5Gに向けて“協創”――ドコモがパートナー企業との取り組みを紹介:DOCOMO Open House 2020(1/2 ページ)
1月23日と24日に開催された「DOCOMO Open House 2020」では、5G商用サービス開始を視野に入れた展示や講演が複数行われた。この記事では、同社の5G・IoTソリューション推進室長を務める船越健志氏の講演の概要をまとめる。
1月23日と24日にNTTドコモが開催した「DOCOMO Open House 2020」では、間もなく始まる5G(第5世代移動通信システム)の商用サービスを意識した展示や講演が多数行われた。
- →「変なホテル」の仕掛け人、ハウステンボス富田直美CTOが5Gに期待すること
- →労働力不足対策やテレワークなど ドコモが提案する、5G時代の新しい働き方
- →5Gでどんなビジネスが生まれる? 「DOCOMO Open House 2020」で見られるソリューション
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このイベントにおいて、同社で5G・IoTソリューション推進室長を務める船越健志氏が、「5G時代のビジネス協創に向けて」と題する講演を開催。同社がパートナー企業と「協創(きょうそう)」を通して新しいビジネスを作る取り組みについて語った。
「売る」から「協創」へ方針転換
船越氏によると、2017年に「中期戦略2020 beyond宣言」を発表して以降、ドコモの法人営業のスタイルは大きく変わったという。
従来はフィーチャーフォン(ケータイ)から乗り換えるためのスマートフォンやタブレット、アプリケーションを提案することが中心だったが、「今は地方創生、社会問題の解決をテーマに、あらゆる分野で(5Gをはじめとしたドコモの技術を活用し、パートナーとともにビジネスを作る)協創の取り組みを進めている」という。
今回のイベントでは、こうした協創の事例が250以上展示された。そのうち「5G Business」ゾーンに展示されていたものだけでも40以上に登り、いかに5G(第5世代移動通信システム)が注目されているのか伺い知ることができる。
「5Gはインフラになる」といわれているが、自治体との協創事例も多い。東北(東日本大震災)の復興に関わる事例として、船越氏は海に浮かべて塩分濃度や海水温を定期的にチェックし、作業が必要なタイミングを把握する「ICTブイ」を紹介した。ノリの養殖に生かされており、高品質になると好評だという。
このICTブイは、その後、九州の有明、さらには沖縄でもずくの養殖に生かされているそうだ。なお、ドコモが連携協定を結んだ自治体は27に上る。
5Gを生かして課題解決したいという期待は高いが、すでにIoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)といった先端技術を生かした協創事例もあるという。船越氏は建設現場をIoT化するプラットフォーム「LANDLOG」と、ドコモのMaaS(※)の1つである「AI運行バス」、4K、8Kカメラの映像を分析する際などに活用する「エッジAI」の事例を紹介した。
(※)Mobility as a Service:ICT技術を活用し、さまざまな交通手段を1つのサービスと捉えてシームレスにつなぐ考え方
5G時代ではIoT機器から集めるデータの容量も大きくなり、大容量のデータを扱うためのソリューションが増えると予想される。常時、クラウドとデータを送受信するのは、コストやパフォーマンス的に得策ではない。そこで、エッジ側(機器の設置場所に近い場所)でAIの処理を行える「エッジAI」が注目されているわけだ。
実証実験では、ある施設の周辺に、4K(3840×2160ピクセル)で撮影できる高解像度監視カメラを複数台設置し、そこから得られた情報をリアルタイムに解析した。「周辺の道路を走行する自動車の交通量、車種、ナンバーを識別。さらに、駅からの歩行者の通行量などを属性別に把握」(船越氏)できたという。エッジ側で処理できない場合は、映像データを5Gで瞬時にクラウドへと送り、詳細な解析も可能だ。
こうした技術はセキュリティサービスでの顔認証の他、農産物の生育管理などでも活用が期待できるという。
LANDLOGは、建設現場で発生するさまざまなデータを一元管理し、バリューチェーンの最適化に貢献する他、現場で働く作業者のバイタル(生体)データを取得・可視化し、安全安心な現場作りに役立つという。
AI運行バスは「バスとタクシーの良いとこ取りをした乗り合い交通」(船越氏)だ。2019年4月には商用運用もされており、全国16カ所に導入、輸送実績は24万人を超えている。
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