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改正法の影響で「IIJmio」が純減も、勝社長「一時的な現象」 5Gサービスは「提供したい」

インターネットイニシアティブ(IIJ)が2月7日、2019年度第3四半期の決算を発表した。法人向けモバイルサービスが好調な一方で,個人向け「IIJmio」は純減となった。勝栄二郎社長はその要因に「電気通信事業法の改正」を挙げる。

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 インターネットイニシアティブ(IIJ)が2月7日、2019年度第3四半期の決算を発表した。売り上げは514.7億円、営業利益は27.1億円で増収増益となった。勝栄二郎社長は「過去最高益を更新中だ」と胸を張る。

 MVNEを除いた法人向けモバイルサービスは25.1%の増収と好調。フルMVNOサービスの売り上げは11.2億円に達しており、年間計画の17億円に対して「順調に進んでいる」(勝氏)とした。

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第3四半期の決算総括

 2019年12月末時点でのモバイル総回線数は289.2万。法人向けの「IIJモバイル」がやはり好調で、第2四半期の174.2万回線から181.5万回線へと増加した。一方、個人向け「IIJmio」は100万台前半から契約数が伸び悩んでいる。そんな中でもこれまでは微増を続けてきたが、第3四半期は、第2四半期の107.6万から107.3万へと“純減”してしまった。

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モバイルサービスは法人向けは好調も、個人向けは苦戦を強いられている

 渡井昭久CFOは「個人向けは、競争環境もある中で、キャンペーン等を繰り広げながら展開してきているが、2〜3年前から伸びが鈍化しているのは否めない」と話す。

 勝氏は純減の要因に、電気通信事業法の改正を挙げる。改正法はキャリアに加えて、100万以上の契約数を持つMVNOも対象で、IIJもここに含まれる。改正法ではセット端末の割引が2万円までに制限されるため、この影響をIIJも受けたようだ。

 「去年(2019年)10月から法律が改正され、キャリアはもちろんだが、IIJにも販売に規制がかかった。慣れていないところがあって、キャンペーンをあまりやらなかった。われわれだけでなく、他社も含めてあまり盛んではなかったと思う。(その結果)流動性が軽減したので、こちらに変わる(IIJmioに転入する)ことも少なかった」(勝氏)

 ただし「4Qに入ってから、キャンペーンに力を入れたい。純減は一時的な現象だと思う」とし、巻き返しを図る姿勢を示した。

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勝栄二郎社長

 5Gに対しては、ケーブルテレビ(CATV)事業者向が展開する5Gサービスのインフラを提供すべく、住友商事やCATV事業者とともに、新会社「グレープ・ワン」を立ち上げた。勝氏は、提供するインフラについて「フルMVNOを使ったHLR/HSS(加入者管理装置)の技術を合わせて、提供するのが1つ」と話す。また「ローカル5Gと5Gをつないで併用するソリューションも、MVNOとして提供できるのではないか」とした。

 2020年春にはキャリア各社が5Gの商用サービスを開始するが、IIJとしても「5Gサービスは提供したい」と勝氏。ただし「現時点ではNTTドコモやKDDIからの情報が全くなく、条件の提示もないので、それらを見た上で判断する」とのこと。

 個人向けにβ版として提供している「eSIM」サービスについては、「引き合いがあり、まだまだ工夫できるのではないかと思う」とコメント。なお、「β」が取れた正式なeSIMサービスは、2020年春から提供する予定。現在は高速データ容量が6GBのプランのみだが、どんなプランが登場するのか期待される。

 MVNOがMNOに支払う「接続料」の算定方式が、現在の「実績原価方式(原価や利潤の実績に基づいて接続料算定する方式)」から2020年度に「将来原価方式(原価の予測値に基づいて算定する法式)」に変更される予定。この件について勝氏は「3月に具体的な方式や価格が提示されるので、具体的なことは申し上げられない」としながら、現在適用されている実績原価方式に対する不満も口にする。「3月に1年前の接続料を一方的に言われて交渉する余地もなく、具体的な積算根拠も不透明なところがある。極めて不合理な制度だと思う」

 将来原価方式については「基本的には歓迎すべきだと思うが、透明性が伴ったものでないといけない。なぜこういう値段になったのか、原価を示していただく必要がある」とくぎを刺した。

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