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ノキアがIIJや丸紅など5社と提携 ローカル5GやプライベートLTE拡大を目指す新たなフルMVNOも(2/2 ページ)

ノキアソリューションズ&ネットワークスが、日本企業5社との提携を発表。日本の企業や自治体に向けてローカル5GやプライベートLTEの提供を支援する。パートナーの1社、丸紅は2020年に「フルMVNO」サービスを提供することも明らかになった。

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ノキアと提携する各社の取り組みとは

 12月11日に行われた発表会では、提携する各社の代表がノキアとの取り組みについて説明した。日鉄ソリューションズの取締役 常務執行役員である大城卓氏は、これまで鉄鋼業だけでなくさまざまな業界に向け多システムソリューションを提供しており、その中でプライベートネットワークの構築や運用なども手掛けてきたというが、IoTやビッグデータ、AIを活用したデジタルトランスフォーメーションを進める上で、有線のネットワークでは限界があったという。

ノキア
日鉄ソリューションズの大城卓氏

 そこで、ローカル5GやプライベートLTEの活用を進めるべくノキアとの提携に至った。同社は、2017年からノキアと自営無線網クラウドサービス「Nokia Digital Automation Cloud」(Nokia DAC)の検証を進めており、今後Nokia DACを活用したソリューションを国内で強化していく考えを示している。

ノキア
日鉄ソリューションズとノキアの提携概要。2017年よりNokia DACの検証を進めており、今後国内展開を進めていくという

 丸紅の情報・不動産本部 本部長である阿部達也氏は、同社がノキアのIoTプラットフォームである「WING」(Worldwide IoT Network Grid)を活用したグローバルIoTサービスを、2019年2月から提供していると説明。その事例の1つとして、タイの港湾事業向けソリューションを紹介した。

ノキア
丸紅の阿部達也氏

 港湾事業では、クレーンや、コンテナを運ぶトラックの連携が重要になることから、プライベートなモバイルネットワークを構築し、機器にセンサーなどを取り付けて通信することにより、リアルタイムで運用状況をチェックできるようにしたとのこと。今後はデータとAIを活用してオペレーションを最適化し、いっそうの効率化を進めてコスト削減につなげたいとしている。

ノキア
グローバルIoTサービスを用いた港湾ソリューション。プライベートなモバイルネットワークを構築することで、クレーンやトラックなどの状況をリアルタイムで確認できるようになる

 インターネットイニシアティブのMVNO事業部 副事業部長である安藤宏二氏は、同社が自身でSIMを発行できる日本初のフルMVNOとしてサービスを開始したが、そのために必要な加入者管理機能(HLR/HSS)の機器で、ノキアは重要なパートナーだと説明。そうした独自の立ち位置を生かし、同社ではプライベートLTEとパブリックLTEをシームレスに接続する取り組みや、ネットワークスライシングを活用してより多様なサービスを提供できる「フルVMNO(※)」の実現に向けた取り組みを進めているという。

※フルMVNOではなく、フルVMNO。コアネットワークを仮想基盤ごと持ち、スライシングによってMNOの無線網と接続する仮想通信事業者のこと

ノキア
インターネットイニシアティブの安藤宏二氏

 日立国際電気の副社長執行役員である伊藤明男氏は、同社が得意とする無線技術と映像技術をさまざまな業務に活用するに当たり、4K・8Kといった高精細化や、リアルタイム性が求められるようになってきていることから、顧客からも5Gに対する関心が高まっているとのこと。そこで5Gの技術に強みを持つノキアとパートナーシップを組み、日立グループが持つグローバルな顧客にローカル5Gを活用したサービスを展開していきたいとしている。

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日立国際電気の伊藤明男氏

 一方、エクイニクス・ジャパンのテクノロジーサービス事業本部長である有本一氏は、他社とは異なり同社がノキアの基盤を支える役割を果たすことになると説明。データセンターの大手として知られるエクイニクスだが、ノキアとは共同でグローバルIoTサービスのプラットフォームを構築しており、プライベートLTEやローカル5Gとこのプラットフォームを接続することで、世界中のIoTに関するデータ処理をして、パブリッククラウドと接続するための拠点として提供するとしている。

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エクイニクス・ジャパンの有本一氏
ノキア
両社が共同で構築しているグローバルIoTプラットフォーム。ノキアのネットワークとエクイニクスのデータセンターを連携させ、IoTのデータ収集や解析などを容易に実現できる仕組みだ

丸紅はフルMVNOへの参入も公表

 今回の発表会では、丸紅の阿部氏が、同社が2020年からフルMVNOとしてサービスを提供することも明かした。具体的な時期やネットワークの提供元となる携帯電話事業者などは未定だが、2020年の早い時期に展開したいとしており、実現すれば国内ではインターネットイニシアティブに続く、2番目のフルMVNOとなる。

 丸紅は子会社の丸紅ネットワークソリューションズを通じてMVNE事業を手掛けているが、阿部氏によると同社は直接的な個人向けサービスを持たないこともあって、フルMVNOとして提供するのは法人向けサービスが主体になるとのこと。独自にSIMを発行できることを生かし、eSIMやSIM上で動作するアプリケーションを活用したサービスを検討しているという。なおフルMVNOを展開する上で必要な加入者管理機能に関しても、ノキア製の機器を採用する方針のようだ。

 フルMVNOに関しては、既にNTTコミュニケーションズも2020年の提供を目指して進めていることを表明している。そうしたことから2020年には、これまでなかなか数が増えなかったフルMVNOへの参入が相次ぎ、法人向けを主体として競争が加速する可能性がありそうだ。

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