新型コロナウイルスによるテレワークや遠隔学習で増える「データ通信」 大手キャリアの容量制限と通信支援措置まとめ
新型コロナウイルスの感染拡大を防止する観点で「テレワーク」や「遠隔学習」をする機会が増えています。その通信でスマートフォンで乗り切ろうとしている人もいると思いますが、「データ通信制限」を意識しなければなりません。この記事では、大手キャリアのデータ通信制限条件とその回復方法、25歳以下のユーザーを対象とするデータ通信に関する支援措置をまとめました。
新型コロナウイルス対策の一環で、「テレワーク」や「遠隔学習」を利用する機会が増えています。特に、若年層は通信手段がスマートフォン(携帯電話)しかないことも珍しくありません。
そのこともあり、総務省は先日、遠隔学習を支援する観点から通信事業者が加盟する業界団体に対して、通信容量に対する配慮を要請しました。その結果、大手キャリアや一部のMVNOは、25歳以下のユーザー(契約者および利用者)を対象に、通信容量の追加購入を一定まで無料としたり、一律に容量を追加したりする措置を講じました。
ところで普段、大手キャリアはスマートフォンに対してどのような通信容量制限を実施しているのでしょうか。支援措置と合わせてまとめました。
NTTドコモ
全てのプランにおいて日単位での通信容量制限は設けていません。ただし、当日を含む直近3日間に大量の通信を行った場合、他のユーザーよりも通信速度を抑えられる場合があります。また、一定時間内、あるいは1回の接続で大量のデータ通信を行った場合は、通信が切断される場合があります。
各プランに定められた月間通信容量を超過した場合の最高通信速度(理論値)は以下の通りです。なお、現行プランのうち「5Gデータプラス」と「データプラス」については、ひも付けた回線のプランによって超過後の通信速度が変わります。
- 5Gギガホ:3Mbps
- ギガホ:1Mbps
- その他:128kbps
月間容量を超過し、通信が低速になった場合は「1GB追加オプション」や一定容量まで同オプションを自動購入する「スピードモード」を利用することで速度を回復できます。料金は1GB当たり1000円です(※1)。5Gギガホは、1GB追加オプションやスピードモードに対応していません。
(※1)パケットパック導入以前のXi(LTE)のデータプランと、音声プラン向けのパケット定額サービスでは「128kbps通信解除」が2GB当たり2500円で可能です
新型コロナウイルス支援策
5Gギガホを除く全てのプランにおいて、4月1日時点で25歳以下のユーザーを対象に、4月と5月における1GB追加オプションの購入やスピードモードの利用を最大50GB分(5万円相当)まで無償化しています。
au(KDDIと沖縄セルラー電話)
4G LTEスマホ向けのプランでは、一部を除いて前日までの3日間で6GB以上通信すると、通信速度に制限が掛かるか、掛かる場合があります。
au 5Gスマホ向けのプランと、以下の4G LTEスマホ向けプランには日単位での通信容量制限は設けられていません。ただし、一定期間内に大量の通信をした場合は、混雑時間帯に通信速度が制限されます。
- auデータMAXプラン Netflixパック
- auデータMAXプラン
- auデータMAXプラン Pro
- auフラットプラン7プラスN
- auフラットプラン7プラス
- 新auピタットプラン
- ピタットプラン 4G LTE(新auピタットプランN)
プランやデータ定額サービスに定められた通信容量を超過した場合の最高通信速度(理論値)は以下の通りです。
- auフラットプラン7プラス(N付きを含む):300kbps
- その他:128kbps
なお、データMAXプランシリーズ(5G向けを含む)ではスマホ単体で行う国内のデータ通信に上記の制限は掛かりませんが、一定期間内に大量の通信をした場合は、混雑する時間帯に通信速度制限が掛かる他、大量のデータ通信または長時間接続を伴うサービスを利用した場合に速度制限が掛かる場合があります。
月間容量を超過し、低速になった場合は「データチャージ」を購入することで速度を回復できます。購入代金は、0.5GB(500MB)が550円、それ以外の容量(1GB、3GB、5GB)が1GB当たり1000円となります。
新型コロナウイルス支援策
スマホ向けの全てのプランにおいて、3月31日時点で25歳のユーザーを対象に、4月1日から4月30日までの「データチャージ」を50GB分(5万円相当)まで無償化しています。
また、25歳以下のデータMAXプランシリーズの新規加入者について、4月分の月額料金を2000円引きとする措置や(※2)、25歳以下のユーザーについて、4月分の「テザリングオプション」を無償とする措置なども行っています。
(※2)既に対象プランに加入しているユーザーや、対象プランまたは「auデータMAXプラン」からプラン変更するユーザーは対象外
ソフトバンク
現行のプランでは、原則として日単位での通信容量制限は設けていません。
ただし、「メリハリプラン(データプランメリハリ)」「ウルトラギガモンスター+(データプラン50GB+/データ定額 50GBプラス)」に加入している場合は、一定期間内に著しく大量の通信を継続的に行い、「機械的な通信」と判断されると通信速度制限が掛かる場合があります。これらのプランで「SoftBankの学割」の特典である「ギガ使い放題」を適用している場合は、混雑する時間帯に動画などのダウンロード、配信、ストリーミング視聴をすると、通信制御が行われます。
メリハリプランに加入している場合は、データトラフィック(流れ)を混雑させる恐れのあるサービス(動画、ゲーム、ARコンテンツなど)を利用する際にも、時間帯で通信速度が制限される場合があります。
「データシェアプラス」を利用している回線の通信制限の内容は親回線に準拠しますが、メリハリプランやウルトラギガモンスター+における「ギガノーカウント(動画SNS放題)」は適用されません。
プランやデータ定額サービスに定められた月間通信容量を超過した場合、最高通信速度(理論値)が上下最大128kbpsに制限されます。月間容量を超過し、低速になった場合は「追加データ容量」や、一定容量まで追加データ容量を自動購入する「快適モード」を利用することで速度を回復できます。現在はキャンペーンを実施中で、購入代金は0.5GB(500MB)で550円、1GBで1000円となっています(快適モードは1GBのみ)。
新型コロナウイルス支援策
25歳以下のユーザーを対象に、4月3日から4月30日までの追加データ購入/快適モードについて、50GB(5万円相当)まで無償化しています。対象ユーザーについては、期間中の「テザリングオプション」を無償化しています。
ソフトバンクでは、「ソフトバンク(SoftBank)」「Y!mobile(ワイモバイル)」の両ブランド一括で「新型コロナウイルス感染症への対応およびお客さま支援について」というサイトで支援策などをまとめている
Y!mobile
スマホプランでは、日単位での通信容量制限は設けていません。ただし、一定期間に大量の通信をした場合は、通信速度を制限することがあります。
月間通信容量を超過した場合、最高通信速度(理論値)が上下最大128kbpsに制限されます。月間容量を超過し、低速になった場合は「追加データ容量」を購入することで速度を回復できます。代金は0.5GB(500MB)当たり500円となっています。
新型コロナウイルス支援策
25歳以下のユーザーを対象に、4月3日から4月30日までの追加データ購入について、50GB(5万円相当)まで無償化しています。
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