Y!mobile、UQ mobile、楽天モバイルで違いは? 「制限時1Mbps」を比べてみよう:5分で知るモバイルデータ通信活用術(2/2 ページ)
楽天モバイル、UQ mobile、Y!mobileの3者が相次いで「制限時最大1Mbps」に対応する料金プランを打ち出しました。文字だけ見ると横並びに見えますが、細かい仕様を見ていくと違いもあります。
「制限時1Mbps」の手動設定 Y!mobileは“非対応”
このように、Rakuten UN-LIMITのプラン改定にUQ mobileやY!mobileが対抗することで「制限時1Mbps」で足並みがそろったように見えるのですが、その内容を詳細に見ると細かい差異があります。
まず、UQ mobileの「スマホプランR」は、任意のタイミングで速度制限をかける「節約モード」に対応しています。
UQ mobileの節約モードは、ユーザーが有効化することで高速データ通信容量を消費せずに低速通信できることが特徴。元から最高通信速度が500kbpsに制限されている「データ無制限プラン」を除く全てのプランで利用可能です。
節約モード有効時の最高通信速度は以下の通りです。
- おしゃべりプラン、ぴったりプラン、スマホプラン(Rを除く):上下300kbps
- スマホプランR:上下1Mbps
- 上記以外の対応プラン:上下200kbps
高速データ通信容量を超過した場合の通信速度も節約モードと同様です。容量超過時は強制的に節約モードが有効になると言い換えても良いでしょう。
おしゃべりプランなど、上下300kbps通信対応のプランでは節約モードを「SNS使い放題」として訴求していました。それに対して、スマホプランRでは「動画も快適」という旨の訴求もしています。データ通信容量を節約しつつ、ある程度の速度を出せることが魅力です。固定回線がない場合、あるいは一時的に使えない場合に、節約モードを有効にした上で大容量のコンテンツダウンロードは寝ている時間に行うといったこともできます。
ただし、UQ mobileでは直近3日間の通信容量が6GBを超過した場合、通信速度が制限されることがあります(具体的な制限速度は明示されていません)。これはau回線を利用するMVNOサービスに共通の制限で、節約モードのオン/オフにかかわらず適用されます。
Rakuten UN-LIMITも、パートナーエリアにおける高速データ通信をオン/オフできる機能があります。「my楽天モバイル」において「データ高速モード」をオフにすれば、パートナーエリアにおける高速通信容量を消費せずに通信できます。
データ高速モードをオフにした際の通信速度は1Mbpsです。使い方を工夫すれば、UQ mobileのスマホプランRと同様に固定回線がない場合、あるいは一時的に使えない場合のフェールセーフ通信手段として利用できそうです。
ちなみに、このモードをオフにしている場合でも、自社エリアでは月間容量制限なしで高速通信できます。ただし、1日当たり10GBの容量制限が別途設けられています。
一方、Y!mobileにはデータ通信速度の制限をユーザーが手動で掛ける仕組みがないため、「手動で速度制限をかけて容量を節約しよう!」という使い方はできません。
スマホベーシックプランMのユーザーは月間10GB、スマホベーシックプランRのユーザーは月間14GBを超過してデータ通信すると、最大1Mbpsに速度が絞られます。
なお、3キャリア共に高速データ通信量を使い切ってしまった場合は「追加容量」を購入できます。税別価格は以下の通りです。「1Mbpsでも足りない」という場合は参考にしてください。
- 楽天モバイル:1GB当たり500円(パートナーエリアでのみ有効)
- UQ mobileとY!mobile:500MB当たり500円
ちなみに、Y!mobileでは「データ増量オプション」(月額500円)を契約することでプランに応じて2回、6回、または14回分の容量購入代金が免除されます。
ここで期待が高まるUQ WiMAXの「3日間10GB制限」の緩和
UQ mobileを沖縄県以外で提供するUQコミュニケーションズは、自らがキャリアとなって提供するワイヤレスデータ通信サービス「UQ WiMAX」も提供しています。UQ WiMAXの現行プランでは、ハイスピードモード(WiMAX 2+のみを用いるモード)なら月間容量制限なしで高速データ通信を行えます。
ただし、この連載でも数回取り上げている通り、直近3日間の通信容量が10GBを超えると、夜間(午後6時頃から翌日午前2時頃まで)の通信速度が1Mbps程度に制限されてしまいます。この制限は2017年2月に設けられて以来、一度も見直されたことがありません。
そんな中、自社エリア限定とはいえ、Rakuten UN-LIMITは1日10GBの制限を超過しても最大3Mbps程度(7月現在)の速度が出るため、UQ WiMAXよりも条件は緩やかです。1日当たりの制限であるため、日付が変わればすぐにリセットされることも魅力です。
楽天モバイルのネックはそのエリアですが、少しずつ広がってきており、時間をかければある程度は解決できそうです。
新型コロナウイルスの影響で、リモートワークやオンライン授業などでデータ通信に対するニーズは高まっています。固定回線の契約ができなかったり、一時的に利用できなかったりする人にとって、モバイル回線は非常に重要な通信手段です。
こうした社会的なニーズや、競合他社のサービス提供状況を踏まえて、UQ WiMAXにおける「3日で10GB」制限や、制限時の通信速度についても、緩和する方向で検討してほしいと思う今日この頃です。
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