ソニーモバイルとシャープの5G戦略を読み解く スマホは共通点が多いが、法人向けに違い:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)
ソニーモバイルやシャープが、相次いで5G対応スマートフォンやルーターを発表した。どちらもスマートフォンは、従来以上に写真や動画といったビジュアルコミュニケーションを強化したのが特徴だ。一方で、ミリ波対応の法人端末は方向性が分かれた。
3月に5Gの商用サービスが開始されるのに先立ち、日本市場を主戦場にするソニーモバイルやシャープが、相次いで5G対応スマートフォンやルーターを発表した。どちらもスマートフォンは、従来以上に写真や動画といったビジュアルコミュニケーションを強化したのが特徴だ。一方で、ミリ波対応の端末は方向性が分かれた。ここからは、2社の戦略の違いも見て取れる。
5Gに合わせ、カメラ、音楽、ディスプレイを強化した「Xperia 1 II」
スマートフォンは、2社とも基本性能を上げつつ、より高速通信を生かせる機能を盛り込んできた点が共通している。ソニーモバイルは写真、シャープは8K動画といった違いはあるが、大枠では2社とも“カメラ”を強化した格好だ。
ソニーモバイルの「Xperia 1 II」は、ソニーの持つハイクオリティーなコンテンツを5Gに乗せて届けるところに主眼が置かれた端末だ。カメラは前モデルと同様、トリプルカメラを採用しつつも、連写性能やセンサー、レンズの強化を図った。メインのカメラには、コンパクトデジカメに採用される1/1.7型センサーを採用。ZEISSとの協業により、レンズには反射を抑える「T*」のコーティングを採用している。秒間20枚の連写も実現した。撮った写真をGoogleフォトなどに自動アップロードすることを考えると、連写の強化は5G向きといえるかもしれない。
同様に、音楽再生機能ではデータ通信量がかさむ、ハイレゾのストリーミング再生や360度の「360 Reality Audio」に対応した。こうしたコンテンツを高音質で楽しめるよう、音質のチューニングはソニー・ミュージックエンタテインメントのエンジニアと共同で行った。3.5mmのイヤフォンジャックを復活させたのも、音質にこだわった結果といえる。左右独立型のワイヤレスイヤフォンはトレンドになっているものの、選択肢の豊富さという意味では有線のイヤフォンに軍配が上がる。
ディスプレイも先代の「Xperia 1」と同様、21:9と縦に長く、映画などのコンテンツを見るのに最適だ。4Kと解像度も高い。さらに、Xperia 1では、フレームが変わる瞬間に電圧を挙げ、残像を低減することで疑似的にディスプレイのリフレッシュレートを90Hzにする技術を採用。消費電力を抑えつつ、滑らかな映像を楽しめるようになった。
5Gのスペックに合わせ、カメラや音楽や映像をより楽しめる端末に仕上げたのがXperia 1 IIといえる。ソニーモバイルの岸田光哉社長は、中止となったMWC Barcelonaの代わりに開催されたオンラインの発表会で、「5Gに対応したXperiaは、モバイルの体験を次の次元に引き上げる」と宣言。Xperia 1 IIは、「ソニーのデジタルイメージング技術と、5Gの技術の完璧に組み合わせた」と自信をのぞかせた。
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