“打倒クレジットカード”を目指すPayPay 2020年中に金融サービス提供へ
「PayPayはキャッシュレスにおける代名詞になりたい」とPayPayの中山一郎社長が意気込みを語る。2020年1月17日時点で、PayPayのユーザー数は2300万人超、加盟店申込数は185万箇所となり、決済回数は単月で1億回を超えた。2020年中に新たな金融サービスを提供する。
「PayPayはキャッシュレスにおける代名詞になりたい」――。PayPayの中山一郎社長は、1月17日に開催した40%還元キャンペーンの発表会でそう語り、現状と今後のサービス拡充について説明した。
2020年1月17日時点で、PayPayのユーザー数は2300万人超、加盟店申込数は185万箇所となり、決済回数は単月で1億回を超えた。第1弾の100億円還元キャンペーンを実施した2018年12月と比較して、2019年12月の決済回数は22倍に増加した。2019年はApp Store BEST OF 2019のトップ無料アプリランキングで1位、Google Play ベストオブ2019のユーザー投票部門 アプリカテゴリーで最優秀賞を受賞。海外でも「最も成長したアプリ」としてファイナンス部門で2位を獲得し、「ペイメントサービスの代表格という評価もいただいた」と中山氏は胸を張る。
同社の調査によると、「キャッシュレスと聞いて想起される支払い方法」として、2019年10月までは1位がクレジットカード、2位がPayPayだったが、同年11月にPayPayがクレジットカードを抜いて1位に躍り出た。第三者機関が調査したキャッシュレス利用率ランキングでも、クレジットカードに次いでPayPayが2位だった。ただし利用率はクレジットカードの84.8%に対してPayPayは37.2%とまだ差がある。中山氏はその差を認めつつも「PayPayはキャッシュレスにおける代名詞になりたい。なれるのではないかと思う」と、“打倒クレジットカード”を掲げた。
加盟店も順調に拡大している。「これは初めて出すデータ」と紹介したのが、PayPayが利用できる個人商店の累計申込数で、2020年1月17日時点で80万箇所を超えた。第三者機関による加盟店の調査では、都市部から地方までの全国100地点で、利用できる店舗数はPayPayが1位だった。
ECサイトについては、現在は「PayPayフリマ」「PayPayモール」「LOHACO」「ebookjapan」という自社やグループ会社でのサービスで対応しているが、今後は他社のECサイトにも拡充していく予定だ。
この他、PayPay残高送信や、請求書払いの対応事業者数が増えていることにも中山氏は言及した。1月17日からは通信販売でもPayPayが使えるようになり、1月末までに約80社が導入する予定だ。中山氏は「あらゆる支払いシーンでPayPayを使えるようにしたい」と話し、PayPayを「スーパーアプリ」に進化させることを目指す。
そして2020年は、個人向けローン、ビジネスローン、投資、後払い(リボ払い)、保険といった金融サービスの提供を計画していることを中山氏は明かした。これら金融サービスは「オープン化」のスタンスを掲げており、各金融機関と連携しながらマルチパートナーで進めていく。金融サービスはPayPayアプリの中で提供し、「1つでもユーザーの動作を減らせるように実装したい」と中山氏。既に開発に着手しているものと、構想段階のものがあり、2020年中に提供開始する予定だ。
40%還元だけど最大1500円まで インパクトは弱い?
2月1日からは、大手飲食チェーンで40%還元キャンペーンを開催する。ただし還元される額は最大1500円。以前の100億円還元キャンペーンは、還元率は20%だったが、5万円までが還元されたので(関連記事)、インパクトが弱まった感は否めない。
今回のキャンペーンの予算規模は、「どれだけ利用いただけるかによって変わってくるので、非公表」(中山氏)だが、仮に2300万のユーザー全員が1500円の還元を受けると、その額は345億円に達する。使える店鋪が限られているので、さすがにこの規模の還元はないだろうが、日々の生活に欠かせない飲食店をキャンペーンの対象にしたことで、新規ユーザーを含めた、より多くの人に使ってもらいたいという狙いがみてとれる。
3月はスーパーマーケットを対象にしたキャンペーンも予定しており、まだキャンペーンによるユーザー獲得合戦は続きそうだ。一方で、収益化の話に及ぶと「非開示としたい」と中山氏の口は重くなる。決済データの活用も「現時点では考えていない。そういうことができるほど十分だとは思っておらず、まだやらないといけないことがたくさんある」とのことで、ビジネスモデルについては、まだ水面下で検討を重ねている状況のようだ。
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