新型「iPad Pro」は誰に向けたモデルか 新しいカメラやトラックパッドを試す(2/3 ページ)
3月25日に発売される新型「iPad Pro」は、カメラが2眼になり、被写体との距離を測るLiDAR(ライダー)を搭載。iPadシリーズに搭載されるiPadOSも、新しいiPad Proの登場に合わせてバージョンアップされる。目玉になりそうなのが、マウスやトラックパッドに対応した点だ。短期間ながらiPad Proに触れたので、レビューをお届けする。
トラックパッド対応とライブ変換で入力マシンとしての価値が向上
この新しいiPad Proの登場に合わせ、AppleはiPadOSをアップデートする。試用したiPad Proには、一足早くiPadOS 13.4がインストールされていた。この最新OSで目玉となるのが、マウスやトラックパッドへの対応だ。もともとiPadでは、アクセシビリティーの一環としてマウスやトラックパッドを利用できたが、あれはあくまでタッチ操作が難しい人のための補助的な機能という位置付け。正式な機能に昇格したのに伴い、より多彩な操作が可能になった。
今回は、Appleの「Magic Trackpad」を使用した。接続は簡単で、Bluetoothの設定を開き、タップするだけ。トラックパッドの上をなぞると、画面上にポインターが表示される。2本指でスワイプしてホーム画面をスクロールさせたり、3本指でアプリをサクサクと切り替えていくこともできる。1〜3本の指に割り当てられている操作がそれぞれ異なるため、少々慣れは必要だが、使っているうちにスムーズな操作が可能になる。
より便利なのが、文字をコピー&ペーストしたいとき。これまではタッチで範囲を選択する必要があり、位置合わせに失敗してしまうこともあったが、トラックパッドであれば、1文字単位まで、細かく調整することができる。筆者はiPadでの文字を入力する機会が特に多いため、この操作性がトラックパッドで大きく向上するのは非常にうれしいポイント。キーボードを利用している際に画面をタッチしようとすると、腕を上げる必要があったが、トラックパッドを脇に置いておけば、その動きも最小限で済む。
日本のユーザーに特化したうれしいアップデートといえそうなのが、「ライブ変換」だ。ご存じの通り、これはmacOSに実装されていた機能のiPad版で、文字通り、平仮名を打っていくとリアルタイムに文字が片仮名に変換されていく。候補が間違っている場合は、スペースキーを押下すればいい。iPadOSの変換はお世辞にも賢いといえない代物だったが、ライブ変換に対応したことで、その精度も上がっている印象。実はこのパラグラフも、iPadOSのライブ変換で執筆したものだ。候補の修正も、数カ所のみでこの文章に仕上がっている。日本語入力用のマシンとしても、大きく性能が上がったといえそうだ。
Smart Keyboardに対応したことでPCに一歩近づいたiPad Proだが、マウスやトラックパッドに対応したことで、さらにその差を縮めた印象を受ける。惜しいのは、現時点ではマウスなりトラックパッドなりを、別々に持ち歩かなければいけないところだ。キーボードとトラックパッドが一体となったアクセサリーは、5月に発売を予定するiPad Pro用の「Magic Keyboard」を待たなければならない。
Magic Keyboardは2018年モデルのiPad Proにも対応するが、カメラ部分の穴が新しいiPad Proに合わせてあるため、装着するとどうしても隙間が空いてしまう。機能的には問題ないかもしれないが、デザインも含めた完成度では、やはり新しいiPad Proとの組み合わせがオススメだ。残念ながら、今回はMagic Keyboardの実機はテストできなかったが、トラックパッドを使った際の操作感がいいだけに、発売が今から楽しみになってくる。
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