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インタビュー

楽天モバイルに聞く「Rakuten Mini」開発秘話 なぜ自社ブランド端末が必要だったのか(3/3 ページ)

楽天モバイルがMVNO時代から注力していたのが端末ラインアップだ。MNOのサービス開始に合わせて、自社ブランドの「Rakuten Mini」を投入した。Rakuten Miniの開発や販売に携わった楽天モバイルのメンバーに、同モデルの特徴やラインアップ全体の方向性を聞いた。

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楽天ブランドの端末は今後も継続していく

―― Rakuten Miniですが、売れ筋ということもあり、今後はシリーズ化していくのでしょうか。また、3.6型ということもあり、楽天のサービスをバリバリ使うのは少々厳しい印象も受けました。後継機では大画面モデルもありえるのかといったことも教えてください。

塚本氏 開発関連でいうと、ディスプレイサイズには確かにいろいろなご意見がありました。楽天ブランドの端末は今後も継続していきますが、開発にあたっては、Rakuten Miniでいただいたご意見を反映しながら、より魅力のある商品にしていきたいと考えています。

田中氏 Rakuten Mini 2、Mini 3という同じサイズで出すのかは今後の議論次第です。シリーズ化していくのか、コンセプトを変えるのかといったことはありますが、一定のラインで継続していく予定です。

機能と価格のギャップが大きい端末ほど売れている

―― 次に、Rakuten Mini以外のラインアップ全般についてお話を伺えればと思います。ハイエンドからミドルレンジまで、幅広いラインアップをそろえていますが、売れ筋はどういったところになるのでしょうか。先ほどRakuten Miniがトップ3というお話がありましたが、残り2つも教えてください。

小野木氏 われわれの回線を契約いただく方は、どちらかというと、コストを抑えつつ、ちゃんといいものを買いたいと考えています。ですから、Rakuten Miniを除くと、今売れているのは「OPPO Reno A」や「AQUOS sense3 lite」になります。その意味では、傾向はオープンマーケットに近いかもしれません。売れているモデルの傾向は、税込みで3万円台といったところです。

―― 他にも同程度の価格帯の端末はありますが、違いはどこにあるのでしょうか。自分はコスト重視でOPPOの「A5 2020」にしました。

小野木氏 A5 2020も売れていますよ。ただ、Reno Aにしても、AQUOS sense3 liteにしても、搭載されている機能に対し、手と取ることができる価格のギャップがいい意味である端末です。Rakuten Miniも、コストパフォーマンスに優れているところは商品性の1つで、ギャップが大きければ大きいほど売れているという感じですね。

 他の大手通信事業者と大きく違うのは、お客さまの目が肥えていることだと思います。他社の場合、フィーチャーフォンからのマイグレーションが主な目的になっている端末もありますが、そういったユーザーは楽天モバイルにはいません。ストックのユーザーと、ターゲットユーザーが異なる印象もあります。

OPPO Reno A
「OPPO Reno A」も売れ筋。楽天モバイル向けにはストレージを128GBに増量している

―― 金額面ではハイエンドモデルもそろえていますが、こういったところに徐々にシフトしていく可能性はありそうですか。

小野木氏 このトレンドは続くと思っています。弊社に限らずですが、電気通信事業法の改正があり、大幅な値引きができなくなりました。割引ができていた時代も、売れていたのは実質価格で2万円から4万円ぐらいの端末です。その辺が、端末価格として、そもそものスイートスポットなのだと思います。自然体(割引なしの素の価格)で、その価格帯に仕立てることがわれわれの役割だと思っています。

どの端末でも使える“オープンマーケットデバイス”を推進

―― eSIMについては現状、Rakuten Miniオンリーですが、他の端末に広げていくお考えでしょうか。

小野木氏 eSIMもそうですし、デュアルSIM/デュアルスタンバイのモデルも当然ありだと思います。そういった協議はメーカーとしながら、いかに普及させていくのかを考えていきます。

―― 他キャリアはeSIMに及び腰なところがありますが、その点は後発なので武器になるということでしょうか。

小野木氏 その通りです。提供者側としてはそう考えているので、お客さまに受け入れられるのであれば、もっと積極的にやっていきたいですね。

―― 調達するメーカーのバリエーションに関してはいかがでしょうか。Xiaomiに代表されるように、日本に参入するメーカーも増えています。

小野木氏 楽天グループは楽天市場など、楽天としてのアセットが多数あります。弊社として推進しているのがオープンマーケットデバイスで、目指しているのはどの端末を買われても、物理SIMを入れたり、eSIMをダウンロードしたりするだけで使えるようになるということです。楽天市場をエコシステムとして活用していただき、従来のメーカーだけでなく、そうでない新規のメーカーが参入するにはどうすればいいかという戦略を練っています。

 その戦略の中で、お客さまはさまざまなメーカーの端末をお使いいただけるようになります。OPPOやHuaweiも楽天市場にマーケットがありますが、今後新規参入するメーカーもあるでしょう。そういった観点で、お客さまに多くの端末の中からお選びいただける、“選択の自由”を提供していきたいと考えています。

―― SIMフリーモデルの受け入れについては、どのようにお考えでしょうか。回線との検証結果を出されていましたが、まだ載っていない端末も少なくない状況だと思います。

小野木氏 今持っている端末を使いたいという声は、ものすごくたくさんいただいています。それもあり、機種別の対応表を出させていただきました。動作検証については、広さや数の多さに合わせて、必要に応じてやっていきます。

取材を終えて:後継機は“無制限”にフィットした端末に?

 Rakuten Miniは、FeliCaの利用を中心に企画された端末だったようだ。確かに楽天には、グループのサービスとして楽天Edyがあり、楽天経済圏の中心である楽天スーパーポイントとの連携も取れている。おサイフケータイを中心に使うのであれば、あのサイズ感にも合理性はあると感じた。一方で、UN-LIMITがサービスイン直前に決まったこともあってか、データ通信使い放題とはあまり相性がよくないような印象もある。後継機は、データ通信が無制限で使える同社の強みによりフィットした端末になっていくのかもしれない。

 ラインアップ全体では、やはり意識的にミドルレンジモデルを強化しているようだ。特にReno Aは楽天限定でストレージが通常モデルより大きいため、売れ筋のトップ3に入っているのは納得できる。こうした特徴付けはMVNO時代から、楽天が得意としているところだ。後発ゆえに、eSIMにも積極的だ。Rakuten Miniに限らず、メーカーブランドのeSIM搭載端末が増えることにも期待したい。

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