのは、「多くのお客さまが使っている」(寺尾氏)ためだ。最近では、Androidの国内シェアトップをシャープに奪われてしまったソニーモバイルだが、4年間の累積シェアは29%と、依然として存在感は大きい。ドコモが夏モデルとして発売し、その後、楽天モバイルやMVNO各社に採用された「Xperia Ace」も、販売は堅調だ。「今までは残念ながら取り扱いがなかったが、ソニーモバイルの販売した29%のマーケットを狙っていける」(同)というのが、Xperiaを導入した理由だ。ありていに言えば、大手キャリアからユーザーを獲得するための武器がXperia 8ということになる。
「端末価格が非常に重要になってくる」(同)状況に対しては、ZTEの「Libero S10」で応える。同モデルの予価は2万8800円(税込み)ながら、デュアルカメラや指紋センサーは搭載。おサイフケータイには非対応だが、防水には対応するコストパフォーマンスのいい端末だ。ミドルレンジモデルとしては一般的な価格帯だが、ここで効いてくるのが割引だ。改正・電気通信事業法の下でも、2万円までなら端末購入補助を出せる。これを適用すれば、8800円という1万円を下回る価格が実現する。「2万円という購入補助を最大限生かせる端末」(同)というわけだ。
Y!mobileでは、シャープ製の「Android One S7」や京セラ製の「Android One S6」も導入。全4機種で、改正・電気通信事業法施行以降の市場に対応していく方針だ。サブブランドのないドコモや、同じ会社で一体運営していないauと比べ、ソフトバンクはソフトバンクとY!mobileのすみ分けを明確に打ち出している印象で、分かりやすい。両ブランドを併売する店舗が1000を超え、「同じ端末を違う料金で売るのは、現場としてもやりづらい」(郷司氏)という事情もあるようだ。
一方で、ブランドごとに端末が分かれているのは、「分離プラン」の趣旨にそぐわないといった見方もある。また現状でも、ソフトバンクの端末を一括かクレジットカード払いで買い、即時SIMロックを解除すれば、SIMカードだけをY!mobileにすることが可能だ。この仕組みの広がり方次第では、端末で2つのブランドをすみ分けるのが難しくなる可能性もある。総務省で進むSIMロック解除の議論も、ソフトバンクにとっては悩みの種といえるかもしれない。
関連記事
- ソフトバンクが秋冬モデル発表 「Xperia 5」「AQUOS zero2」、LGの2画面化できるスマホなど
ソフトバンクが10月17日、2019年〜2020年秋冬商戦向けの新製品を発表。2019年10月25日から順次発売する。ラインアップはスマートフォン「Xperia 5」「LG G8X ThinQ」「AQUOS sense3 plus」「AQUOS zero2」の4機種に、「キッズフォン2」を加えた計5機種。 - ソフトバンクから「LG G8X ThinQ」登場 2画面ケースも付属
LGエレクトロニクスの“外付け”2画面スマホが、ソフトバンクから発売されることになった。日本向けのカスタマイズとして、テレビチューナーとおサイフケータイを搭載している。 - 「Pixel 4/4 XL」が10月24日に発売 税込みで約9万円から ソフトバンクも取り扱い
Googleが10月16日、新型スマートフォン「Pixel 4」「Pixel 4 XL」の日本発売を発表した。16日からGoogleストアで予約を受け付け、24日から購入できる。Googleの他、ソフトバンクも取り扱う。 - Y!mobileの秋冬モデルは“価格”重視 「2万円以内の端末割引」も適用
ソフトバンクが10月7日、Y!mobileブランドでの2019年秋冬モデルを発表した。新機種はミッドレンジを中心にそろえ、端末割引を含めると、1万円未満で購入できるモデルもある。Y!mobileでは初となる「Xperia 8」も投入する。 - ソフトバンクの「半額サポート+」は「トクするサポート」に 回線ひも付けなしの「SIMロック解除」も10月1日から即日対応へ(条件あり)
消費者庁の指摘を受けて、ソフトバンクが48回払いと端末下取りを組み合わせた購入支援プログラムの名称を変更する。また、総務省の会合での指摘を受けて、同プログラムを使って端末を購入したユーザーの「SIMロック解除」に条件付きで即日対応する。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.